スペースXスターシップ第7回試験飛行 ブースター捕捉成功も機体は空中分解
世界最大のロケットとして注目される米スペースXのスターシップが、第7回目の試験飛行で再び大きな山場を迎えました。打ち上げブースターの劇的なキャッチには成功した一方で、宇宙船本体は上昇中に空中分解し、壮大な挑戦とリスクがあらためて浮き彫りになりました。
- 発射塔のアームでブースターの捕捉に成功
- 上段スターシップは上昇中に通信途絶後、空中分解
- 燃料漏れによる圧力上昇の可能性をマスク氏が指摘
- 将来のスターリンク打ち上げや月・火星探査を見据えた試験
スターシップ第7回試験飛行の概要
スペースXは木曜日、テキサス州ボカチカビーチ近くの発射場から超大型ロケット「スターシップ」を打ち上げました。全長約123メートルのロケットは順調に離昇し、上段宇宙船も上昇を続けましたが、打ち上げから約8分半後に通信が途絶え、その後空中で分解したとされています。
同社は、この事象を rapid unscheduled disassembly(予定外の急速な分解)と表現し、飛行試験中に起きた異常であると説明しました。今回飛行したのは、改良型の新しいスターシップ機体で、通算7回目の試験飛行でした。
本来のミッション:地球をほぼ一周する計画だった
スターシップは本来、テキサスからメキシコ湾上空を通過し、ほぼ地球を一周してインド洋上空で大気圏に再突入、機体ごと破壊される計画でした。機体には実験用のダミー衛星10基が搭載され、衛星放出手順のリハーサルも行う予定でした。
これらのダミー衛星は、スペースXが運用するインターネット衛星スターリンクと同じサイズで、再突入時に機体とともに破壊される前提で設計されていました。
ブースター「キャッチ」の劇的成功
機体喪失の約1分前には、別のドラマが展開されていました。スターシップの第1段ブースターが帰還し、発射台に備えられた巨大な機械式アームで見事に捕捉されたのです。
このアームは、その動きから「チョップスティック」と呼ばれており、下降してきたブースターは発射台上空で一度ホバリング(空中停止)した後、2本のアームにしっかりとつかまれました。このブースターキャッチの成功は、今回が2度目という難度の高い試みでした。
発射場周辺のテキサス南端には多くの見物客が集まり、劇的なキャッチに歓声が上がりましたが、その直後に宇宙船本体の喪失が伝えられ、歓喜は落胆へと一転しました。
上昇中に何が起きたのか
スペースXによると、スターシップ上段の6基のエンジンは上昇中に1基ずつ停止していったとみられ、最後の通信は打ち上げから約8分30秒後に途絶えました。通信断の直前に受信したデータでは、高度約90マイル(約146キロ)、速度約時速1万3245マイル(約2万1317キロ)に達していたとされています。
スペースXのダン・ヒュート報道担当は「ブースターが戻ってくる姿を見られたのは素晴らしかったが、宇宙船を失ったことは当然ながら残念だ」と述べた上で、これはフライトテストであり実験的な機体であることを強調しました。
マスク氏の初期分析:燃料漏れの可能性
同社を率いるイーロン・マスク氏は、SNS「X」上で、予備的な解析結果として燃料漏れがエンジンの防火壁の上部空間にたまり、圧力を高めた可能性があると説明しています。
マスク氏によれば、この部分には今後、火災抑制のためのシステムを追加し、換気(ベント)を強化するとともに、燃料漏れの有無を二重にチェックする対策を取るとしています。
世界最大級ロケット計画の現在地
スターシップは、全長約123メートルの世界最大かつ最も強力なロケットとして開発が進められており、今回の飛行は通算7回目の試験でした。スペースXはこれまでの飛行結果を踏まえて機体の改良を重ねており、今回も新たな設計変更や試験衛星の搭載などが行われました。
マスク氏は、将来的にスターシップで実際のスターリンク衛星を打ち上げ、その後は他社も含めたさまざまな衛星、さらに乗員を乗せた有人飛行へと段階的に広げていく計画を示しています。
米航空宇宙局(NASA)は、今後数年のうちに予定されている月面有人着陸ミッション向けにスターシップを2機確保しています。スターシップは、月だけでなく、最終的には火星への人類輸送を視野に入れた長期プロジェクトでもあります。
「失敗」から何を学ぶか
今回の試験飛行は、ブースターのキャッチ成功という大きな前進と、上段機の喪失という課題が同時に現れた形でした。スペースX自身が繰り返し強調しているように、スターシップはまだ実験段階の機体であり、個々の飛行は成功か失敗かという二者択一では語りきれません。
同社は、あえて高いリスクを取りながら頻繁に飛行を行い、その都度得られたデータを次の改良に生かすスタイルを取っています。rapid unscheduled disassembly という一見ユーモラスな表現も、激しい試行錯誤を前提とした開発文化を象徴していると言えるでしょう。
2025年12月8日現在、スターシップ計画はまだ途上にありますが、今回の第7回飛行で得られた知見は、今後のスターリンク打ち上げや月・火星をめざす長期的な宇宙開発にとって重要なステップとなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








