NASA宇宙飛行士の「想定外の長期滞在」 スペースX船で交代クルー到着 video poster
NASA宇宙飛行士の「想定外の長期滞在」 スペースX船で交代クルー到着
ボーイングの有人宇宙船のトラブルで国際宇宙ステーション(ISS)に足止めされているNASAの宇宙飛行士2人のもとに、交代要員となる新クルーがスペースXの宇宙船で到着しました。民間宇宙船の運用が本格化するなか、そのリスクと冗長性(バックアップ体制)が改めて浮き彫りになっています。
スペースXの新クルー4人、ISSへドッキング
打ち上げからおよそ1日後、スペースXのクルーカプセルがISSに到着し、NASAの「足止め」宇宙飛行士の交代要員となる4人を運びました。搭乗していたのは、米国、日本、ロシアを代表する宇宙飛行士と飛行士で、ISSはしばらくの間、合計11人というにぎやかな体制になります。
ハッチが開くと、ISS側のブッチ・ウィルモア宇宙飛行士が船の鐘を鳴らし、新クルーを一人ずつ迎え入れました。軽いジョークとして、ロシア人クルーの一人イワン・ワグネル氏がエイリアンのマスクをかぶる場面もあり、長期ミッションの合間の貴重な「笑い」として伝えられています。
1週間のはずが9か月に ボーイング宇宙船の問題
ISSに長期滞在しているのは、NASAのブッチ・ウィルモア氏とスニ・ウィリアムズ氏です。2人は当初、ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」による初の有人試験飛行で打ち上げられ、ISSに約1週間滞在して地球へ戻る計画でした。
ところがスターライナーは飛行中やドッキング後に多くの技術的な問題に直面し、NASAは安全性を最優先して「カプセルを無人で地球に戻す」判断をしました。その結果、テストパイロットである2人はISSに残り、スペースXによる帰還の「拾い上げ」を待つ想定外の長期ミッションとなりました。打ち上げからすでに約9か月が経過し、ISSでの生活と任務は大幅に延びています。
帰還はスペースX船で 火曜日にフロリダ沖着水の計画
ウィルモア氏とウィリアムズ氏は、今回到着したクルーからISSでの生活や実験、設備の細かな引き継ぎを受けたあと、今度はスペースXのカプセルに乗り込んで地球へ戻る予定です。このカプセルはすでに長期間ISSにドッキングしていたもので、帰還用として空席が2つ確保されていました。
当初、2人の帰還は別の新造カプセルを使う計画でしたが、その機体のバッテリーに広範な修理が必要となり、より旧型のカプセルが代わりに投入されました。この変更により、帰還時期は数週間ずれ込み、中旬ごろの帰還計画となっています。
天候が許せば、ウィルモア氏とウィリアムズ氏、そして2人の宇宙飛行士を乗せたスペースXのカプセルは火曜日早朝にISSから分離し、その日の夜に米フロリダ州沖の海上へ着水するシナリオです。
ISSには一時的に11人 日米露が同じ船内で暮らす
交代ミッションが完了するまでの間、ISSには米国、ロシア、日本の3か国を代表する11人が同時に滞在する体制となります。新旧クルーがともに作業しながら、実験の引き継ぎや設備点検を進めていくことになります。
スニ・ウィリアムズ氏は新クルー到着後、「本当に素晴らしい一日でした。友人たちが到着する様子を見ることができてうれしいです」と地上の管制室に伝えました。長期間の任務で心身の負担が大きいなか、仲間の合流は大きな支えになっていることがうかがえます。
なぜこのニュースが重要か
今回の出来事は、国際ニュースとして次のようなポイントを示しています。
- 民間企業の宇宙船による有人飛行が進む一方で、技術的な課題やトラブルが避けられないこと
- 複数機の宇宙船と企業を組み合わせることで、トラブル時でも乗組員の安全を守る「冗長性」を確保していること
- 政治情勢が揺れるなかでも、ISSでは日米露の宇宙飛行士が協力して科学実験や運用を続けていること
スマートフォン越しに見ていると、宇宙船の乗り換えや打ち上げ延期は単なるニュースに見えますが、その裏側では、宇宙飛行士一人ひとりの生活や家族の予定、宇宙開発全体の信頼性がかかっています。今回の「想定外の長期滞在」は、宇宙をめぐる私たちのリスクのとり方と、国境を超えた協力のかたちを考えるきっかけになりそうです。
Reference(s):
NASA's stuck astronauts welcome their newly arrived replacements
cgtn.com








