NASAの新宇宙望遠鏡SPHERExが本格観測開始 全天マッピングへ
NASAの新しい宇宙望遠鏡「SPHEREx(スフィアレックス)」が科学観測を正式に開始し、今後2年間で全天をマッピングする野心的なプロジェクトが動き出しました。宇宙の始まりから銀河の進化、そして天の川銀河における生命の材料まで、私たちの宇宙観を揺さぶるデータが次々と集まり始めています。
SPHERExとは? 全天を3Dで描き出す望遠鏡
NASAは米国時間の木曜日、宇宙望遠鏡SPHERExが正式に科学運用フェーズに入ったと発表しました。SPHERExは、宇宙の起源や銀河の進化、生命の構成要素を探ることを目的とした宇宙望遠鏡で、国際ニュースとしても注目されています。
SPHERExは、全天を系統的に観測し、そのデータから数億個規模の銀河の位置を三次元的にマッピングします。これにより、宇宙の大規模構造がどのように形成・進化してきたのかを、これまでよりも精密にたどることが期待されています。
1日3,600枚の撮影で2年間かけて全天をスキャン
NASAによると、SPHERExは今後約2年間、1日におよそ3,600枚もの画像を撮影しながら全天をくまなくサーベイしていきます。観測運用期間は25カ月を予定しており、その間に地球を約14.5周する軌道を1万1,000回以上も回る計算です。
この高頻度の周回と撮影によって、同じ領域を何度も観測しながらデータの精度を高めていく仕組みです。スマートフォンのパノラマ撮影を、はるかに大きなスケールで、しかも何度も重ね撮りしていくイメージに近いかもしれません。
いつ打ち上げられたのか? 打ち上げ後6週間のチェックを経て本格運用へ
SPHERExは、2025年3月11日に打ち上げられました。打ち上げ後の約6週間は、機器が設計どおりに動作しているかを確認するため、チェックアウトや較正などの作業が続けられてきました。
こうした準備期間を経て、現在は本格的な科学観測に入った段階です。言い換えれば、これからの約2年が、ミッションの本番となる期間だと言えます。
宇宙の始まりと生命の材料 SPHERExがねらう大きな問い
SPHERExの最大のねらいは、宇宙論の根本的な問いに迫ることです。最初の一瞬に宇宙はどのように始まったのか、そして銀河や銀河同士がつくる大規模な構造はどのように成長してきたのか──SPHERExは、膨大な銀河の三次元分布を測定することで、その手がかりを探ります。
さらに、このミッションは天の川銀河の中で生命の材料がどのように分布しているかを調べることも視野に入れています。星や惑星の形成が盛んな領域を詳しく観測することで、私たちの銀河における生命の可能性をより現実的な形で描き出そうとしているのです。
次世代のローマン宇宙望遠鏡につながる前哨ミッション
NASA本部の天体物理学部門のシャウン・ドマガル=ゴールドマン氏は、SPHERExが今後打ち上げ予定のナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡など、一連の宇宙サーベイミッションの重要な一角を担うと強調しています。SPHERExで得られる広く浅くの全天データが、ローマン宇宙望遠鏡などによる狭く深い観測のターゲット選定や結果の解釈に役立つと期待されているためです。
複数の宇宙望遠鏡が役割を分担しながら宇宙を観測することで、個々のミッションだけでは見えない全体像が浮かび上がってきます。SPHERExは、そうした宇宙観測ネットワークの一員として、欠かせない基盤データを提供する位置づけにあります。
私たちは何を待てばいい? 結果が出てくるタイミング
では、一般の私たちはいつごろからSPHERExの成果を目にすることになるのでしょうか。大量のデータを解析して論文としてまとめるには時間がかかるため、今後数年にわたって、宇宙の成り立ちや銀河の進化に関する新しい結果が少しずつ報告されていくと見込まれます。
ニュースとしては、まず最初の全天マップや初期成果といった形での発表が話題になるはずです。その後、個別の銀河や銀河団、あるいは天の川銀河内の特定の領域に焦点を当てた研究が次々と出てくるでしょう。
空を見上げるときの視点を変えるミッション
私たちが夜空を見上げるとき、そこに広がっているのは単なる星空ではなく、SPHERExの目には膨大な情報が詰まったデータの宇宙として映ります。宇宙の始まりや生命の可能性に関する議論が、今後どのようにアップデートされていくのか。SPHERExの観測は、私たちの宇宙観を静かに、しかし確実に揺さぶっていくことになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








