日本の民間月着陸機「レジリエンス」、月周回軌道入りと6月着陸計画を振り返る
2025年、民間企業による月面着陸への挑戦が一気に加速しました。その中心の一つが、日本の宇宙ベンチャー ispace(アイスペース)の月着陸機「レジリエンス」です。探査機は月周回軌道に入り、6月第1週の着陸を目指していました。本記事では、この日本発ミッションと国際的な月面レースの流れを整理します。
日本発・民間月着陸機「レジリエンス」とは
東京に拠点を置く ispace は、2025年1月に月着陸機「レジリエンス」を打ち上げました。打ち上げには米宇宙企業 SpaceX のロケットが使われ、米国の Firefly Aerospace の月着陸機とともに宇宙へ向かいました。
その後、「レジリエンス」は月を回る軌道への投入に成功しました。ispace は水曜日の朝に月周回軌道への到達を発表し、声明で「月面着陸へのカウントダウンが正式に始まった」と強調しました。着陸予定まで残りおよそ1カ月という段階で、探査機はすでに月を周回していたことになります。
民間企業による月面レース:Firefly と Intuitive Machines
「レジリエンス」は、民間企業による月面着陸の波の中に位置づけられます。同じロケットで打ち上げられた米 Firefly Aerospace の月着陸機は、今年3月に月面到達を果たしました。Firefly は、クラッシュや横転を伴わずに月面着陸に成功した、初の民間企業になりました。
その数日後には、別の米企業 Intuitive Machines も月面着陸に成功しています。ただし、着陸機はクレーターの中で横倒しの状態になったとされ、月面探査の難しさをあらためて印象づけました。成功・失敗の境界線が紙一重であることが、連続するミッションから見えてきます。
こうした中で、日本の ispace も「次は自分たちの番だ」という形で名乗りを上げました。「レジリエンス」は6月第1週の月面着陸を目標にしており、米企業に続いて民間による着陸成功を狙う計画でした。
2023年のクラッシュからの再挑戦
ispace にとって「レジリエンス」は、2回目の月面着陸の試みでした。同社の初号機は2023年、着陸時に月面へ衝突し、ミッションは途中で失敗に終わっています。
それから約2年を経ての再挑戦は、「失敗から学び、もう一度挑む」という姿勢を象徴するものでもあります。探査機の名称「レジリエンス」には、困難から立ち直ろうとする意思が込められているようにも受け取れます。
月面着陸は、国家レベルの宇宙機関にとっても成功が当たり前ではない、難度の高いミッションです。そんな領域に民間企業が連続して挑む構図は、宇宙開発の主役が多様化しつつあることを示しています。
小型ローバーが運ぶ「月の土」の意味
「レジリエンス」には、小型のローバー(小型探査車)が搭載されています。ローバーにはスコップが備えられており、月面の砂や岩石、いわゆる「月の土」を採取して分析する計画でした。このほかにも、複数の実験機器が搭載されているとされています。
月の表面物質を直接採り、分析することは、月の成り立ちや環境を理解するための重要な手がかりになります。どのような粒子があり、どの程度の固さなのかといった基本的な情報は、将来の月面基地建設や長期滞在の可能性を考えるうえでも欠かせません。
国際ニュースとして見える問い
2025年の一連の月面ミッションを見ると、月探査がもはや一部の国家だけのプロジェクトではなく、複数の民間企業が連続して挑戦するステージに入っていることが分かります。米国企業の Firefly や Intuitive Machines に続き、日本の ispace も同じ舞台に立とうとしたことは、国際ニュースとしても大きな意味を持ちます。
失敗を経験してもなお挑戦を続ける ispace の姿勢、そして小型ローバーで「月の土」を持ち帰らずにその場で調べようとする発想は、宇宙開発のやり方そのものを少しずつ変えていくかもしれません。私たちは、この流れの中で「宇宙開発は誰のためのものか」「民間企業が宇宙で何を目指すのか」という問いを、あらためて考える段階に来ていると言えそうです。
Reference(s):
Private Japanese lunar lander enters lunar orbit for June touchdown
cgtn.com








