SpaceX新型クルー・ドラゴン「Grace」初飛行 インドなど3カ国飛行士がISSへ
SpaceXの新しい有人宇宙船クルー・ドラゴンが、民間宇宙ミッション「Axiom Mission 4(Ax-4)」として国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられました。インド、ポーランド、ハンガリーからの飛行士が同じ機体に乗り込む今回のフライトは、国際ニュースとしても宇宙ビジネスの現在地を示す出来事となっています。
新型クルー・ドラゴン「Grace」がデビュー
Ax-4は、米フロリダ州にあるNASAケネディ宇宙センターから、SpaceXのロケット「ファルコン9」によって水曜日に打ち上げられました。ISSへのドッキングは木曜日の協定世界時(GMT)11時ごろに予定されており、最大14日間の滞在が計画されています。
今回のフライトは、5機目にして最後となる新造のクルー・ドラゴン宇宙船の初飛行でもあります。この機体は軌道到達後に「Grace(グレース)」と名付けられ、すでに運用中の「Endeavour」「Resilience」「Endurance」「Freedom」とともに、SpaceXの有人飛行フリートに加わりました。
- ミッション名:Axiom Mission 4(Ax-4)
- 打ち上げ場所:NASAケネディ宇宙センター(米フロリダ州)
- ロケット:ファルコン9
- 宇宙船:クルー・ドラゴン「Grace」
- 滞在期間:最大約14日間(予定)
インド・ポーランド・ハンガリーから久々の宇宙飛行士
Ax-4には、インド、ポーランド、ハンガリーの飛行士が搭乗しており、それぞれの国にとって久々となる有人宇宙飛行ミッションとなります。前回これらの国から宇宙に旅立った人々が飛んだのは、まだ今回の若い世代の飛行士たちが生まれていない時代で、当時はソ連の宇宙計画に参加する形で「コスモノート(宇宙飛行士)」として打ち上げられていました。
Ax-4の乗組員はだれか
- コマンダー(船長):Peggy Whitson(米国)
- パイロット:Shubhanshu Shukla(インド)
- ミッションスペシャリスト:Slawosz Uznanski-Wisniewski(ポーランド)
- ミッションスペシャリスト:Tibor Kapu(ハンガリー)
コマンダーを務めるPeggy Whitsonは、かつてNASAに所属したベテラン宇宙飛行士で、現在は民間企業Axiom Spaceに所属しています。Axiom Spaceは、民間人や各国の機関向けに宇宙飛行を企画・運営する企業で、Ax-4もその一環として実施されています。
パイロットのShubhanshu Shuklaは、インド出身の飛行士として、Rakesh Sharma以来となるインド人の宇宙飛行を実現しました。Sharmaは1984年、ソ連主導の計画の一環として、サリュート7宇宙ステーションに滞在しています。今回のフライトは、それ以来の大きな節目といえます。
延期を乗り越えたAx-4ミッション
Ax-4は当初、6月初旬の打ち上げが予定されていましたが、技術的な問題によって延期されていました。安全性を最優先する宇宙開発の現場では珍しくない対応とはいえ、今回ようやく打ち上げにこぎ着けたことで、関係者にとっても大きな一歩となりました。
また、この打ち上げは、米国のドナルド・トランプ大統領と、SpaceXのトップであり世界有数の富豪であるElon Muskとの間で、オンライン上のやりとりが注目を集めた直後のタイミングでもあります。政治やSNS上の議論がにぎやかな一方で、宇宙ミッションそのものは粛々と進められていることも印象的です。
民間宇宙ビジネスが広げる「宇宙への入り口」
今回のAx-4は、宇宙へのアクセスが国家主導の計画だけでなく、民間企業と複数の国が組み合わさった形で広がっていることを象徴するミッションです。インド、ポーランド、ハンガリーのように、しばらく有人飛行から遠ざかっていた国々も、再び宇宙に飛行士を送り出せる時代になりつつあります。
同じ宇宙船に複数の国の飛行士が乗り込み、民間企業が運用するミッションが増えれば、宇宙はより多様なプレーヤーが参加する場になっていきます。そこには、単なる技術競争だけでなく、教育・科学・経済といったさまざまな目的が交差する可能性があります。
一方で、宇宙空間の利用ルールや安全確保、費用負担のあり方など、考えるべき課題も少なくありません。宇宙が特定の国だけでなく、より多くの国と人々に開かれた場所となっていく中で、どのような枠組みや協力の形が望ましいのか。Ax-4のようなミッションは、その問いを私たちに静かに投げかけているようにも見えます。
クルー・ドラゴン「Grace」がISSにドッキングし、最大14日間のミッションをどう形づくっていくのか。今後の宇宙開発や民間宇宙ビジネスを考えるうえで、引き続き注目したい動きです。
Reference(s):
SpaceX's brand-new Crew Dragon capsule takes astronauts to the ISS
cgtn.com








