NASAの太陽探査機パーカーが史上最接近へ 太陽の謎と地球への影響を解説
NASAの太陽探査機パーカー・ソーラー・プローブが、これまでで最も太陽に近づく飛行に挑もうとしています。太陽の謎と、地球で暮らす私たちの生活への影響に迫る重要な国際ニュースです。
史上最接近へ:太陽まで約600万キロ
NASAによると、パーカー・ソーラー・プローブは現地時間の火曜日、太陽の外側の大気であるコロナの中を通過し、太陽表面からおよそ380万マイル(約600万キロメートル)という記録的な距離まで近づく計画です。
研究者のジョー・ウェストレイク氏は、もし太陽と地球をアメリカンフットボールのフィールドの両端に置き換えると、パーカー探査機はエンドゾーン手前のおよそ4ヤード(約3.7メートル)地点まで迫るイメージだと説明しています。
最接近時の速度は時速43万マイル(約69万キロ)に達する見込みで、人類が送り出した探査機としては史上最速レベルです。機体には約2500華氏度(約1371度)の高温に耐えるための特殊な耐熱シールドが取り付けられています。
探査機はこの接近の間、太陽の強い放射や電波の影響で地球との通信ができなくなるため、運用チームがパーカーの状態を確認できるのは数日後になる見通しです。
パーカー・ソーラー・プローブとは
パーカー・ソーラー・プローブは、NASAが2018年に打ち上げた太陽探査機です。目的は、太陽にこれまで以上に近づき、その構造や振る舞いを直接観測することにあります。
打ち上げ以降、探査機は何度も太陽に接近し、そのたびにコロナと呼ばれる外側の大気の中を通過してきました。コロナは皆既日食のときに白く光って見える部分で、私たちが肉眼で見る太陽の表面よりも外側に広がっています。
- これまでの探査機の約7倍も太陽に近づく軌道を飛行
- 時速約69万キロに達する超高速で周回
- 極限環境に耐える耐熱シールドで機体を保護
なぜ太陽のコロナに挑むのか
今回の史上最接近で、科学者たちが特に注目しているのは、太陽のコロナがなぜ表面よりも何百倍も高温になるのかという長年の謎です。通常であれば、熱は中心から外側に向かうほど下がっていくはずですが、太陽ではその常識が当てはまりません。
さらに、パーカー・ソーラー・プローブは、太陽から常に吹き出している荷電粒子(電気を帯びた粒子)の流れである太陽風のしくみも詳しく調べます。太陽風は超音速で宇宙空間を駆け抜けており、地球の周辺にも絶えず吹き付けています。
コロナの加熱メカニズムと太陽風の発生源を理解することで、太陽がどのようにエネルギーや粒子を宇宙空間へ放出しているのかを、これまで以上に精密に描き出せるようになると期待されています。
太陽活動と私たちの生活
太陽は、地球の生命を育む光と熱を与える存在である一方で、ときに強力な嵐も引き起こします。強い太陽フレアやコロナ質量放出といった現象が起きると、宇宙空間に大量のエネルギーと粒子が放出され、地球周辺の環境に影響を及ぼすことがあります。
- 一時的に無線・衛星通信が乱れる
- 電力システムに負荷がかかり、停電のリスクが高まる
- 高緯度地域を中心にオーロラが広範囲で観測される
現在、太陽は約11年周期で変化する活動サイクルの中で、活動が最も活発になる極大期にあります。その影響で、最近はこれまであまりオーロラが見られなかった地域でも、美しい光が観測されるケースが増えています。
ウェストレイク氏は、太陽について「私たちにとって最も身近で友好的な存在であると同時に、ときには少し機嫌を損ねることもある」と表現しています。太陽の機嫌の変化をより正確に読み解くことは、宇宙物理学のテーマであると同時に、現代社会のインフラを守るうえでも重要な課題です。
これからの観測と注目ポイント
パーカー・ソーラー・プローブは、今回のような近距離での周回を少なくとも9月ごろまで続ける計画です。その間に行われる複数回の接近飛行で、太陽のコロナと太陽風に関するデータが蓄積されていきます。
今後、私たちが注目したいポイントは次の通りです。
- 史上最接近の軌道で、どこまでコロナ内部の構造が明らかになるか
- コロナが表面より高温になる理由にどこまで迫れるか
- 太陽風の発生メカニズムの理解が進み、宇宙天気予報の精度向上につながるか
スマートフォンやインターネット、電力網に支えられた現代社会にとって、太陽活動はもはや遠い宇宙の話ではありません。パーカー・ソーラー・プローブの観測成果は、宇宙物理の教科書を書き換えるだけでなく、私たちの日常を守る知恵にもつながっていきそうです。
Reference(s):
NASA's solar probe aims to fly closer to the sun like never before
cgtn.com







