NASAとSpaceX、クルー11をISSへ 月面着陸と生命科学の最新ミッション
NASAとSpaceXは2025年12月上旬、4人の宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)へ送り込むクルー11ミッションを打ち上げました。月探査や生命科学につながる最新の国際宇宙ニュースです。
クルー11打ち上げ:4人の国際クルーがISSへ
クルー11は、NASAとSpaceXが進める商業有人宇宙飛行計画の一環として実施された、ISSへの11回目の定期クルー交代ミッションです。
乗組員は、NASAのジーナ・カードマン宇宙飛行士とマイク・フィンク宇宙飛行士、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)のKimiya Yui宇宙飛行士、ロシア国営宇宙機関ロスコスモスのOleg Platonov宇宙飛行士の4人です。
クルー11は、米フロリダ州にあるNASAケネディ宇宙センターから、SpaceXのファルコン9ロケットに搭載されたクルードラゴン宇宙船Endeavorで打ち上げられました。現地時間の午前11時43分(協定世界時15時43分)に離昇しています。
EndeavorはこれまでにNASAの4回のミッションと1回の民間ミッションをこなしており、今回も再使用される形でISSへの輸送を担いました。
ISSで何をするのか:月面着陸シナリオのリハーサル
クルー11は、ISSにおよそ6カ月間滞在し、その間にNASAの月探査計画アルテミスに関連する一連の実験を行います。焦点の一つは、月の南極近くで想定される月面着陸シナリオのシミュレーションです。
手持ち型のコントローラーと複数のディスプレイ画面を用いて、重力の変化が宇宙飛行士の操縦能力にどのような影響を与えるかを検証します。対象となるのは、将来の月着陸船を含む各種の宇宙船で、低重力環境でどこまで正確な操作が可能かを探る狙いがあります。
生命科学と素材研究:ISSが担う軌道上の実験室
クルー11が担う国際宇宙ステーションでの研究テーマは、月探査だけではありません。NASAによると、主に次のような生命科学・バイオ関連の実験が予定されています。
- 植物の細胞分裂の仕組みを観察し、重力の有無が成長や構造にどう影響するかを調べる。
- 微小重力環境が、細菌を殺すウイルスの働き方に与える影響を分析する。
- より多くのヒト幹細胞を培養する手法を検証し、再生医療などへの応用可能性を探る。
- 宇宙空間で必要な栄養素をその場で生成するオンデマンド栄養の実験を行い、長期ミッションでの食料供給の在り方を検討する。
これらの研究は、地上での医療や農業、栄養学にもつながる可能性があり、ISSが地球の未来を先取りする実験場として機能していることが改めて示されています。
ISSは一時的に11人体制に
クルー11が到着すると、国際宇宙ステーションの乗組員は一時的に11人まで増えます。現在の滞在メンバーは、NASAのAnne McClain、Nichole Ayers、Jonny Kim、JAXAのTakuya Onishi、ロスコスモスのKirill Peskov、Sergey Ryzhikov、Alexey Zubritskyの各宇宙飛行士です。
クルー11と既存のクルーは引き継ぎ期間を設け、運用や実験の内容を共有したうえで、先にISSに滞在していたクルー10が地球へ帰還します。NASAは、クルー10の帰還に向けて、海上着水地点周辺の天候や海況を慎重に見極めるとしています。
2000年から続くISS、2030年以降の退役も視野に
国際宇宙ステーションは2000年以降、途切れることなく人が住み続けている軌道上の居住施設です。同時に、より深い宇宙探査、たとえば将来の火星ミッションに向けた技術と知見を蓄えるための重要な試験場として機能してきました。
ISSは2030年以降に運用を終える計画で、退役時には軌道を徐々に下げ、最終的に太平洋の遠隔海域ポイント・ネモ上空で大気圏に再突入して崩壊する予定とされています。クルー11の活動は、その最後の十年をどう活用するかという文脈の中で行われることになります。
2025年の宇宙開発をどう捉えるか
今回のクルー11ミッションは、単なる人員輸送ではなく、月面着陸の最適な方法を探りつつ、幹細胞やウイルス、植物といった生命科学の最前線を宇宙から切り開く試みでもあります。
日本からはJAXAのKimiya Yui宇宙飛行士が参加しており、日本が国際宇宙計画の中で研究と運用の双方に深く関わっていることが改めて示されました。日本語で国際ニュースを追う私たちにとっても、ISSでの実験成果が医療や食料、環境といった身近なテーマにどのように還元されるのかを注視したいところです。
ISS退役後、人類はどのような宇宙インフラを築くのか。月や火星へと広がる活動の中で、どのような国際協力やルール作りが求められるのか。クルー11の打ち上げは、そうした問いを静かに投げかける出来事でもあります。今後数カ月にわたり、ISSから届く研究成果や運用のアップデートに注目していきたいところです。
Reference(s):
NASA and SpaceX launch Crew-11 to International Space Station
cgtn.com








