NASAが宇宙の磁気爆発を観測へ 双子衛星TRACERS打ち上げ
米航空宇宙局(NASA)は現地時間の水曜日、地球周辺の「磁気爆発」を詳しく調べるための新しい宇宙ミッションTRACERSを打ち上げました。宇宙天気の仕組みを解き明かすことで、地球の磁場や私たちの暮らしへの影響を理解する狙いがあります。
洗濯機サイズの双子衛星「TRACERS」
TRACERSは Tandem Reconnection and Cusp Electrodynamics Reconnaissance Satellites の略称で、洗濯機ほどのサイズの小型衛星2機からなるミッションです。NASAは、このミッションの目的を「宇宙天気を研究すること」と説明しています。
打ち上げの詳細
打ち上げは米カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から行われ、ロケットにはスペースXのファルコン9が使用されました。現地時間午前11時13分、TRACERSを含む複数の衛星が地球周回軌道へ向けて飛び立ちました。
同じロケットには、SEOPSのEpic Athena、SkykraftのSkykraft 4、Maverick Space SystemsのREAL、TyvakのLIDE、York Space SystemsのBardなど、他の衛星や宇宙機も搭載されていました。
宇宙天気と地球の「磁気の盾」
TRACERSが観測する主な対象は、太陽風と地球の磁気圏がぶつかる領域です。
- 太陽風: 太陽から絶え間なく吹き出す、電気を帯びた粒子の流れ
- 地球の磁気圏: 太陽からの強い放射線の多くを防いでくれる、地球周囲の巨大な磁場
両者が衝突するとエネルギーが蓄積され、やがて磁力線が「切れてつながり直す」ような現象が起こります。これが磁気リコネクション(磁気再結合)と呼ばれる磁気爆発です。
TRACERSミッションのサイエンスリードを務める、米メリーランド州のNASAゴダード宇宙飛行センターのジョン・ドレッリ氏は、太陽風と地球の磁場の衝突によってたまったエネルギーが磁力線を断ち切り、周囲の粒子を高速で吹き飛ばす現象こそが磁気リコネクションだと説明しています。
複数衛星で「宇宙の動き」を立体的にとらえる
TRACERSでは二機の衛星が連携し、同じ領域を少しずつずれた位置から同時に観測します。これにより、宇宙空間で何がどのように動き、時間とともにどう変化しているのかを立体的に捉えることができます。
TRACERSミッションの主任研究者であるアイオワ大学のデビッド・マイルズ氏は、このミッションが複数の宇宙機技術を活用することで、物理現象の動きや進化のプロセスをより詳しく描き出せると強調しています。
なぜ今「宇宙天気」を調べるのか
宇宙天気は、オーロラの出現だけでなく、人工衛星の運用や通信、測位システム、電力網など、現代社会のインフラへ影響を与える可能性があります。太陽活動が激しくなると、強い宇宙嵐が起き、衛星や通信システムに負荷がかかることもあります。
TRACERSが太陽風と地球磁気圏の相互作用を詳しく測定することで、こうした影響の理解や、将来の宇宙天気予測の精度向上につながることが期待されています。
newstomo読者への視点: 宇宙研究は「遠い話」ではない
宇宙空間で起きていることは、一見すると私たちの生活から遠い出来事のように見えます。しかし、衛星通信やインターネット、GPS、金融システムなど、私たちの日常を支える多くのサービスは、宇宙環境の安定に支えられています。
今回のTRACERSミッションのような宇宙天気研究は、未来の技術インフラを安全に保つための「見えない保険」のような役割を持ちます。国際ニュースとしての宇宙開発をフォローすることは、自分たちの暮らしがどのような科学技術の上に成り立っているのかを考えるきっかけにもなります。
Reference(s):
NASA launches twin satellites to study magnetic explosions in space
cgtn.com








