マイクロソフトの新AI基盤「Microsoft Discovery」とは何か
マイクロソフトは開発者会議「Build 2025」で、新たなAIプラットフォーム「Microsoft Discovery」を発表しました。エージェント型AIを活用し、情報やアイデアを見つけるプロセスそのものを変える構想です。
Build 2025で発表された新しいAIプラットフォーム
今回の国際テックニュースの主役は、マイクロソフトの「Microsoft Discovery」です。マイクロソフトは、月曜日に行われた「Build 2025」の場で、この新しいプラットフォームを正式に発表しました。
「Microsoft Discovery」は、エージェント型人工知能(agentic artificial intelligence)を土台にしたプラットフォームで、同社はこれによって発見のプロセスを変革すると説明しています。ここでいう「発見」とは、必要な情報、インサイト(洞察)、解決策を見つけていく一連の流れのことだと考えられます。
キーワードは「エージェント型AI」
今回の発表で強調されたのが、エージェント型AIという考え方です。従来のチャットボットが「質問に答える」存在だったのに対し、エージェント型AIは「目的に向かって自律的に動く」存在として位置づけられます。
具体的には、ユーザーがゴールやざっくりとした要望を伝えると、エージェント型AIが自らタスクを分解し、必要な情報を探し、ツールと連携しながら手順を進めていく、といったイメージです。マイクロソフトは、このようなエージェント型AIを発見のプロセスに組み込むことで、ユーザーが欲しいものにより早く、より少ない操作でたどり着ける世界を描いているといえます。
情報の「探し方」がどう変わるのか
検索エンジンやチャットAIに慣れている私たちにとって、「発見プロセスの変革」と聞いてもイメージしにくいかもしれません。ただ、エージェント型AIが広がると、次のような変化が起きる可能性があります。
- 検索から「任せる」へ:キーワードを何度も変えながら検索する代わりに、「こういう条件に合う情報が欲しい」と目的を伝えるだけで、AIエージェントが調査や整理まで行う。
- 点の情報からストーリーへ:単発の検索結果ではなく、背景や比較、メリット・デメリットなどを含めた「文脈のある提案」が返ってくる。
- 個人ごとに最適化された発見:過去の行動や好みを踏まえた上で、「今のあなた」にとって意味のある情報やアイデアを優先的に提示する。
「Microsoft Discovery」は、こうした体験を支える基盤として位置づけられていると見ることができます。
50以上のAI製品も同時に発表
マイクロソフトは今回の「Build 2025」で、「Microsoft Discovery」だけでなく、50を超えるAI関連のプロダクトもあわせて発表しました。これは、同社がAIを単発のサービスではなく、広いエコシステム(生態系)として拡大しようとしていることを示しています。
具体的な製品名や機能の詳細は示されていませんが、50以上という数から、開発者向けツール、企業向けソリューション、日常的な仕事を支援するサービスなど、多様な領域にAIを組み込んでいく方針がうかがえます。
企業と個人にとっての意味
「Microsoft Discovery」のようなAIプラットフォームが広がると、企業や個人の情報の扱い方は大きく変わる可能性があります。
- 企業:社内に散在するデータやドキュメントから、AIエージェントが必要な情報を引き出し、意思決定や新規事業の検討を後押しすることが考えられます。
- 個人:日々のリサーチ、学習、キャリア形成の場面で、AIが「自分専属のリサーチアシスタント」のような役割を担う可能性があります。
情報洪水の時代において、「どれだけ多くの情報を持っているか」よりも、「どれだけ素早く意味のある発見につなげられるか」が重要になりつつあります。マイクロソフトは、「Microsoft Discovery」をそのためのインフラとして位置づけようとしているように見えます。
冷静に見ておきたいポイント
一方で、発見プロセスをAIに任せる範囲が広がるほど、私たちが意識しておきたい論点も増えます。
- 透明性:どのような根拠やデータにもとづいて提案しているのかが、ユーザーにとって分かりやすいか。
- 偏り:AIエージェントが特定の情報源や視点に偏らないよう、設計や運用面での配慮がなされているか。
- スキルとのバランス:AIに任せる部分が増えても、自分で考え、調べる力をどう保つか。
新しいAIプラットフォームがもたらす利便性と、私たち自身の判断力。そのバランスをどう取るかが、これからのデジタル社会の大きなテーマになっていきそうです。
これから注目したいポイント
今後、「Microsoft Discovery」がどのような形で製品やサービスに組み込まれていくのか、また50以上とされる他のAI製品とどのように連携していくのかは、大きな注目点です。
エージェント型AIが当たり前の存在になったとき、私たちは情報を「探す」のではなく、「AIと一緒に発見していく」時代に入るのかもしれません。今回の発表は、その入口に立ったことを示すものだといえるでしょう。
Reference(s):
Microsoft unveils Discovery platform, over 50 other AI products
cgtn.com








