オーストラリア、10代のSNS禁止をYouTubeにも拡大 世界初の規制はどこまで進むか
オーストラリア政府は水曜日、10代向けのソーシャルメディア利用を原則禁止する「世界初」の新制度の対象に、動画共有サイトのYouTubeも加えると発表しました。これまで除外とされてきたYouTubeにまで規制が広がることで、巨大プラットフォームとの新たな法的対立に発展する可能性があります。
世界初の10代SNS禁止、YouTubeも対象に
今年11月に可決され、今月12月に施行予定の新しい法律は、ソーシャルメディア企業に対し、オーストラリアで16歳未満の子どもがサービスを利用できないよう「合理的な措置」を取ることを義務づけています。違反した企業には、最大4,950万豪ドル(約3,220万米ドル)の罰金が科される可能性があります。
当初、この世界初の10代向けソーシャルメディア禁止の対象からは、アルファベット傘下のYouTubeが除外されていました。教育現場での活用が広がっていることなどが理由とされていましたが、政府は今回、この「特例」を撤回しました。
背景には、インターネット規制当局が先週、政府に対しYouTubeの除外を見直すよう勧告したことがあります。同当局の調査によると、未成年の37%がYouTube上で有害なコンテンツに出会ったと回答しており、安全面への懸念が強まっていました。
「子どもを守る責任」vs「動画共有プラットフォーム」
アンソニー・アルバニージ首相は声明で、「ソーシャルメディアには社会的責任があり、オンラインプラットフォームによってオーストラリアの子どもたちが悪影響を受けていることは間違いない」と述べ、規制強化の必要性を強調しました。また、「政府は保護者の味方であることを知ってほしい」として、家庭の不安に応える姿勢を打ち出しました。
これに対しYouTube側は、自社はソーシャルメディアではなく動画共有プラットフォームだと主張しています。YouTubeは、13〜15歳のオーストラリアの若年層の約4分の3が利用しているとしつつも、「YouTubeは無料で質の高いコンテンツを集めた動画ライブラリであり、テレビ画面で視聴されるケースも増えている。ソーシャルメディアではない」との立場を示しました。
一方、メタ(旧フェイスブック)のFacebookやInstagram、Snapchat、TikTokなど、すでに禁止対象となっているプラットフォームは、これまでYouTubeだけが除外されてきたことに不満を示してきました。ユーザー同士のやりとり機能や、視聴履歴に応じてコンテンツを自動推薦するアルゴリズムなど、YouTubeは自社サービスと共通点が多いと指摘してきたためです。
AI時代の誤情報と「ビッグテック」への懸念
サイバーセキュリティ企業アークティックウルフの最高情報セキュリティ責任者アダム・マレ氏は、人工知能(AI)がYouTubeを含むソーシャルメディア上での誤情報拡散を加速させていると指摘します。マレ氏は、今回のオーストラリア政府の動きについて、「巨大テクノロジー企業のチェックされない権力に歯止めをかけ、子どもたちを守るための重要な一歩だ」と評価しました。
未成年のオンライン利用をどこまで制限すべきか、そしてアルゴリズムによる情報拡散をどうコントロールするかは、多くの国や地域で共通する課題です。オーストラリアの今回の決定は、その議論が次の段階に入りつつあることを示しているとも言えます。
Google親会社アルファベットとの対立は再燃するか
今回の方針転換は、Googleの親会社アルファベットとの新たな対立につながる可能性もあります。アルファベットは2021年、ニュース記事が検索結果に表示されることへの対価支払いを義務づける別の法律をめぐり、オーストラリアで一部のGoogleサービス提供を停止する可能性を示唆していました。
YouTubeは先週、ロイター通信に対し、政府に「立法プロセスの一貫性を守るよう」求めたと説明しています。オーストラリアのメディアは、YouTubeが新法に対して法廷で争う可能性があると伝えていますが、同社はその点については確認していません。
カギを握る年齢確認と「合理的な措置」
今回の法律は、プラットフォーム側に「16歳未満の利用者を排除するための合理的な措置」を求める一方、その具体的な中身や水準については今後の運用に委ねています。政府は現在、年齢確認技術(エイジチェックツール)の試験結果に関する報告を今月中に受け取る予定で、その内容が実際の取り締まり方法を左右するとみられます。
どこまで厳しい年齢確認を求めれば子どもを守れるのか、同時に個人情報やプライバシーをどのように守るのか──そのバランスをどう取るかは、オーストラリアだけでなく、インターネットに依存する現代社会全体の大きなテーマです。
日本の読者にとっての意味
オーストラリアの10代向けソーシャルメディア禁止は、教育現場での活用が広いYouTubeまで対象に含めるかどうかという、難しい判断を伴うものでした。今回は子どもの安全を優先する形で舵を切ったと言えますが、その影響や副作用は、これから明らかになっていきます。
日本を含む他の国や地域でも、未成年のスマートフォン利用やSNS依存、誤情報の拡散は大きな関心事です。オーストラリアの動きは、「プラットフォーム規制」と「子どもの権利・自由」をどう両立させるかを考える、ひとつの材料になりそうです。
Reference(s):
Australia widens teen social media ban to YouTube, scraps exemption
cgtn.com








