NASA宇宙飛行士2人のISS滞在、8日間から9か月超へ延長 帰還は来年3月以降
NASA(米航空宇宙局)は、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の宇宙飛行士スニ・ウィリアムズさんとブッチ・ウィルモアさんの帰還時期を、少なくとも来年3月下旬以降に再延期すると発表しました。当初8日間の予定だった試験飛行は、9か月を超える長期ミッションへと姿を変えています。2025年12月時点で、2人は引き続きISSで任務に当たっています。
8日間の試験飛行が9か月超の長期滞在に
ウィリアムズさんとウィルモアさんは、今年6月にボーイングが開発した宇宙船スターライナーでISSへ向かいました。本来は、宇宙船や運用体制を確認するための8日間の試験ミッションでした。
しかし、その後スターライナーのカプセルについて、安全に乗員を地球へ戻すには適さないと判断され、2人の滞在はまず来年2月までおよそ8か月延長されました。今回、さらに帰還が来年3月下旬以降にずれ込む見通しとなり、ISSでの滞在期間は9か月以上に達することになります。
Crew-10到着後に4人そろって地球へ
NASAは、ウィリアムズさんとウィルモアさんに加え、同じくISSに滞在中のNASAの宇宙飛行士ニック・ヘイグさん、ロシアの宇宙飛行士アレクサンドル・ゴルブノフさんの4人が、次のミッションであるCrew-10がステーションに到着した後に地球へ戻ると説明しています。
ヘイグさんとゴルブノフさんは、2人より3か月以上遅い今年9月にISSへ到着しましたが、帰還のタイミングは4人でそろえる形になります。現時点で具体的な帰還日の公表はなく、Crew-10の到着後という枠組みだけが示されています。
Crew-10打ち上げも延期 新しいドラゴン宇宙船を準備
Crew-10ミッションは当初、来年2月の打ち上げを予定していました。しかしNASAは、ミッションで使用する新しいドラゴン宇宙船の準備や確認作業に、より多くの時間が必要だとして、打ち上げ時期を来年3月下旬に遅らせています。
スターライナーのカプセルが帰還には使えないと判断されたことで、ISSの乗員交代や帰還のスケジュールは、他の宇宙船の準備状況にも左右される形になりました。今回の判断は、安全性を最優先しつつ、限られた宇宙船をやりくりしながらISS運用を続ける難しさを映し出しています。
ISS運用で重要なハンドオーバー期間
NASAは声明の中で、今回のスケジュール変更によって、現在のCrew-9と次に到着するCrew-10がISSで同時に滞在する期間を確保できると強調しました。この重なりの期間はハンドオーバー期間と呼ばれています。
ハンドオーバー期間には、先に滞在している乗員が、新たに到着した乗員に対し、
- 実験や観測の進め方
- 設備や機器の扱い方
- 日常的なメンテナンスのコツ
といった知見を引き継ぎます。NASAは、こうした直接的な引き継ぎがあることで、科学実験やステーションの保守作業を途切れさせることなく続けられると説明しています。
宇宙飛行士への負担と今後の注目点
想定外の延長により、ウィリアムズさんとウィルモアさんは、短期の試験飛行として準備していたミッションが、一気に長期滞在ミッションへと変わることになりました。ISSでの長期滞在は、身体への負担や精神面でのストレスも大きいとされ、日々の運動や健康管理が欠かせません。
一方で、長く滞在するからこそ、多くの実験や技術検証に参加できるという側面もあります。ISSでの科学研究や将来の月・火星探査に向けた知見は、こうした長期ミッションを通じて蓄積されていきます。
今回の決定をめぐっては、今後次のような点が注目されます。
- Crew-10の打ち上げが、来年3月下旬という新たな予定どおり行われるか
- スターライナー試験ミッションの評価と、今後の活用方針
- 9か月を超える滞在となる4人の宇宙飛行士の健康状態とミッション成果
ISSや有人宇宙飛行の現場では、計画どおりに進まないことも少なくありません。今回の滞在延長は、技術的な課題や想定外の事態に対して、安全を最優先にしながら柔軟に対応することの重要性を改めて示したと言えます。ウィリアムズさんたちが無事に地球へ戻るその日まで、ISSでの静かな長期ミッションは続きます。
Reference(s):
cgtn.com








