米国でTikTok停止 新法とトランプ次期政権の90日猶予示唆を読み解く
米国で動画投稿アプリTikTok(ティックトック)が週末から使えなくなりました。安全保障上の懸念から同アプリの停止か親会社からの切り離しを求める新法が施行されるなか、約1億7,000万人の利用が一斉に中断しています。
米国でTikTokが突然停止 何が起きたのか
現地時間土曜日の深夜、TikTokは米国で突然アクセスできなくなり、AppleとGoogleのアプリストアからも姿を消しました。日曜日に発効した法律でアプリの停止が求められるのを前に、サービスが事実上シャットダウンされた形です。
同アプリを所有する中国のバイトダンスは、米東部時間午後10時45分(世界標準時3時45分)ごろ、米国内の利用者に画面上のメッセージを表示しました。そこでは、米国でTikTokを禁じる法律が成立したこと、その結果として当面は利用できないこと、そしてドナルド・トランプ次期大統領が就任後にサービス再開に向け協力する意向を示していることが伝えられました。
同じくバイトダンス傘下の動画編集アプリCapCutやライフスタイル系SNSのLemon8も、土曜日の時点で米国内からは利用できず、アプリストアからもダウンロードできない状態になっています。
新法と最高裁判断 TikTokに突きつけられた選択
今回の停止の背景には、昨年成立し、今週金曜日に最高裁で全会一致で支持された新法があります。この法律は、TikTokが国家安全保障上の脅威になり得ると懸念されることを理由に、同アプリに対し、日曜日までに親会社バイトダンスとの関係を断つか、米国での事業を停止するかの選択を迫っています。
TikTok側は金曜日の時点で「日曜までに明確な保証が得られなければ、米国でサービスを止めざるを得ない」と警告していました。具体的には、AppleやGoogleなどのプラットフォーム企業が、禁止措置が発効しても法執行の対象にならないと政府から保証されることを求めていましたが、それが実現しないまま週末を迎えた形です。
トランプ次期政権が示す「90日猶予」の可能性
一方で、政権交代の動きも状況を複雑にしています。ドナルド・トランプ次期大統領は土曜日、就任後にTikTokへの禁止措置をおよそ90日間猶予することを「高い確率で」認める考えを示しました。米テレビ局のインタビューで「それを行うのが適切だと思う。もし実施を決めたら、月曜日に発表するだろう」と述べています。
TikTokは利用者への通知のなかで、この発言に言及し、トランプ氏が就任後にサービス再開に向けた解決策を共に模索する姿勢を示していると強調しました。現時点では禁止措置が発効したままですが、今後90日間の猶予が正式に認められるかどうかが焦点となります。
現職のジョー・バイデン政権は、対応は次の政権に委ねられるとの立場です。ホワイトハウスのカリーヌ・ジャン=ピエール報道官は土曜日、トランプ政権が月曜日に発足するまでの数日間にTikTokや他の企業が急いで対応を取る必要はないとの見解を示しました。
小規模ビジネスとネット文化への影響
TikTokは米国人のおよそ半数を魅了し、中小企業の販促やクリエイターの収入源としても大きな役割を果たしてきました。今回の停止によって、日々の発信にTikTokを活用してきた店舗やブランド、個人クリエイターは、一夜にして主要な集客チャネルを失った形になります。
また、TikTok上で育まれてきたダンスや音楽、トレンド情報などのオンライン文化も、少なくとも米国内では途切れた状態です。動画編集に広く使われてきたCapCutや、新興のSNSであるLemon8も同時に利用できなくなっており、バイトダンス系サービス全体が米国市場から切り離される構図が鮮明になっています。
今回のTikTok停止から見えるポイント
今回の動きは、国際ニュースとしてもSNSと政治・安全保障の関係を考えるきっかけになります。日本やアジアの利用者にとっても無関係ではありません。注目しておきたいポイントを整理します。
- 巨大プラットフォームが、一つの国内法と裁判所判断によって短期間で市場から姿を消し得ることが示された。
- SNSが単なる娯楽ではなく、国家安全保障や選挙、世論形成と結びついた存在として扱われている。
- 政権交代のたびにテクノロジー政策の方針が揺れれば、企業やクリエイターは長期的な戦略を立てにくくなる。
- 特定のプラットフォームに依存しすぎるリスクが改めて浮き彫りになり、情報発信のチャネルを分散させる重要性が増している。
米国でのTikTok停止をめぐる動きは、今後数日間のトランプ次期政権の判断次第で大きく変わる可能性があります。約1億7,000万人もの利用が中断されている今、SNSを通じた情報やビジネスのあり方をどのように守り、監督していくのかが、世界共通の問いとして突きつけられています。
Reference(s):
cgtn.com








