豪州の85%超で血中にフォーエバーケミカル 新データが示すリスク
オーストラリアからの国際ニュースです。オーストラリア統計局(ABS)が公表した最新データで、いわゆるフォーエバーケミカル(PFAS)が国民の血液中から高い頻度で検出されたことが明らかになりました。環境や健康リスクを考えるうえで、見逃せない数字です。
オーストラリア統計局が初めてPFASを全国調査
ABSは、National Health Measures Survey(国民健康測定調査)に参加した12歳以上の人々を対象に、血液中のPFAS濃度を測定しました。調査では、11種類のPFASについて検査が行われ、そのうち3種類が参加者の85%を超える割合で検出されました。
PFASは「ペルフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質」の総称で、4,000種類を超える化学物質のグループです。環境中や人体で分解されにくいことから、フォーエバーケミカルとも呼ばれています。
血液から見えてきた3つのフォーエバーケミカル
今回の調査では、特に次の3種類のPFASが高い割合で検出されました。
- PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸):消防用泡消火剤や調理器具、繊維製品などに使われてきた物質で、男性の99.1%、女性の98.3%の血液から検出されました。
- PFOA(ペルフルオロオクタン酸):男性の98.1%、女性の94%で検出されました。
- PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸):男性の93.6%、女性の82.8%で検出されました。
このほか、別の2種類のPFASが参加者の15〜45%から検出され、残る6種類は10%未満の人々から検出されたと報告されています。
PFASとは何か フォーエバーケミカルと呼ばれる理由
PFASは、撥水性や耐熱性などの性質を持つことから、工業製品や日用品など幅広い用途で使われてきた化学物質です。ただし、環境中や人体でほとんど分解されないため、一度放出・摂取されると長期間残り続けることが大きな懸念となっています。
調査でも触れられているように、いくつかのPFASへの曝露は、特定のがんのリスク増加と関連付けられています。国際がん研究機関(IARC)は2023年、PFOAを「人に対して発がん性がある」、PFOSを「おそらく発がん性がある」と分類しました。こうした評価は、PFASの健康影響をめぐる議論が国際的に高まっていることを示しています。
年齢と性別で違いも 高いのは年上の男性
ABSのヘルス統計部門トップであるJames Eynstone-Hinkins氏によると、今回のデータでは、一般に年齢が高い人ほどPFAS濃度が高く、また男性の方が女性より高い水準が見られたといいます。
PFASは環境や体内に蓄積しやすいとされるため、長い年月をかけて曝露が積み重なるほど濃度が高くなる可能性があります。また、職場での使用状況や生活スタイルの違いなど、複数の要因が関係していることも考えられますが、具体的な要因の切り分けには、今後の研究が必要です。
全国ベースラインづくりが意味するもの
Eynstone-Hinkins氏は、今回の結果がオーストラリアにおけるPFASレベルの「全国ベースライン」を初めて示すものだと説明しています。このベースラインは、今後のモニタリングや研究にとって重要な起点になります。
- 将来の調査と比較し、PFASの曝露が増えているのか減っているのかを把握できる
- 年齢層や性別、地域などによる違いをより詳しく分析できる
- 健康影響やリスク評価に関する研究を進めるうえで、前提となるデータを提供できる
PFASをめぐる科学的知見にはまだ不確実な部分も多くありますが、国民全体の曝露状況を定量的に示すことは、政策やリスクコミュニケーションを考えるうえで欠かせないステップといえます。
日本やアジアの読者にとっての示唆
今回のオーストラリアのニュースは、日本を含むアジアの読者にとっても無関係ではありません。PFASは世界各地で使われてきた化学物質であり、どの国や地域でも環境や健康への影響が議論される可能性があります。
私たちが考えたいポイントは次のような点です。
- 日常生活のどの場面でPFASを含む可能性のある製品に触れているか
- 科学的な不確実性が残る中で、どのようにリスクと向き合い、情報をアップデートしていくか
- データとエビデンスに基づいた議論を、社会としてどのように積み重ねていくか
「国民の大半の血液からPFASが検出された」という今回の結果は、現代社会が便利さと見えないリスクのどこでバランスを取るのかという、大きな問いを突きつけています。ニュースをきっかけに、自分や身近な人の健康、そして環境との関わり方を静かに見直してみるタイミングかもしれません。
Reference(s):
'Forever chemicals' detected in blood of over 85% of Australians
cgtn.com








