グーグル親会社アルファベット株急伸 新量子チップWillowが示すもの
グーグル親会社アルファベット株急伸 新量子チップWillowが示すもの
グーグルの親会社アルファベットが発表した新しい量子チップWillowをきっかけに、同社株が火曜日の取引で約5%上昇しました。量子コンピューターの長年の課題とされてきたエラー問題に挑むこの技術は、どこまで画期的なのでしょうか。
アルファベット株が約5%高に 発表直後の市場の反応
ロイターなどの報道によると、グーグルの親会社アルファベットの株価は火曜日、前日比でおよそ5%上昇しました。その背景には、前日の月曜日にグーグルが発表した新世代の量子チップWillowの存在があります。
グーグルは、このチップが従来型のコンピューターでは宇宙の歴史より長い時間がかかるとされる計算問題を、わずか5分で解いたと説明しています。量子コンピューター分野における大きな前進として受け止められ、投資家の注目を集めました。
新量子チップWillowの特徴とは
量子コンピューターは、特定の計算において、現在広く使われているシリコンベースのコンピューターをはるかに上回る性能を発揮できると期待されています。その中核となるのが、量子ビットと呼ばれる最小単位です。
速いがエラーが多い量子ビット
量子ビットは、理論的には非常に高速な計算を可能にしますが、一方でエラーが発生しやすいという弱点があります。量子ビットの数を増やしていくほど、通常はエラーの発生率も高まり、計算結果の信頼性を保つことが難しくなります。
このため、量子コンピューターを安定して動作させ、商業的に利用できるレベルまで高めることが、大きな技術的課題となってきました。
量子ビットをつなぎエラー率を下げると主張
グーグルは、Willowでは量子ビット同士のつなぎ方を工夫することで、量子ビットの数が増えてもエラー率がむしろ下がるようにできたと説明しています。さらに、エラーをリアルタイムで補正する仕組みも備えているとしています。
もしこうした性能が広く検証されれば、量子コンピューターの実用化に向けて、これまでの常識を一歩進める成果になり得ます。一方で、その実力を裏付ける独立した検証はこれからの課題です。
ファインマンの構想から続く長い道のり
量子コンピューターの概念は、ノーベル賞受賞者の物理学者リチャード ファインマン氏が1981年に提案したことが出発点とされています。それ以来、世界中の研究者が理論と実験の両面から研究を重ね、多くのブレークスルーが報告されてきました。
とはいえ、幅広い用途に使える汎用的な量子コンピューターを実際に動かすことは、いまなお長期的な課題です。今回のWillowも、その長い研究の流れの中に位置づけられる一つの成果とみることができます。
専門家は過度な期待にブレーキ
一方で、グーグルの主張に対しては、科学者の間で慎重な見方も出ています。Willowがどこまで実際の応用に耐えうるのかについては、議論の余地が残されているためです。
英国サリー大学のコンピューティング専門家、アラン ウッドワード教授は、量子コンピューターは現在の古典的なコンピューターよりも得意な分野が多くなるだろうとしつつも、古典的なコンピューターを完全に置き換えるものにはならないと指摘しています。
同教授は、今回のWillowの結果は特定のテストに基づくものであり、その重要性を過大評価すべきではないと警告しています。リンゴとオレンジを比べるようなものだと述べ、異なる条件の計算性能を単純に比較することには注意が必要だと強調しました。こうしたコメントは、量子コンピューター報道にしばしば伴う熱狂との距離の取り方を示していると言えます。
量子ブレークスルーをどう受け止めるか
グーグルのWillowは、量子コンピューターの最大の弱点とされてきたエラー問題に挑む試みとして、技術面でも市場面でも大きな注目を集めています。ただし、それが直ちに実用的な量子コンピューターの完成を意味するわけではありません。
今回のような発表に接するとき、私たちが意識したいポイントは次の三つです。
- どのような課題を解決しようとしている技術なのか
- 企業の自己評価だけでなく、第三者の検証がどこまで進んでいるか
- 既存のコンピューターを補完するのか、それとも置き換えるのかという位置づけ
量子コンピューターをめぐる競争は今後も続きますが、足元では古典的なコンピューターが依然として社会の情報基盤を支えています。長期的な視点で、両者がどのように役割分担していくのかを見ていくことが、テクノロジーと経済の両面で重要になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








