イスラエル、新通信衛星ドロール1号打ち上げ 通信自立へ一歩
イスラエルが、今後15年間にわたり自国の通信インフラを支えることを目指す新しい通信衛星「ドロール1号」を打ち上げました。防衛や緊急時通信も視野に入れた大型プロジェクトで、通信の「自立」に向けた一歩とされています。
打ち上げの概要
イスラエル宇宙庁(ISA)と国営企業イスラエル航空宇宙産業(IAI)が発表したところによると、通信衛星ドロール1号は現地時間の日曜日、米フロリダ州のケープカナベラル宇宙基地から打ち上げられました。ロケットには米宇宙企業スペースXの「ファルコン9」が使用され、打ち上げは成功したとされています。
ドロール1号は、イスラエルの通信ニーズに今後15年間対応できるよう設計されており、平時の通信だけでなく、緊急事態や災害時にも運用される計画です。また、同国の防衛システムの任務も支援する役割を担うと説明されています。
押さえておきたいポイント
- 打ち上げ場所は米フロリダ州ケープカナベラル、ロケットはスペースXのファルコン9
- 運用期間は約15年を想定し、平時と緊急時の通信、防衛システムを支援
- プロジェクト総額は2億ドル規模で、通信の自立を目指す国家プロジェクト
- 今後、同型の通信衛星をさらに9基打ち上げる計画
ドロール1号の特徴
ISAによると、ドロール1号は地上から約3万6,000キロ離れた宇宙空間の一定地点から信号を送る設計で、地球上の同じ地域を継続的にカバーできるのが特徴です。
- 質量:約4.5トン
- 翼幅:17.8メートル
- アンテナ直径:2.8メートル(イスラエルの通信衛星として過去最大)
特にアンテナの直径は、これまでイスラエルの通信衛星で使用されたものの中で最大とされており、大容量かつ高品質な通信サービスを提供するための重要な装備といえます。
通信インフラと安全保障を支える役割
ISAは、ドロール1号が「平時の通信」と「緊急時の通信」の両方を支える存在になると位置付けています。地上の通信ネットワークが障害を受けた場合にも、宇宙からの通信回線を確保することで、政府機関や防災機関などの連絡を維持しやすくなります。
また、衛星はイスラエルの防衛システムの任務を支援する役割も担うとされており、安全保障インフラの一部としても重要です。安全で安定した通信回線は、防衛分野において作戦立案や情報共有の基盤となるためです。
「通信の自立」へ 2億ドル規模の投資
このプロジェクトには2億ドルが投じられており、ISAは、これがイスラエルにとって通信の「自立」に向けた重要な一歩だと強調しています。今回の衛星の運用開始により、イスラエルはこれまで頼ってきた民間通信会社への依存から段階的に脱却しようとしています。
国家が自らの衛星通信インフラを整備することは、緊急時のレジリエンス(回復力)を高めるだけでなく、外交や安全保障の面で発言力を強める要素にもなり得ます。どの情報をどのように守り、どこまで外部に委ねるのかという判断は、今後ますます重要になっていきます。
今後9基の同型衛星を計画
ISAは、今回と同じタイプの通信衛星を今後さらに9基打ち上げる計画も明らかにしています。複数の衛星を組み合わせて運用することで、通信サービスの冗長性(バックアップ性)や信頼性を高める狙いがあるとみられます。
- 一部の衛星に不具合が生じても、別の衛星で補完できる体制
- 需要の高い地域に対して集中的に通信容量を割り当てる柔軟性
- 長期運用を前提とした段階的な更新・入れ替えのしやすさ
衛星通信をめぐっては、各国や企業がインフラ整備や新技術への投資を進めています。イスラエルのドロール1号計画も、そうした流れの中で自国のポジションを確立しようとする動きの一つといえます。
私たちにとっての意味は?
今回のイスラエルの動きは、一見すると遠い国の話に思えるかもしれません。しかし、通信衛星は、私たちが日常的に利用しているインターネットやテレビ放送、衛星通信サービスなどの見えない土台でもあります。
- 国境を越えた情報伝達を支える「インフラ」としての宇宙
- 緊急時にも途切れない通信をどう確保するかという各国共通の課題
- 民間サービスへの依存と、国家としての自立性のバランス
スマートフォン一つで世界中の情報にアクセスできる便利さの裏側には、このような大型衛星や地上局をはじめとする巨大な通信インフラがあります。宇宙開発や通信政策に関するニュースを追うことは、私たちの日常の「当たり前」を支える仕組みを知ることにもつながります。
Reference(s):
cgtn.com








