天王星の1日が28秒長く ハッブル望遠鏡が自転周期を更新
天王星の「1日」が、これまで考えられていたよりも28秒長いことが、ハッブル宇宙望遠鏡の観測から明らかになりました。自転周期のわずかな更新ですが、惑星の内部や磁場を理解するうえで大きな意味を持つ発見です。
天王星の自転周期、17時間14分52秒に
2025年に発表された今回の研究では、天王星が自転を一周するのにかかる時間が「17時間14分52秒」と報告されました。これは、1980年代に米航空宇宙局(NASA)の探査機ボイジャー2号が示した推定値より、28秒長い数値です。
天王星は太陽から数えて7番目の惑星で、その公転周期は約84地球年とされています。私たちの時間感覚から見ると遠い世界の話に感じられますが、その「1日」の長さを正確に測り直す作業が、今改めて進んでいるのです。
10年分のオーロラ観測で磁極を追跡
今回の成果を導いたのは、フランスが中心となった国際研究チームです。パリ天文台のローラン・ラミー氏が率いるグループは、天王星で見られるオーロラの観測データを10年分集めました。
天王星には、磁場がつくる「磁気圏(じきけい)」と呼ばれる空間があります。研究チームは、この磁気圏に関連する磁極の位置を、オーロラの現れる場所から長期的に追いかけることで、自転のリズムをより正確に割り出しました。
研究を支えたのが、ハッブル宇宙望遠鏡による継続的な観測です。ラミー氏は「ハッブルによる継続的な観測が決定的に重要だった」と述べ、長期データの積み重ねによって初めて到達できた精度だと強調しています。
オーロラを手がかりに、ほかの世界の自転も
ラミー氏らの国際チームは、今回用いた手法について、「オーロラと磁気圏を持つあらゆる天体の自転を測るのに役立つ」としています。言い換えれば、天王星だけでなく、ほかの惑星や衛星の「1日」の長さも、同じ仕組みでより正確に測れる可能性があるということです。
自転周期は、天体の内部構造や大気の動き、磁場の成り立ちを理解するための基本的な情報です。わずか28秒の違いであっても、長期的なシミュレーションやモデルには影響しうるため、今回のような精密な測定は、宇宙物理学にとって重要な一歩となります。
ハッブル打ち上げ35周年と重なるタイミング
この研究成果は、科学誌「Nature Astronomy」に掲載されました。発表は、ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ35周年を迎える数週間前というタイミングでした。
ハッブルは、スペースシャトル「ディスカバリー」によって1990年4月24日に打ち上げられました。2025年に35周年を迎えた今も、その観測データは新しい発見をもたらし続けています。天王星の「1日」を28秒だけ長くした今回の成果も、その長いミッションの延長線上にあると言えるでしょう。
宇宙の時計をどうやって正確に測るのか。その問いに、地球から遠く離れた天王星と、35年にわたり空を見つめてきたハッブル宇宙望遠鏡が、静かに答えを積み重ねています。
Reference(s):
cgtn.com







