ISS空気漏れで民間宇宙飛行延期 インドなど3か国の初飛行士に影響
国際宇宙ステーション(ISS)のロシア側で空気漏れが確認され、インド・ポーランド・ハンガリーにとって数十年ぶりとなる宇宙飛行士を送り出す予定だった民間ミッションが無期限で延期されています。安全確保を最優先した判断で、国際宇宙協力と民間宇宙ビジネスの現在地を映し出す出来事です。
何が起きているのか
米航空宇宙局(NASA)は今週木曜日(現地時間)、ISSのロシア側セグメントでわずかな空気漏れが疑われるとして、民間宇宙飛行士を受け入れる前に機内の気圧変化を慎重に監視すると発表しました。現在ISSに滞在している7人の宇宙飛行士の安全は確保されており、他の運用には影響は出ていないとしています。
延期となったのは、スペースXの宇宙船でISSに14日間滞在する計画だった4人の民間宇宙飛行士のミッションです。打ち上げは当初、今週予定されていましたが、悪天候とロケット側のトラブルで順延となり、その後に今回の空気漏れ問題が浮上しました。
このフライトは、インド、ポーランド、ハンガリーにとって、いずれも数十年ぶりとなる新たな宇宙飛行士を送り出す節目の機会と位置づけられていました。
ロシア側モジュールで続く空気漏れ問題
NASAの監査機関にあたる監察総監室によると、ロシア宇宙機関は5年以上前から、ISSのロシア側モジュールで発生する亀裂や空気漏れへの対応を続けており、これらは「最重要の安全リスク」の一つと位置づけられてきました。
最近行われた修理作業の結果、NASAが「新しい圧力パターン」と呼ぶ変化が観測されましたが、その詳細は明らかにされていません。ISSに滞在中の3人のロシア人宇宙飛行士は、2000年に打ち上げられた老朽化したサービスモジュール「ズヴェズダ」や接続トンネルの内壁を点検し、いくつかの箇所を封止したうえで、現在の漏れの速度を測定しました。
NASAはオンラインの更新情報で「この作業の結果、ロシア側セグメントは現在、気圧を維持している」と説明しており、今後もしばらくモニタリングを続ける方針です。
民間ミッションへの影響と対応
今回延期された民間ミッションは、米テキサス州ヒューストンに拠点を置く企業アクシオム・スペースが手配したチャーター飛行で、同社にとって2022年以降4回目となるISSへの有償飛行でした。クルーは4人で、リーダーを務めるのは元NASA宇宙飛行士で、現在はアクシオム・スペースの社員であるペギー・ウィットソン氏です。
ウィットソン氏ら4人は、フライト再開に備えてフロリダ州での隔離生活を続けます。アクシオム・スペースのカム・ガファリアン会長は声明で「今回の判断は正しい。すべての関係機関と協力して新たな打ち上げ日を決めていく」と述べ、NASAとロシア宇宙機関も、この延期期間を「状況評価と追加修理の必要性を見極める時間」と位置づけています。
現時点(2025年12月8日時点)で、新たな打ち上げ日は発表されていません。
ISSの老朽化と「ポストISS」時代
NASAは、国際宇宙ステーションを2030年まで運用したのち、軌道から落下させて役目を終える方針を示しています。その後は、複数の民間企業が所有・運用する宇宙ステーションが、地球低軌道の主な拠点になる構想です。アクシオム・スペースもその一角を担うことを目指しています。
今回の空気漏れ問題は、長期間にわたって運用されてきたISSの老朽化リスクと、そこに新たに民間クルーを受け入れる難しさを浮き彫りにしました。一方で、インドやポーランド、ハンガリーのように、これまで宇宙飛行の機会が限られてきた国々にとって、民間宇宙飛行は新しい扉を開きつつあります。
私たちが考えたい3つのポイント
- 老朽化した宇宙インフラをどう安全に使い続けるのか
- 民間宇宙ビジネスが、これまで宇宙とは縁が薄かった国々にもどんなチャンスをもたらすのか
- 国際協力の場で、リスク情報をどう共有し、透明性を保つのか
ISSの空気漏れは現時点で制御されているとされますが、民間宇宙飛行が拡大していく中で、安全確保と挑戦のバランスをどう取るのかは、今後も注目すべきテーマです。新たな打ち上げ日時の決定とともに、ISSの後継となる民間宇宙ステーション構想の進展もあわせて追いかけていきたいところです。
Reference(s):
Space station air leaks trigger delay to private astronaut mission
cgtn.com








