Fortniteが約5年ぶり米iPhoneに復活 Epic対Apple訴訟が揺さぶるアプリ課金
人気オンラインゲーム『Fortnite(フォートナイト)』が、約5年ぶりに米国のiPhone向けApp Storeに戻りました。Epic GamesとAppleの長期にわたる訴訟は、モバイルアプリの課金ルールを揺さぶる象徴的なケースとなっています。
約5年ぶりに米iPhoneへ復活
米国のApp Storeでは今週火曜日から、マルチプレイ対戦型シューティングゲーム『Fortnite』の配信が再開されました。2020年の削除から続いていた約5年間の事実上の追放に区切りが付き、Epic Gamesにとって大きな勝利と受け止められています。Epic Gamesは米国拠点のゲームスタジオで、中国のインターネット企業テンセントが出資しています。
『Fortnite』は2017年にサービスを開始し、最後の一人になるまで戦うバトルロイヤル形式で世界的な人気を獲得しました。配信停止時点で、Appleのプラットフォームだけで1億1600万のユーザーを抱えていたとされています。
発端は30パーセント手数料をめぐる独占禁止訴訟
Epic Gamesは2020年以降、Appleによるアプリ内課金への最大30パーセントの手数料が、米国の独占禁止法に違反すると主張し、法廷闘争を続けてきました。これに対抗する形で、Appleは自社のルールに従わないとして『Fortnite』をApp Storeから削除しました。
今年4月30日、連邦地裁の判事は、Appleがアプリ配信や決済手段にさらなる競争を認めるよう求めた既存の裁判所命令に違反していると判断しました。判決は、Appleが以前の差し止め命令に従っていないと認定し、同社を刑事的な法廷侮辱の可能性があるとして連邦検察に付託しました。
今週月曜日には、連邦地裁のイボンヌ・ゴンザレス・ロジャース判事が、公判の場で、なぜ控訴裁からの特別な指示もないのにAppleがいまだに『Fortnite』をブロックし続けているのか、と問いただしました。これを受けて火曜日の夜、Appleは裁判所に短い書面を提出し、『Fortnite』をiPhoneのiOSから締め出していた争点は解決したと説明しました。
Epic Gamesの最高経営責任者であるティム・スウィーニー氏は、ソーシャルメディアのXで『We back fam』と短く投稿し、復活をアピールしました。
Appleのサービス収益モデルに走るひび
今回の判断と『Fortnite』復帰は、Appleがアプリ内決済を自社の仕組みに集約し、開発者の売り上げから手数料を得るというサービス事業モデルにとって、新たな試練となりそうです。
証券会社D.A.デビッドソンのアナリストであるギル・ルリア氏は、Epic Gamesにとってこれは「非常に高い代償を伴う激しい戦いの末に勝ち取った成果だが、すでに『Fortnite』は全盛期を過ぎており、ゲームの人気回復には遅すぎるかもしれない」と指摘します。そのうえで、Appleにとっては「決済を自社に流し込み、あらゆる取引で開発者から手数料を取るというサービスビジネスの鎧に入った、さらなるひびだ」と分析しました。
iOSアプリ経済はどう変わるか
投資顧問会社Running Point Capital Advisorsの最高投資責任者であるマイケル・アシュリー・シュルマン氏は、今回の展開によって、SpotifyやNetflixのようなサブスクリプション型アプリが利益率を取り戻し、独立系スタジオがAppleに追加の手数料を支払わずに収益化しやすくなるとみています。その結果、今後12〜18カ月のあいだに、iOSの経済構造が大きく組み替わる可能性があると指摘しました。
シュルマン氏の見立てをベースにすると、ユーザーと開発者の双方にとって次のような変化が考えられます。
- 音楽・動画などサブスクサービスが、より柔軟な料金設定や割引を打ち出しやすくなる
- 中小規模やインディー系のゲーム・アプリ開発者が、独自の決済やストアを選びやすくなる
- ユーザー側も、アプリ内で利用できる支払い方法の選択肢が広がる可能性がある
AndroidとEUでは一足先に復帰
『Fortnite』は2020年、アプリ内課金のガイドラインをめぐる対立から、AppleとAlphabet傘下のGoogleのストア双方から姿を消しました。その後、ゲームはすでに世界中のAndroid端末向けに復帰しており、欧州連合のiPhone向けにも昨年戻っています。
『Fortnite』側は今週、欧州連合ではEpic Games StoreやAltStoreといった代替ストアでもタイトルが利用可能だと、X上で説明しました。モバイルゲームが大手プラットフォーム以外のルートを使う流れは、今後さらに広がっていくかもしれません。
日本や世界の開発者・ユーザーへの示唆
今回の動きは米国の裁判所判断に基づくものですが、アプリストアの手数料やルールをめぐる議論は、世界共通のテーマになりつつあります。巨大プラットフォームと開発者・利用者との力関係をどうバランスさせるかという問いは、日本の市場にとっても無関係ではありません。
今後注目したいポイントとして、次のような論点が挙げられます。
- プラットフォーム事業者が、アプリ内課金や外部決済にどこまで門戸を開くのか
- サブスクリプションサービスの料金やプランに、手数料水準の変化がどう反映されるのか
- 人気ゲームやサービスが、独自ストアや複数の配信経路を組み合わせる動きが広がるのか
約5年ぶりに米国のiPhoneへ戻った『Fortnite』は、単なる人気ゲームの復活にとどまらず、スマートフォン経済そのもののルールを問い直す出来事として、今後もしばらく注目を集めそうです。
Reference(s):
Epic Games' Fortnite returns to U.S. iPhones after nearly 5 years
cgtn.com








