厚い雲で打ち上げ中止 SpaceX Crew-11、ISS向けNASA便が延期
米スペースXがNASA向けに実施を予定していた有人宇宙飛行Crew-11ミッションの打ち上げが、発射1分7秒前で中止となりました。厚い雲による天候悪化が原因で、次の打ち上げ機会は金曜日に予定されています。
国際宇宙ステーション(ISS)に向かう4人の国際クルーの打ち上げ延期は、民間企業が担う有人宇宙飛行が、いまもなお天候という古典的な制約から完全には自由ではないことを改めて示しました。
打ち上げは「あと67秒」でストップ
現地時間の木曜日、フロリダ州ケネディ宇宙センターからの打ち上げに向けてカウントダウンが進むなか、残り1分7秒の時点でカウントが停止しました。理由は、発射場周辺に広がった厚い雲です。
当初は朝から理想的な天候だったものの、時間の経過とともに風が強まり、雲が流れ込んできたとされています。最終的に、安全基準を満たさないと判断され、打ち上げは見送られました。
Crew-11ミッション:日米露4人が半年滞在へ
SpaceXのCrew-11ミッションは、米国、日本、ロシアの宇宙飛行士4人を国際宇宙ステーション(ISS)に送り込む計画です。このクルーは、少なくとも約6か月間ISSに滞在し、科学実験や設備の保守などにあたる予定です。
今回のクルーは、今年3月に打ち上げられた別のクルーと交代します。その3月組は、NASAの2人の足止めされている宇宙飛行士の代役としてISSで任務を続けてきました。Crew-11は、その代役クルーの任務を引き継ぐ位置づけになります。
なぜ雲で中止になるのか:有人飛行ならではの判断
宇宙ロケットの打ち上げは、風速や落雷の可能性、雲の厚さなど、細かな気象条件をクリアする必要があります。特に人が乗る有人飛行では、安全マージンが大きく取られており、少しでもリスクが高いと判断されれば中止や延期が選ばれます。
厚い雲の中をロケットが通過すると、機体自らが誘雷と呼ばれる落雷を引き起こす可能性があります。こうしたリスクを避けるため、たとえ発射ウィンドウ(打ち上げ可能な時間帯)が限られていても、中止という決断が優先されます。
NASA暫定トップも現地入り
今回の打ち上げには、現在NASAを暫定的に率いている米運輸長官ショーン・ダフィー氏もケネディ宇宙センターで立ち会っていました。朝の時点では条件がそろった理想的な天候だったとされていますが、その後、風が強まり、雲が厚くなっていきました。
閣僚級の人物も現地入りするほど、Crew-11ミッションはNASAと米政府にとって重要な国際宇宙プロジェクトの一部と位置づけられています。
次の打ち上げチャンスは金曜日、ただし予報は厳しめ
SpaceXとNASAは、次の打ち上げ候補日を金曜日としていますが、天気予報は今回よりも条件が悪いと見込まれています。現時点では、
- 金曜日に打ち上げができるかどうかは、直前までの気象状況次第
- 条件が整わない場合、さらなる日程の見直しもあり得る
- ISS側の運用スケジュールとの調整も必要
といった不確実性を抱えています。宇宙開発の国際ニュースとしては少しじれったく感じられるかもしれませんが、無理をしないことが有人宇宙飛行の基本ルールです。
私たちにとってのCrew-11の意味
今回の打ち上げ延期は、一見すると単なるスケジュールの後ろ倒しに見えます。しかし、その背景には、
- 民間企業SpaceXがNASAの有人輸送を担う新しい当たり前が定着しつつあること
- 米国、日本、ロシアが同じ船に乗ってISSで共同作業を続けているという国際協力の現実
- 宇宙飛行士の交代が、ISSの運用や地上の研究計画に直結する仕事の継ぎ目であること
といったポイントが含まれています。
打ち上げが成功するかどうかだけでなく、なぜ延期という判断に至ったのか、その裏側にある安全基準や国際協力の仕組みにまで目を向けると、宇宙開発の国際ニュースが少し立体的に見えてきます。日本語で国際宇宙ニュースを追いかける立場としても、Crew-11の打ち上げがどのタイミングで実現するのか、今後の一報を待ちたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








