ログイン情報160億件流出か 日常アカウントを守るために今できること
サイバーセキュリティ専門メディアのCybernewsは今週、世界中のオンラインサービスのログイン情報が大量に流出し、合計で約160億件の認証情報が闇市場などで悪用される恐れがあると報告しました。日常的に使うGoogleやSNSのアカウントも含まれる可能性があり、私たち一人ひとりの「サイバー衛生」があらためて問われています。
何が起きたのか ログイン情報160億件という規模
Cybernewsの研究チームによると、研究者らは最近、インターネット上で露出していた30のデータセットを発見しました。これらを合計すると、流出したとみられるログイン情報は約160億件にのぼるといいます。
含まれているのは、以下のようなサービスのユーザー名やパスワードなどです。
- Appleの各種サービス
160億という数字は、現在の世界人口のおよそ2倍にあたります。つまり、多くの人が複数のアカウントで情報を漏らしてしまった可能性があるということです。一方で、同じユーザー情報が重複して含まれているケースも多く、「実際に何人分、何アカウント分が影響を受けたかを正確に知ることは不可能だ」とCybernewsは指摘しています。
単独の大規模侵害ではなく、複数事件の寄せ集め
今回明らかになったログイン情報は、ある一つの企業やサービスが大規模に侵害された結果ではありません。Cybernewsによると、さまざまなデータ侵害が時間をかけて発生し、そのたびに盗まれた情報が少しずつ集められ、一つの巨大なデータセット群としてまとめられていた可能性が高いとみられます。
こうして集約されたデータセットは、一時的にオンライン上で公開されていたタイミングがあり、その際にCybernewsの研究者らが発見したとされています。現在、その情報が誰の手に渡っているのか、どの程度悪用されているのかなど、重要な点には依然として不明な部分も多く残っています。
「インフォスティーラー」と呼ばれるマルウェアの役割
Cybernewsは、今回のような認証情報の大量流出の背景には、さまざまなタイプの「インフォスティーラー」が関与している可能性が高いとみています。
インフォスティーラーとは、次のような特徴を持つマルウェアの総称です。
- パソコンやスマートフォンなどの端末に侵入する
- 保存されているパスワードやCookieなどの機密情報を盗み出す
- 盗んだデータを、攻撃者が管理するサーバーなどに送信する
このようなインフォスティーラーは、見た目は無害なファイルやアプリを装ったり、だましのメールや偽サイトからインストールさせたりして、利用者の端末に入り込みます。感染した本人が気づかないうちに、複数のサービスのログイン情報がまとめて抜き取られ、その後、闇市場で売買されたり、今回のようなデータセットとして再利用されたりしてしまうのです。
なぜ今、私たちに関係があるのか
データ侵害や情報漏洩は、もはや特別な事件ではなく、日常的に発生する「前提条件」のようになりつつあります。今回のように、過去の複数の事件が積み重なった結果として、気づかないうちに自分のアカウント情報が流出している可能性もあります。
Cybernewsの報告が示しているのは、「どこか一つのサービスだけを信じていれば安全」という時代が終わりつつある、という現実です。だからこそ専門家は、「サイバー衛生」と呼ばれる日々の基本的な対策を、当たり前の習慣として身につけることの重要性を強調しています。
今すぐ見直したいサイバー衛生の基本
では、具体的にどのような対策を取ればよいのでしょうか。Cybernewsの報告や専門家の助言から、日常のオンライン生活で押さえておきたいポイントを整理します。
1. パスワードを変える・使い回さない
自分のアカウント情報が流出した可能性が少しでも気になる場合、まずできるのはパスワードの変更です。特に、次のようなケースは優先して見直すべきです。
- 長年同じパスワードを使っているアカウント
- 同じパスワードを複数のサービスで使い回しているアカウント
- メールアドレスとパスワードの組み合わせが他のサイトと同じアカウント
一つのサービスからパスワードが漏れたとしても、他のサービスで別のパスワードを設定していれば、被害はそこで食い止めることができます。逆に、パスワードを使い回していると、1件の流出が複数アカウントの乗っ取りにつながりかねません。
2. パスワードマネージャーやパスキーを検討する
複雑で長いパスワードをサービスごとに用意しようとすると、「覚えきれない」という壁にぶつかります。その負担を減らすための選択肢として、専門家がすすめているのが次のような方法です。
- パスワードマネージャーを使う(パスワードを安全に保存し、自動入力してくれる仕組み)
- パスキーを利用する(対応サービスで、パスワードの代わりに端末の生体認証などでログインする仕組み)
こうしたツールを使うことで、「覚えやすいけれど推測されやすいパスワード」から卒業し、強力なパスワードをサービスごとに設定しやすくなります。
3. 多要素認証で「もう一枚のカギ」をかける
多要素認証(マルチファクター認証)は、パスワードに加えて、別の方法で本人確認を行う仕組みです。たとえば、次のような方法があります。
- スマートフォンに届くコードを入力する
- メールに送られる認証リンクをクリックする
- 専用のUSBキーなどの物理デバイスを接続する
仮にパスワードが流出してしまっても、多要素認証が有効になっていれば、攻撃者はログインに必要な「もう一枚のカギ」を手に入れなければならず、アカウント乗っ取りのハードルが一気に上がります。
これからの「当たり前」としてのサイバー衛生
今回のCybernewsの報告は、具体的に自分のアカウントが含まれているかどうかを示すものではありません。しかし、「自分は関係ない」と考えるよりも、「いつ流出してもおかしくない」という前提で日々のオンライン行動を見直すきっかけにすることが重要だといえます。
パスワードの使い回しをやめる、多要素認証を設定する、怪しいファイルやリンクを開かない。どれも新しい最新テクノロジーではなく、今日から誰もが始められる基本的なサイバー衛生です。
2025年の今、私たちの生活はオンラインサービス抜きには成り立ちません。その現実と向き合いながら、「便利さ」と「安全性」のバランスを少しずつアップデートしていくことが求められています。
Reference(s):
cgtn.com








