NASAとスペースX、新クルー打ち上げ ISSに9カ月滞在の宇宙飛行士交代へ video poster
NASAとスペースXが金曜日、国際宇宙ステーション(ISS)に向けて新たなクルーを打ち上げました。ボーイングの宇宙船トラブルで9カ月間ISSにとどまっている2人の宇宙飛行士を交代させ、地球への帰還につなげる重要な一歩となりました。
金曜日に実施された「クルー10」ミッション
今回の打ち上げは、NASAとスペースXによる「クルー10」ミッションとして実施されました。スペースXのロケット「ファルコン9」は、フロリダ州にあるNASAのケネディ宇宙センターから午後7時3分に発射され、ISSへ向けて飛び立ちました。
ロケットには4人の宇宙飛行士が搭乗しており、ISSに長期滞在しているブッチ・ウィルモア氏とスニ・ウィリアムズ氏の交代要員としてステーションに加わる計画でした。クルー10の宇宙飛行士たちは、打ち上げ翌日の土曜夜にISSへ到着する予定とされていました。
表向きは定例のクルー交代飛行ですが、今回のフライトは、9カ月におよぶ想定外の滞在を続ける2人を地球に戻すための準備という意味で、いつものローテーション以上の重みを持っていました。
スターライナーの不具合で「8日間」のはずが9カ月に
ウィルモア氏とウィリアムズ氏は、ともにNASAのベテラン宇宙飛行士であり、米海軍の試験飛行員としてのキャリアも持つ人物です。2人は6月、ボーイングが開発した新型有人宇宙船「スターライナー」に初めて乗り込み、ISSへ向かった最初のクルーとなりました。
当初、スターライナーによるISS滞在は約8日間の計画でした。しかし飛行中に推進系統(プロパルジョン)の問題が見つかり、NASAはスターライナーで帰還するのはリスクが高いと判断。2人の帰還は延期され、ISSでの滞在が大幅に延びることになりました。
スターライナーは最終的に9月、乗員を乗せない無人の状態で地球へ帰還しました。一方で2人の宇宙飛行士はISSにとどまり続け、計画よりはるかに長い9カ月のミッションを担うことになっています。
宇宙船の安全性に少しでも不確実性があれば、たとえ計画が大きく狂っても、帰還を急がない──今回の判断には、有人宇宙飛行における「安全最優先」の原則が色濃く表れています。
クルー10が担う「帰還への橋渡し」
クルー10ミッションは、表面上はISSの定例クルー交代フライトです。しかし実際には、長期滞在を続けるウィルモア氏とウィリアムズ氏を地球に戻すための前提条件を整える役割を担っていました。
4人の新クルーがISSに合流することで、ステーションの運用体制は安定し、2人は任務の引き継ぎを行ったうえで帰還準備に集中できるようになります。NASAはこの体制のもとで、2人が3月19日にステーションを出発し、地球へ戻る計画を立てていました。出発は、クルー10の宇宙飛行士が土曜夜に到着した後とされており、乗員構成を入れ替える綿密なスケジュールが組まれていた形です。
「ルーチン」とされるミッションの裏側で、個々の宇宙飛行士の安全な帰還をどう確保するのか。今回のケースは、その調整がいかに綿密で、かつ時間がかかるプロセスであるかを示しています。
民間宇宙船の時代とリスク管理
今回の出来事は、民間企業が関わる現在の宇宙開発の姿を象徴的に映し出しています。ボーイングのスターライナーとスペースXのロケットという、複数の民間システムが組み合わさることで、ISSへのアクセス手段は増えましたが、そのぶん個々のシステムの信頼性が改めて問われています。
複数の宇宙船やロケットを運用する狙いの一つは、一方にトラブルが発生しても、別の手段でクルー交代や物資輸送を続けられる「冗長性」を確保することにあります。今回、スターライナーの不具合で計画が大きく狂った一方、スペースXのフライトがISSへの新クルー輸送を担えたことで、2人の宇宙飛行士を安全に帰還させるための道筋が維持されました。
宇宙開発は、技術的な成功や失敗だけでなく、「リスクをどう分散し、どう判断するか」という運用面の意思決定が結果を大きく左右します。スターライナーの問題、ISSでの想定外の長期滞在、そしてクルー10の打ち上げは、その複雑さを私たちに見せてくれる事例だと言えます。
今回のニュースから見えるポイント
- ボーイングのスターライナー推進系統の不具合により、2人のNASA宇宙飛行士のISS滞在は約8日間から9カ月へと大幅に延長された。
- スペースXのファルコン9が打ち上げたクルー10ミッションは、4人の交代要員をISSに送り込むと同時に、2人の地球帰還への重要な一歩となった。
- NASAはスターライナーでの帰還を避ける判断を行い、安全を最優先する方針のもとで3月19日の出発計画を組んでいた。
一見すると「いつものクルー交代」に見えるニュースの背景には、民間宇宙船の時代ならではのリスク管理と意思決定があります。国際ニュースとしての宇宙開発を追うことは、技術の話だけでなく、「安全と挑戦のバランスをどう取るか」という、私たち自身の社会にも通じる問いを考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








