国連UNOOSA専門家が語る、宇宙先進国と途上国の「協力する宇宙開発」 video poster
国際ニュースとして注目される宇宙開発の現場で、「途上国と宇宙先進国の協力」が改めて重要視されています。国連の宇宙関連機関である国連宇宙部(UNOOSA)のアールティ・ホラ=メイニ氏は、こうした協力が知識と技術の共有を進め、世界全体の宇宙探査をより公平にする鍵になると指摘しています。
宇宙開発は一部の国のものではない
ホラ=メイニ氏は、宇宙にアクセスする能力を持つ宇宙先進国と、いままさに宇宙分野への参加を模索する開発途上国が協力することで、双方にとって大きな利益が生まれるとみています。
これまで宇宙開発は、一部の宇宙先進国が主導してきました。しかし現在は、通信、気候変動の監視、防災、農業の効率化など、宇宙技術が日常生活や社会課題の解決に直結する時代です。その恩恵をより多くの国と地域が享受できるかどうかは、協力のあり方にかかっています。
UNOOSA専門家が強調する「協力」のメリット
ホラ=メイニ氏が示す、宇宙先進国と途上国が手を組むメリットは大きく分けて次のような点です。
- 知識の共有:宇宙先進国が持つ運用ノウハウや研究成果を共有することで、途上国が一からすべてを構築する負担を減らすことができます。
- 技術の進歩:共同プロジェクトを通じて、新しい技術や応用分野が生まれやすくなり、宇宙全体の技術レベルが底上げされます。
- 探査目標の共有:それぞれの国がバラバラに計画するよりも、目標を共有することで、重複投資を避け、長期的で野心的な探査計画を実現しやすくなります。
- 格差の縮小:宇宙技術へのアクセス格差が縮まることで、宇宙から得られるデータやサービスの恩恵がより多くの人々に届きやすくなります。
- 公平な宇宙活動:多様な国と地域が参加することで、宇宙をめぐるルールづくりや価値観も、より公平でバランスの取れたものになっていきます。
どのような協力が考えられるのか
ホラ=メイニ氏は、単に技術支援を一方向に行うのではなく、「共に学び、共に探査目標をつくる」かたちの協力を重視しています。例えば、次のような取り組みが考えられます。
- 人材育成プログラム:宇宙先進国の研究機関や企業が、途上国の若手研究者や技術者を受け入れ、実務を通じた教育や研修を行う。
- 衛星データの共同利用:気象、農業、防災などに使える衛星データを、複数の国で共有し、分析ノウハウも含めて共同で活用する。
- 共同ミッション:観測衛星や探査機の計画を共同で立ち上げ、費用や役割を分担しながらプロジェクトを進める。
- ルールづくりへの共同参加:宇宙空間の持続可能な利用や宇宙ごみ対策など、国際的な枠組みづくりに、途上国も早い段階から参加できるようにする。
「公平な宇宙」をめざすという視点
ホラ=メイニ氏の主張の背景には、「宇宙をめぐる取り組みを、世界全体にとって公平なものにする」という視点があります。宇宙技術の恩恵が一部の国に偏れば、経済や安全保障だけでなく、情報や気候対策の面でも格差が広がる可能性があります。
逆に、早い段階から途上国と宇宙先進国がパートナーとして協力できれば、宇宙を活用した社会課題の解決がより広い地域で可能になります。これは、気候変動や自然災害といった国境を越える問題に対応するうえでも重要です。
日本やアジアの読者にとっての意味
日本を含むアジアの国々でも、宇宙ビジネスや宇宙スタートアップが注目されています。その一方で、宇宙に関わる資金や技術、人材はまだ一部の国や企業に集中しがちです。
国連UNOOSAの専門家が訴える「協力による宇宙開発」は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 自国の宇宙技術を、地域や他国とどう分かち合えるのか。
- 途上国の人材や視点を取り込むことで、どんな新しい発想が生まれるのか。
- 宇宙をめぐるルールづくりに、自分たちの地域の声をどう反映させるのか。
宇宙開発というと遠い世界の話に聞こえますが、実際には通信、天気予報、位置情報サービスなど、私たちの日常生活と密接につながっています。宇宙先進国と途上国の協力が進むかどうかは、未来のインフラや情報環境がどれだけ公平で開かれたものになるかにも関わってきます。
これからの宇宙協力をどう見るか
2025年のいま、宇宙をめぐる国際協力は、新たな段階に入りつつあります。ホラ=メイニ氏の提案は、単なる技術論ではなく、「宇宙を通じてどのような世界をつくりたいのか」という問いそのものでもあります。
宇宙先進国と開発途上国が、知識と技術、そして探査の目標を共有することで、宇宙はより多くの人々に開かれた場になる可能性があります。その動きをどう後押しし、どう見守るかは、国際ニュースに関心を持つ私たち一人ひとりにとっても、考える価値のあるテーマといえるでしょう。
Reference(s):
Expert: Spacefaring countries have a lot to gain from collaboration
cgtn.com







