イラン核当局トップ「ウラン濃縮は越えられない一線」米国に反論
イラン核当局トップ「ウラン濃縮は越えられない一線」米国に反論
イランの原子力当局トップが、ウラン濃縮は核産業の基盤でありテヘランにとってレッドラインだと強調し、米国の中止要求や国際原子力機関(IAEA)の報告に正面から反論しました。
ウラン濃縮は核産業の基盤と強調
イラン原子力庁(Atomic Energy Organization of Iran)トップのモハンマド・エスラミ氏は、国営放送IRIBのインタビューで、ウラン濃縮は核産業の土台であり、テヘランにとって越えてはならない一線だと述べました。
エスラミ氏は、誰もイランにウラン濃縮の権利がないとは言えないと主張し、濃縮がなければ核燃料サイクルそのものが成り立たず、イランの研究や各分野での応用活動に影響が出ると説明しました。代替手段は存在せず、ウラン濃縮はイランの権利であると同時に、核技術発展のための基本的な必要条件だとしています。
米国の要求とIAEA報告への反論
今回の発言は、米国がイランに対しウラン濃縮の中止を求めていること、そしてテヘランの核活動をめぐるIAEAの包括的な報告書がメディアを通じて公表された直後に出ました。
エスラミ氏は、この最新報告書はフランス、ドイツ、英国、米国、イスラエルの影響を受けて作成されたと批判しました。そのうえで、イランは核拡散防止条約(NPT)と包括的保障措置協定の義務を順守しており、同国の核活動は常にIAEAの監視下にあると強調。IAEAはイランの核関連施設に継続的にアクセスしており、常時監視を続けてきたと述べました。
IAEAが指摘する未解決の論点
これに対し、IAEAの報告書は、イランが申告していない三つの地点で見つかった核物質について、十分な説明がなされていないと指摘。イラン側の協力はなお「less than satisfactory(満足には程遠い)」だと評価しています。
イランは自国の権利と透明性を強調する一方で、IAEAは未解決の論点が残っているとみており、双方の認識のギャップが改めて浮き彫りになっています。
オマーン仲介の間接協議が続くなか
こうした中、米国とイランの間では、オマーンの仲介による間接協議が続いています。今年4月以降、オマーンの首都マスカットで3回、イタリアのローマで2回、あわせて5回の協議が行われ、イランの核計画と米国による制裁解除の可能性が主な議題となってきました。
ウラン濃縮をテヘランのレッドラインだと位置づける今回の発言は、こうした協議の力学にも影響を与える可能性があります。イラン側が譲れない条件を明確にすることで、米国や欧州諸国との交渉は一層難しくなる一方、妥協点を探る動きも強まるかもしれません。
このニュースから見えるポイント
今回の動きを、日本から国際ニュースとして見ると、次のような点が重要になってきます。
- イランはウラン濃縮を核産業と国家主権の核心と位置づけ、権利の問題として強調していること。
- IAEAは未申告地点での核物質や協力の水準に懸念を示しており、国際社会との信頼のギャップが残っていること。
- オマーン仲介の間接協議が、核問題と制裁の両方をめぐる今後の駆け引きの場になっていること。
今後、イランとIAEAの協議がどこまで前進するのか、そして米国との間接対話が制裁を含む具体的な合意につながるのかが焦点となります。2025年末に向けて、イラン核問題は国際ニュースの重要なテーマであり続けそうです。
Reference(s):
Iran's atomic chief says uranium enrichment is Tehran's red line
cgtn.com








