トランプ政権がAI半導体輸出規制を見直し バイデン期ルールを再設計
米国のトランプ政権が、バイデン政権期に導入された人工知能(AI)向け高度半導体の輸出規制を見直し、世界的なルールの枠組みを大きく組み替えようとしています。AI半導体をめぐる国際ルールの行方は、日本を含む各国のデジタル産業にも影響しそうです。
トランプ政権、バイデン期のAI半導体輸出規制を「撤回・修正」へ
米商務省の報道担当者は水曜日、トランプ政権がバイデン政権期の規則を撤回し、内容を修正する方針だと明らかにしました。この規則は、高度なAIチップと関連技術の輸出を制限し、許可なく国外に流出しないよう管理を強化する目的で策定されたものです。
担当者によると、政権内ではまだ最終的な方針をめぐる議論が続いており、新たな規則がいつ公表されるかの具体的な時期は示されていません。もともとのバイデン期ルールは、5月15日に発効する予定とされていました。
世界を「階層」に分けたバイデン期ルール
バイデン政権期の規則は、AI半導体輸出を管理するために世界を複数のランクに分ける仕組みを導入していました。米国と同盟国には高度な計算能力を確保しつつ、特定の国・地域には最先端の半導体や技術が渡りにくくなるよう調整する考え方です。
ロイター通信によれば、この枠組みは高度な計算資源を米国とその同盟国に集中させる一方で、中国本土へのアクセスをさらに制限する狙いがありました。
「段階制は執行不能」 新たなグローバル・ライセンス制案
しかし、商務省の担当者は、この世界を階層ごとに分ける仕組みについて、政権内で「好まれていない」うえ、「執行不能だ」との評価が出ていると語っています。
ロイター通信が先週伝えたところによると、トランプ政権内では、こうした段階制を廃止し、政府同士の合意に基づく世界共通のライセンス制度に置き換える案が検討されています。輸出量や対象品目を二国間・多国間の合意で管理するイメージで、単純な地理的な区分から、個別の国同士の関係や協定に重心を移す可能性があります。
どの程度厳格な仕組みになるのか、また各国にとってどれだけ予見性のある制度設計となるのかは、今後の交渉次第といえそうです。
エヌビディア株は一時上昇 市場は「輸出拡大」のシナリオを意識
今回の見直しの報道を受け、AI向け半導体を設計する米エヌビディアの株価は、水曜日の通常取引を3%高で終えました。規則が緩和され、同社の輸出機会が広がるとの期待が意識されたとみられます。
一方で、その後の時間外取引では株価が0.7%ほど下落しており、市場は新ルールの具体像が見えるまでは慎重な姿勢を崩していないとも読めます。
日本とアジアにとっての意味
AI半導体をめぐる米国の輸出管理は、日本やアジアの企業にとっても無関係ではありません。半導体製造装置や素材、データセンター向けの部品など、多くの分野でサプライチェーンが米国の規則に左右されるためです。
今回のトランプ政権による見直しを踏まえ、日本やアジアの読者が押さえておきたいポイントは次の通りです。
- ルールの焦点は「どの国に、どの程度の計算能力を渡すか」という配分の問題になりつつある
- 世界共通ライセンス制が導入されれば、政府間の合意の内容が企業のビジネス環境を左右する度合いが強まる可能性がある
- AI半導体の需要は世界的に拡大しており、輸出規制の変更は、企業の投資計画や拠点戦略の見直しにつながりうる
AIと半導体は、経済と安全保障の両面で重要性が高まっています。トランプ政権がどのような最終案を打ち出すのか、そして各国がそれにどう応じるのかが、2020年代後半のデジタル秩序を左右する一つの材料になりそうです。
Reference(s):
Trump administration to replace Biden-era global AI chip export curbs
cgtn.com







