ホワイトハウス、TikTok売却案を協議 4月5日期限と米国のテック規制
2025年4月5日に設定された期限を前に、米ホワイトハウスが動画投稿アプリTikTok(ティックトック)の「米国事業の行方」をめぐり重要な会合を開いていたことが分かりました。法律と安全保障、そして巨大テック企業の利害が交差する、この動きを整理します。
トランプ政権、ホワイトハウスで最終案を協議
ロイター通信によると、ドナルド・トランプ米大統領は、4月5日の期限を前にTikTokの扱いに関する「最終案」を検討するため、ホワイトハウスの大統領執務室(オーバルオフィス)で会合を開く予定でした。
この会合には、JD・バンス副大統領、商務長官のハワード・ルトニック氏、国家安全保障担当のマイク・ウォルツ大統領補佐官、国家情報長官のタルシ・ギャバード氏が参加するとされています。安全保障と経済を担当する要人が一堂に会する、政権内でも重みのある場だったことがうかがえます。
焦点は「非中国資本」への売却か、米国内での禁止か
背景には、2024年に成立した米国の法律があります。この法律の下で、トランプ大統領はTikTokに対し、「非中国資本の買い手を4月5日までに見つけること」を求めました。期限までに条件を満たせなければ、TikTokは米国内での利用を禁止される可能性があるとされています。
TikTokは現在、1億7,000万人の米国ユーザーを抱えるとされ、個人の情報発信だけでなく、中小企業やクリエイターのマーケティング基盤にもなっています。禁止となれば、ユーザーの生活やビジネスに大きな影響が出ることは避けられません。
投資ファンドが続々と名乗り BlackstoneやAndreessen Horowitzも
こうした中で、TikTokの親会社である中国のByteDance(バイトダンス)から米国事業を切り離す案をめぐり、複数の投資家グループが動いていると報じられています。
- プライベート・エクイティ(未公開株)大手のブラックストーンは、既存の非中国系株主とともに新たな資本を拠出し、TikTokの米国事業に出資する案を検討。
- 既存株主には、米投資会社サスケハナ・インターナショナル・グループやジェネラル・アトランティックなどがいるとされます。
- シリコンバレーのベンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツも出資を協議していると英紙フィナンシャル・タイムズが報道。
報道によれば、アンドリーセン・ホロウィッツの共同創業者であり、トランプ氏を支持することで知られるマーク・アンドリーセン氏は、オラクルなど米国の投資家と連携し、ByteDanceの中国系投資家を買い取る枠組みを模索しているとされています。
トランプ政権の思惑 「安全保障」と「コントロール」
トランプ大統領は、TikTokをめぐる交渉について、4月5日の期限までに合意が成立すると自信を示していたと伝えられています。安全保障上の懸念を理由に掲げつつ、自身が主導する投資家グループがアプリの支配権を握る形を模索している、と報じられています。
ホワイトハウスの会合に副大統領や国家安全保障担当者だけでなく、商務長官や国家情報長官も加わっていることから、これは単なるビジネスディールではなく、
- データやアルゴリズムの管理をどのように行うか
- 外国企業が提供するアプリをどこまで受け入れるのか
- 米国の安全保障とデジタル経済をどう両立させるか
といった広い問いが、政権内で議論されていたことが分かります。
ByteDance側の動き 非中国投資家の比率を高める構想
ロイター通信は、TikTokをめぐる協議が、ByteDanceの中でも「非中国系の大株主が出資比率を引き上げ、TikTokの米国事業を取得する」という案に収れんしつつある、と伝えています。
この構想が実現すれば、
- TikTokの米国事業は、引き続き同じプラットフォームを維持しつつも、所有構造が変わる
- 米国ユーザーのデータ管理やガバナンス(統治)の枠組みが見直される
- 米国側は「安全保障上の懸念」に一定の答えを用意できる
といったシナリオが意図されていると考えられます。一方で、TikTokやアンドリーセン・ホロウィッツは、こうした報道へのコメントを控えているとされ、交渉の詳細は公にはなっていません。
なぜこのニュースが重要なのか 日本の読者への示唆
TikTokをめぐる動きは、単に一つのアプリの話にとどまりません。日本を含む世界のデジタル社会にも、次のような問いを投げかけています。
- 特定の国や地域に本拠を置くプラットフォームを、各国はどのような条件で受け入れるのか。
- ユーザーデータやアルゴリズムへのアクセスを、政府はどこまで求めるべきなのか。
- 政治や安全保障の判断が、クリエイターや中小企業の日常のビジネスにどのような影響を与えるのか。
特に、SNSや動画プラットフォームを仕事や情報収集の基盤として使う人が増えるなか、「どの国の、どのルールに縛られたサービスを使っているのか」という視点は、今後ますます重要になっていきます。
押さえておきたい3つのポイント
最後に、このニュースを理解するためのポイントを3つにまとめます。
- 期限付きの売却要求:2024年の法律を背景に、TikTokは4月5日までに非中国資本の買い手を見つけるよう求められていました。
- 投資家連合の台頭:ブラックストーンやアンドリーセン・ホロウィッツ、既存株主のサスケハナやジェネラル・アトランティック、オラクルなどが、米国事業の取得をめぐり複雑な連合を模索しているとされています。
- テックと安全保障の交差点:ホワイトハウスの高官が集まる会合となったことで、TikTok問題が「一企業の買収劇」を超え、データ、アルゴリズム、安全保障、そして民主社会における情報空間のあり方をめぐる象徴的なテーマになっていることが浮かび上がります。
米国発のこうした動きは、今後、日本やアジアの国際ニュースやテック政策にも影響を及ぼす可能性があります。日々使っているアプリの「裏側」で何が起きているのか、引き続き注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








