SpaceX、ISS向け有人飛行を延期 NASA宇宙飛行士の交代に影響
米宇宙企業SpaceXは、国際宇宙ステーション(ISS)に新たなクルーを送り込む予定だった有人飛行を、打ち上げ台のトラブルにより延期しました。これにより、すでに約9カ月にわたり軌道上で暮らしているNASAの宇宙飛行士2人の交代計画にも影響が出ています。
今回の延期は、民間企業が担う有人宇宙飛行の難しさと、安全最優先の判断がどのように行われているのかを改めて浮き彫りにしました。
この記事のポイント
- 打ち上げ約4時間前に油圧系の問題が見つかり、SpaceXがISS向け有人飛行を延期
- 米・日本・ロシアの4人の新クルーが、約9カ月滞在中のNASA宇宙飛行士2人と交代する予定
- Boeingの新型宇宙船スターライナーの不具合で、2人の帰還計画が大幅に延びている
打ち上げ直前に見つかった問題
打ち上げが予定されていたのは、米フロリダ州にあるNASAケネディ宇宙センターの発射台です。SpaceXのFalconロケットによるISS向けの有人飛行は、現地時間の水曜夜に打ち上げられる計画でした。
しかし打ち上げの約4時間前、発射台の油圧系統に懸念が生じました。この油圧システムは、ロケットを支える2本のアームのうち1本を開放し、発射直前に支柱全体を後方へ倒すために使われる重要な仕組みです。カウントダウンが進むなか、エンジニアたちはデータを確認し続けました。
4人の宇宙飛行士はすでにカプセルに乗り込み、打ち上げを待っていましたが、発射予定時刻まで1時間を切った段階で、SpaceXは安全のためその日の打ち上げ中止を決断しました。新たな打ち上げ日時はまだ正式に発表されていませんが、最短で木曜夜の再挑戦もあり得るとしています。
ISSで長期滞在を続ける2人の宇宙飛行士
今回のミッションには、米国、日本、ロシアの4人からなる新クルーが搭乗します。この新クルーがISSに到着し運用体制を引き継ぐことが、現在ISSに滞在しているNASAの宇宙飛行士ブッチ・ウィルモアさんとスニ・ウィリアムズさんの帰還条件となっています。
ウィルモアさんとウィリアムズさんは、すでに約9カ月にわたりISSでの生活を続けています。本来であれば、今回の交代ミッションが到着した後、地球への帰路につくはずでしたが、打ち上げ延期によりそのスケジュールも先送りになっている状況です。
Boeingの新型宇宙船スターライナーが抱える課題
2人が長期滞在を続けている背景には、Boeingが開発した新型宇宙船スターライナーの不具合があります。スターライナーは有人運用に向けた初の乗員試験飛行でしたが、飛行中に重大なトラブルが相次ぎました。
当初、2人の宇宙飛行士はスターライナーでISSを訪れ、およそ1週間で地球に戻る計画でした。しかしNASAは安全面を重視し、スターライナーを無人のまま地球に帰還させる判断を下しました。その結果、2人はISSでの滞在を続けながら、地球への帰還手段としてSpaceXの宇宙船を利用する計画に切り替えられています。
民間宇宙開発にとっての意味
今回の打ち上げ延期は、民間企業が担う有人宇宙飛行が成熟しつつある一方で、わずかな不具合でも慎重な判断が求められる現実を示しています。油圧系のような地上設備のトラブルであっても、安全が完全に確認できなければ打ち上げは行われません。
宇宙飛行の商業化が進むなか、NASAは複数の企業と連携し、宇宙飛行士の輸送手段を多様化しようとしています。SpaceXとBoeingという複数の選択肢があるからこそ、不具合が起きた際に別の手段へ切り替えることも可能になりますが、その分スケジュールの複雑さや調整の難しさも増しています。
ISSには各国の宇宙飛行士が滞在し、地球ではできない実験や観測が日々続けられています。今回の延期は、その運用を支える仕組みがいかに綱渡りのようなバランスの上に成り立っているのかを、私たちに静かに伝える出来事と言えるかもしれません。今後、SpaceXとNASAがいつ打ち上げに再挑戦するのか、そして長期滞在を続ける2人の宇宙飛行士がどのような形で地球に戻ってくるのか、引き続き注目されます。
Reference(s):
cgtn.com







