米NASA、アルテミス月面ミッション延期 オリオン技術問題で再スケジュール
米航空宇宙局(NASA)は木曜日、月探査計画「アルテミス」のスケジュールを見直し、有人ミッションであるアルテミスIIとアルテミスIIIの実施時期を延期すると発表しました。宇宙船オリオンで確認された技術的な問題を受け、安全性を最優先する判断です。
アルテミス計画とは何か
アルテミス計画は、NASAが進める月探査プログラムで、月周回や月面着陸を通じて、人類の長期的な月探査と将来の火星探査につなげる構想です。今回延期が発表されたのは、初の有人飛行となるアルテミスIIと、その次の月面着陸ミッションであるアルテミスIIIです。
アルテミスII・IIIの新スケジュール
NASAは、アルテミスIIとアルテミスIIIの目標時期を次のように変更しました。
- アルテミスII:初の有人月ミッション。新たな目標は2026年4月。
- アルテミスIII:月の南極域を探査する歴史的な月面着陸ミッション。新たな目標は2027年半ば。
当初、NASAはアルテミスIIを2025年9月、アルテミスIIIを2026年9月に実施する計画でしたが、およそ半年から1年程度の遅れとなります。
技術的な問題とアルテミスIの教訓
今回の延期は、2022年に実施された無人試験飛行「アルテミスI」で発生した技術的な問題の精査結果を受けたものです。アルテミスIでは、オリオン宇宙船に技術的なトラブルが生じ、NASAはその後、詳細な調査と検証を行ってきました。
その検証が完了し、安全面での対策や設計上の見直しが必要だと判断されたことから、有人飛行であるアルテミスIIと、月面着陸を伴うアルテミスIIIの時期を慎重に後ろ倒ししたかたちです。宇宙飛行では、機体の信頼性や乗員の安全確保が最優先されるため、スケジュールよりもリスク低減を優先する姿勢が改めて示されたと言えます。
アルテミスIIIは「50年以上ぶり」の月面着陸へ
アルテミスIIIは、米国の宇宙飛行士が月の表面に降り立つ初めてのミッションとして位置づけられています。米国が月面に宇宙飛行士を送り込むのは、50年以上ぶりとなる見通しです。
さらに、探査の舞台となるのは月の南極域です。南極付近には、日光の当たり方や地形の特徴から、水や資源の存在が期待されており、科学的にも戦略的にも重要な地域とされています。アルテミスIIIの成否は、今後の月面基地構想や、より長期的な有人探査への一歩として注目されています。
なぜ今、この延期が重要なのか
今回のアルテミス計画の延期は、単に「打ち上げが遅れる」というニュースにとどまりません。次のような点で、今後数年の宇宙開発の流れを左右する可能性があります。
- 有人探査のタイムラインが2026〜2027年を軸に再整理される
- オリオン宇宙船の安全性向上が進み、リスク低減につながる
- 月の南極域探査や、その先の火星探査の計画にも影響が及ぶ可能性
日本を含む各国・地域の宇宙機関や企業にとっても、月探査のスケジュールは自らの計画の前提条件になります。アルテミスの進行状況は、国際的な宇宙開発の優先順位や予算配分、技術協力のあり方にも波及していきます。
2026〜2027年、月をめぐる争点はどう変わるか
2026年4月に予定されるアルテミスIIが成功すれば、人類の月周回有人飛行が改めて現実のものとなります。その結果を踏まえて、2027年半ばのアルテミスIIIでの月面着陸に向けた技術検証や運用ノウハウが蓄積されていくことになります。
一方で、打ち上げが延期されるたびに、宇宙開発のコストや政治的な説明責任も問われやすくなります。今回の決定は、安全性を重視する姿勢の表れであると同時に、長期的な探査計画を社会とどう共有していくかという課題も浮かび上がらせています。
これから私たちが注目したいポイント
今後のフォローアップで見ておきたいポイントは、次のような点です。
- オリオン宇宙船の技術問題への具体的な対策内容
- アルテミスIIの打ち上げ準備の進捗や試験結果
- 月の南極域でどのような科学観測や技術実証が計画されるか
アルテミス計画の遅れは、短期的には残念なニュースに見えるかもしれません。しかし、安全性と技術検証を重ねた上で実現する月面着陸は、より大きな意味を持つ可能性があります。2026〜2027年に向けて、人類の月探査がどのような形で進んでいくのか、引き続き注目していく必要があります。
Reference(s):
cgtn.com








