生まれたての系外惑星、わずか300万年で誕生 惑星形成の常識に疑問
地球の10〜20倍の質量を持つ生まれたての系外惑星が、たった約300万年で形成された可能性が示され、惑星がどれくらいの速さで生まれるのかという基本的な問いに新たな視点を与えています。
たった300万年で「まとまった惑星」に
若い恒星の周りで見つかったこの惑星は、私たちの太陽系の外にある系外惑星の中でも、最も若い部類に入ります。研究チームによれば、この惑星は誕生からおよそ300万年という、宇宙の尺度では驚くほど短い時間で、現在のような一つの天体としてまとまったとみられます。
この結果は、今週、学術誌ネイチャーに掲載された論文で報告されました。筆頭著者である米ノースカロライナ大学の大学院生メイディソン・バーバーさんは「惑星が300万年という短い時間でまとまった姿になり得ることが確認できた」と述べています。これまで地球は形成に1000万〜2000万年かかったと考えられており、そのギャップが注目されています。
恒星と惑星のプロフィール
今回見つかった惑星は「IRAS 04125+2902 b」あるいは「TIDYE-1b」と名付けられています。その特徴を整理すると次のようになります。
- 質量:地球の約10〜20倍
- 大きさ:地球より密度が低く、直径は地球のおよそ11倍
- 公転周期:8.8日で恒星の周りを一周
- 軌道:太陽から水星までの距離のおよそ5分の1という近さ
この惑星が回る恒星は、将来「オレンジ色矮星」と呼ばれるタイプになると見込まれています。太陽に比べて質量は約7割、明るさは半分ほどで、地球からの距離はおよそ520光年です。光年とは光が1年かけて進む距離で、約9兆5000億キロメートルに相当します。
惑星の周囲には、まだ濃いガスとちりからなる「原始惑星系円盤」の名残が存在しており、そこから材料を集めて惑星が成長したと考えられています。
惑星形成のスピードに挑戦状
恒星の誕生時には、ガスとちりの巨大な雲がつぶれ、中心に恒星、周囲に円盤ができます。この円盤の中で、ちり同士が衝突して固まり、やがて惑星へと成長していきます。ただし、この円盤は永遠には残らず、500万〜1000万年ほどで散ってしまうとされます。
そのため、特に大量のガスを必要とする巨大惑星は、円盤が消える前に素早く形成される必要があります。今回の研究では、惑星が少なくとも300万年以内に「惑星」と呼べる状態に達し得ることが示され、惑星形成に必要な時間についての従来のイメージに揺さぶりをかけました。
バーバーさんによると、この惑星はもともと恒星からもっと遠い場所で形成され、その後、現在の内側の軌道へ移動した可能性が高いといいます。円盤は内側から先に散っていくため、恒星のすぐ近くで短時間のうちに大きな惑星を作るのは難しいからです。
どうやって見つかったのか
研究チームがこの若い惑星を見つけることができたのは、「トランジット法」と呼ばれる観測手法のおかげです。惑星が恒星の手前を通過すると、一時的に恒星の明るさがわずかに暗くなります。そのわずかな暗くなり方の周期と深さを丁寧に測ることで、惑星の存在や大きさを推定できます。
今回の惑星は、米航空宇宙局のトランジット系外惑星探索衛星「TESS」が行った観測から見つかりました。研究チームによると、これは現時点で知られている中で最も若いトランジット系外惑星だといいます。
通常、これほど若い惑星は、まだ濃い円盤に埋もれており、恒星の光がさえぎられてしまうため、トランジット法で見つけるのは難しいと考えられてきました。しかし今回の系では、外側の円盤がゆがんだことで、恒星と惑星がちょうど見通せる「窓」のようなすき間が生じていたと研究者たちは推測しています。
これから見えてくる宇宙像
今回の発見は、次のような問いを私たちに投げかけます。
- 300万年というスピード形成は、宇宙では普通のことなのか、それとも特別なケースなのか
- 円盤がどのような仕組みでゆがみ、「観測の窓」ができたのか
- 惑星の大気や内部構造、化学組成はどのようなものなのか
こうした疑問の答えは、今後の望遠鏡観測や理論研究によって少しずつ明らかになっていくとみられます。惑星がどれくらい速く、どのような環境で生まれるのかを理解することは、地球や太陽系がどのように誕生したのかを考える手がかりにもなります。
身近な夜空の向こうで、今この瞬間も新しい惑星が生まれつつあるかもしれない。そのダイナミックな宇宙の姿を、今回の若い系外惑星は静かに映し出しているようです。
Reference(s):
cgtn.com








