NASA宇宙飛行士2人、約9カ月の「足止め」経て地球に無事帰還 video poster
NASAの宇宙飛行士2人が、予定よりはるかに長い約9カ月の滞在を経て国際宇宙ステーション(ISS)から地球に戻りました。ボーイングの新型宇宙船の不具合にはじまり、SpaceXカプセルの問題も重なるなど、民間企業に依存する有人宇宙飛行の現実とリスクが浮き彫りになった出来事です。
約9カ月の予定外ミッション、ようやく帰還
帰還したのは、NASAのブッチ・ウィルモア宇宙飛行士とスニ・ウィリアムズ宇宙飛行士です。2人を乗せたSpaceXのカプセルは、国際宇宙ステーションを出発した数時間後、フロリダ州タラハシー沖のメキシコ湾にパラシュートで降下し、着水しました。
着水から約1時間後、2人はカプセルから姿を現し、カメラに向かって手を振りながら笑顔を見せました。その後、リクライニング式ストレッチャーで運ばれ、通常の健康チェックを受けました。
発端はボーイングの試験飛行の不具合
今回の長期滞在の発端は、ボーイングの新型有人宇宙船「スターライナー」の試験飛行でした。2人は6月5日にスターライナーで打ち上げられ、本来はおよそ1週間程度で地上に戻る予定だったとされています。
しかし国際宇宙ステーションへ向かう途中で、複数の問題が次々と発生しました。NASAは安全性を優先し、スターライナーを無人のまま地球に戻す判断を下します。その結果、テストパイロットでもある2人は国際宇宙ステーションに残されることになりました。
帰還手段はボーイングからSpaceXへバトンタッチ
NASAは2人を帰還させるため、別の手段を模索しました。最終的に選ばれたのは、すでに運用実績のあるSpaceXのカプセルです。2人は当初、数カ月後の2月ごろにSpaceX便で帰還する計画でしたが、そのカプセルでも問題が見つかり、帰還はさらに約1カ月先送りとなりました。
こうして、当初およそ1週間の予定だったミッションは、気づけば9カ月以上に延びることになりました。国際宇宙ステーションのクルー交代計画や地上側の準備もすべて再調整を迫られ、国際宇宙開発の複雑なスケジュール管理が浮き彫りになりました。
新クルー到着でようやく「帰宅許可」
2人がようやく地球に戻れるめどが立ったのは、後任クルーが国際宇宙ステーションに到着したタイミングでした。日曜日に到着した交代要員には、NASAのニック・ヘイグ宇宙飛行士とロシアのアレクサンダー・ゴルブノフ宇宙飛行士が含まれていました。
2人は自分たちのSpaceXカプセルで国際宇宙ステーションに到着しましたが、その機体にはあらかじめ2席分の空席が確保されていました。これは、スターライナーに乗ってきたウィルモア氏とウィリアムズ氏が、同じSpaceXカプセルで地球に戻れるようにするための措置でした。
さらにNASAは、週後半の天候が不安定と予測されたことから、2人の帰還日程をやや前倒しする判断をしました。こうして、国際宇宙ステーションでの予定外の長期滞在に終止符が打たれました。
民間宇宙輸送時代のリスクと冗長性
今回の一連の出来事は、NASAが有人宇宙飛行の輸送手段として複数の民間企業を活用している現状を象徴しています。1社の宇宙船にトラブルが起きた場合でも、別の宇宙船でクルーを送り届けたり、帰還させたりできる冗長性が確保されているとも言えます。
一方で、新しい宇宙船の試験飛行には予期せぬトラブルがつきものです。スターライナーの不具合とSpaceXカプセルの問題が連鎖した今回のケースは、技術的な挑戦の厳しさと、安全最優先の判断がいかに宇宙飛行士のスケジュールや生活に影響するかを物語っています。
この国際ニュースから見えるもの
今回のニュースから押さえておきたいポイントを、簡単に整理します。
- 2人のNASA宇宙飛行士が、当初1週間の予定だったミッションで約9カ月国際宇宙ステーションに滞在した。
- 発端はボーイングの新型宇宙船スターライナーの不具合で、宇宙船は無人で地球に帰還した。
- 帰還手段はSpaceXのカプセルに切り替えられたが、こちらでも問題が見つかり帰還がさらに遅れた。
- 後任クルーの到着と天候の見通しを受けて、2人はメキシコ湾に着水する形で無事帰還した。
- 複数の民間企業に依存する現在の宇宙輸送体制は、リスク分散であると同時に、トラブル時の調整の難しさも示している。
2025年の今、宇宙開発はかつての国家主導型から、国家と民間企業が役割を分担しながら進めるフェーズに入っています。NASA宇宙飛行士2人の長い帰還までの道のりは、その転換期ならではの揺らぎと、宇宙に向かう人類の挑戦が続いていることを改めて示したと言えるでしょう。
Reference(s):
NASA astronauts return to Earth after 9 months stuck in space
cgtn.com








