インテル新CEOリップ・ブー・タン氏、顧客に本音要求とエンジニア主導改革を宣言
米半導体大手インテルの新CEO、リップ・ブー・タン氏が、就任後初の公の場で顧客に「徹底的に本音で語ってほしい」と呼びかけました。かつてPCとデータセンターで9割超のシェアを誇った同社のトップ交代は、半導体業界とデジタル経済の行方を占う動きとして注目されています。
ラスベガスでの初スピーチ、顧客に本音を要求
インテルによるイベントVisionがラスベガスで開かれ、顧客企業と製品戦略を議論する場となりました。現地時間の月曜日、タン氏は新CEOとして初めて登壇し、よりスリムで機動力のあるインテル像を描きつつ、「どうか私たちに遠慮なく本音をぶつけてほしい」と語りました。
タン氏は就任後の数週間を、主要顧客との面談に充ててきたと説明します。その上で、「これまでのインテルは皆さんの期待から大きくかけ離れていた」と率直に認め、顧客の厳しい評価を出発点に事業を立て直す考えを示しました。
- 今週は「遠慮のないフィードバック」を出してほしい
- 厳しい指摘こそがインテルを変える材料になる
- 顧客の声を起点に、エンジニアとともに新製品をつくる
かつてシェア9割超、いまは競合に押されるインテル
タン氏が率いることになったインテルは、かつてはパソコン向けとデータセンター向けサーバーの双方で市場シェア90%超を誇る存在でした。しかし近年は、Nvidiaなどの競合企業に主導権を奪われつつあります。データセンターなど成長分野で競争が激しさを増すなか、インテルがどう反転攻勢に出るかは、世界のテクノロジー企業にとっても無視できないテーマです。
「スリムなインテル」へ 中間管理職の見直し
タン氏は、インテルの組織構造にもメスを入れる姿勢を示しています。一部報道によると、動きが遅く肥大化した中間管理職の層を削減し、意思決定のスピードを高める方針だといいます。
こうした「スリム化」は、単なるコスト削減ではなく、現場のエンジニアが顧客の声を素早く製品に反映できる体制づくりを狙ったものだと受け止められます。
エンジニア主導への転換 「中からのイノベーション」を重視
月曜日のスピーチでタン氏が繰り返し強調したのが、インテルのエンジニアにより多くの権限と自由を与えるという点でした。同氏は、ここ数年のインテルでは新しいアイデアが「育ち、花開く余地」が十分になかったと指摘し、その構造を変えたいとしています。
「社内からのイノベーションを引き出すために、エンジニアに自由を与える」と述べたタン氏は、自身の週末は多くのエンジニアやアーキテクトとの議論で埋まっていると明かしました。「彼らは世界を変えたいという優れたアイデアを持っている。それを一緒に形にしていくのが楽しみだ」と語り、技術者との距離の近さをアピールしました。
失われた人材を取り戻す
同時にタン氏は、インテルが近年「かなりの人材を失ってきた」と認めています。そのうえで、「業界で最も優れた人材にインテルへ戻ってきてもらう、あるいは新たに参加してもらうことが最優先だ」と述べ、採用とリテンション(人材の定着)を最重要課題に位置づけました。
エンジニアファーストを掲げる新体制が本当に人材を呼び戻せるのかどうかは、今後数年でインテルの競争力に直結するポイントになりそうです。
大企業はどこまで変われるのか
顧客に対し「容赦ない本音」を求め、エンジニアに権限を移し、中間管理職をスリム化する──。タン氏が打ち出したメッセージは、インテルという一社の話にとどまらず、大企業がイノベーションを取り戻すために何が必要かという問いを投げかけています。
デジタル技術の進化が速いいま、顧客のフィードバックをどう受け止め、現場の知恵をどう経営に反映させるかは、日本を含む世界の多くの企業が直面する共通の課題です。インテルの試みが成功するのか、それとも痛みだけで終わるのか。今後の数年間、同社の動きを追うことが、半導体業界だけでなく、自社の組織や働き方を見直すヒントにもなりそうです。
Reference(s):
Intel's new CEO tells customers to 'be brutally honest with us'
cgtn.com








