AIモードで検索が会話に変わる?Google I/O 2025が示した未来
人工知能競争が一段と激しくなる中、Googleが2025年の開発者会議 Google I/O で検索エンジンの大規模な再設計に踏み切りました。検索がAIとの対話型体験へと移行する中で、私たちユーザーとウェブ全体にどんな変化が訪れるのでしょうか。
AIが主役となった Google I/O 2025
米カリフォルニアで開かれた年次開発者会議で、Googleは10年以上ぶりとなる検索エンジンの抜本的な刷新を打ち出しました。中心にあるのは、検索を会話型のインターフェースに変えるAI戦略です。
今回の発表の目玉は、検索に新しく追加されたAIモードです。利用者はこれまでのキーワード検索だけでなく、複雑な質問を自然な言葉で投げかけ、AIとやり取りしながら答えや選択肢を絞り込めるようになります。
このAIモードは、限定テストの開始から約2カ月半という短期間で本格展開に踏み切ったとされており、精度と安全性への自信の表れとも受け止められています。一方で、ChatGPTやPerplexityなどの新興サービスが台頭する中で、検索の主導権を守りたいという思惑もにじみます。
会話型検索を担う AIモードの中身
AIモードは、従来の検索結果ページを大きく変える可能性があります。現在は米国のユーザーのみに提供されており、画面上部にAIによる要約や提案が表示され、そこからさらに追加の質問を重ねることができる設計になっています。
特徴として、次のような点が挙げられます。
- 複数条件の整理:たとえば「子ども連れで行きやすい週末の観光スポットで、予算はこれくらい」といった複雑な要望も、AIが条件を整理して候補を提示する。
- 文脈をまたいだ対話:前の質問内容を踏まえた追い質問に対応し、人間との会話に近い流れで情報を深掘りできる。
- 検索結果との連携:リンク一覧をただ並べるのではなく、関連情報をまとめた上で必要なサイトへの導線を示す。
キーワードを打ち込んで結果を読み解く従来型の検索から、「AIに相談する」スタイルへと、体験の重心が移りつつあることがうかがえます。
中核にある最新AIモデル Gemini 2.5
この変化を支えているのが、Googleの最新モデル Gemini 2.5です。検索アルゴリズムに深く組み込まれ、テキストだけでなく、さまざまな形式の情報を統合的に処理する役割を担います。
発表では、Gemini 2.5が次のような場面で活用されると説明されています。
- ライブ動画での質問:カメラで映している状況を見せながら質問し、その場で解説や提案を受けるといった「ライブ動画クエリ」を処理する。
- チケットの自動購入:条件を伝えると、適切なチケットを探し、購入手続きを自動で進めるといった一連のフローを担う。
こうした機能が広く普及すれば、検索は「情報を探す」だけでなく、「実際の行動を代行する」役割を帯びることになります。ユーザーはブラウザのタブを行き来して入力フォームを埋める代わりに、AIとの対話に任せる時間が増えていくかもしれません。
次に控えるディープサーチとプロジェクト・マリナー
Googleはさらに、検索の高度化を図る将来のツールも予告しました。
- ディープサーチ:専門的・複雑なテーマについて、関連情報を網羅的に整理し、長期的なリサーチを助けることを目指す機能。
- プロジェクト・マリナー:宿泊や飲食の予約、ウェブサイト内の移動などを自律的にこなす「AIエージェント」として構想されているプロジェクト。
いずれも、単なる検索の枠を超え、日常のオンライン行動そのものをAIが肩代わりすることを想定したものです。実用化の段階に進めば、「どこまでをAIに任せ、どこからを自分で判断するのか」という新しい線引きが求められそうです。
月額250ドルのAI Ultraプランが示すコストの重さ
今回の発表で、ビジネス面で特に注目を集めたのが、有料のAI Ultraプランです。月額250ドルという価格設定は、既存の月額20ドルのProプランから大きく跳ね上がっています。
AI Ultraプランでは、次のような特典が提供されるとされています。
- 実験的な最新AI機能への先行アクセス
- 30テラバイトのクラウドストレージ
- 広告の表示がないYouTube視聴
背景には、AI開発にかかる巨額のコストがあります。Googleの親会社であるAlphabetの2025年の設備投資は、750億ドル規模に達すると見込まれており、高性能なチップやデータセンターへの投資を利用料で回収していく構図が浮かび上がります。
個人ユーザーにとっては簡単に手が出せる価格ではない一方で、AIを業務に深く組み込みたい企業やクリエイターにとっては、「高速かつ強力なAI環境へのアクセス権」として検討対象になりそうです。AI時代の格差が「どのレベルのAIにアクセスできるか」という形で現れてくる可能性もあります。
AI概要が変える検索結果とウェブメディア
技術以上に大きな波紋を広げているのが、AI概要と呼ばれる検索画面上部の要約表示です。AIが複数のサイトから情報をまとめて回答を示すこの機能は、すでに15億人規模のユーザーの検索画面に表示されているとされています。
調査会社BrightEdgeの分析によると、AI概要が表示されることで、従来の検索結果に対するクリック率はおよそ3割低下したといいます。多くのユーザーが、検索結果のリンクを開く前にAIの要約だけで疑問を解消してしまうためです。
これは、広告や購読料などウェブ上の収入の多くを検索流入に頼ってきた出版社やニュースサイト、ブロガー、オンラインストアにとって見逃せない変化です。ページビューが減れば、広告収入も減る可能性が高く、ビジネスモデルの再考を迫られます。
検索トラフィック減少が意味するもの
AI概要の広がりは、次のような影響をもたらし得ます。
- ニュースサイトやブログのアクセス減少と、それに伴う広告収入の目減り
- 商品レビューや比較記事からの送客が減ることで、ECサイトやアフィリエイト収入にも影響が及ぶ可能性
- これまでの検索エンジン最適化に頼った集客戦略が通用しにくくなり、新たな発信・ブランド戦略が必要になる
一方で、ユーザーから見れば「知りたいことに素早くたどり着ける」という利便性の向上でもあります。情報へのアクセスを効率化しつつ、情報源となるサイトが持続可能であり続けるにはどうすべきかという、難しいバランスの議論が続きそうです。
これからの検索とAIに私たちはどう向き合うか
今回のGoogle I/O 2025は、検索エンジンが「リンク集を並べる場」から「AIと対話し、行動まで任せる場」へと変わりつつあることを鮮明にしました。
今後、私たち一人ひとりに突き付けられる問いも増えていきます。
- どこまでをAIに任せ、どこまでを自分で調べて判断するのか。
- AIが要約した情報を読むだけで満足せず、元の情報源にもきちんとアクセスし続けられるか。
- 自分が応援したいメディアやクリエイターに、どうやって継続的に貢献していくのか。
検索のあり方が変われば、ニュースとの付き合い方や、日々の意思決定のプロセスも変わります。AIモードやAI概要が当たり前になっていく2025年以降、私たちはどのような情報環境を望むのか。今から考え、議論しておく価値がありそうです。
Reference(s):
AI takes center stage: Google unveils its future at I/O 2025
cgtn.com








