天文学ニュース:爆発する星の内部を初観測 超新星2021yfjが示したもの
爆発中の死にゆく星の内部を、科学者たちがこれまでになく詳しくとらえたという国際ニュースが注目を集めています。私たちの天の川銀河の中で起きた超新星2021yfjの観測から、恒星の最期と内部構造についての理解が一歩進みました。
爆発する恒星の最期を「生で」見る
星は、自らの内部で燃料を燃やしながら明るく輝き続けます。星の寿命はさまざまですが、数百万年から数兆年に及ぶとされています。しかし、燃料を使い果たすと、特に大質量の星は壮大な爆発現象である超新星としてその一生を終えます。
これまでにも、多くの超新星が望遠鏡で観測されてきましたが、爆発のエネルギーによって星の内部の層が激しくかき混ぜられてしまうため、もともとの内部構造を直接見ることは難しいとされてきました。今回の観測は、その「壁」を破るものです。
- 星は数百万〜数兆年という長い寿命を持つ
- 最も重い星は最期に超新星爆発を起こす
- 爆発で内部の層が混ざり合い、構造は通常見えない
- 超新星2021yfjでは、異例なほど内部まで「むき出し」になった
超新星2021yfjで何が起きたのか
今回詳しく調べられたのは、私たちが属する天の川銀河の中で起きた超新星2021yfjです。この星では、爆発前の段階ですでに外側の水素やヘリウムの層がほとんどはがれ落ちていたとみられています。こうした外層の喪失自体は、天文学ではそれほど珍しい現象ではありません。
驚きだったのは、そのさらに内側にあるはずの高密度なケイ素や硫黄の層までが、爆発の際に外へと吐き出されていたことです。観測チームの一員である米ノースウェスタン大学のスティーブ・シュルツェ氏は「ここまで徹底的に層がはぎ取られた星を観測したのは初めてです」と述べています。研究成果は、水曜日付の科学誌『Nature』に掲載されました。
層構造モデルを裏付ける貴重な証拠
天文学では、大質量の星の内部がタマネギのように層を重ねた構造になっていると考えられてきました。外側には水素やヘリウムといった軽い元素があり、中心に近づくほどケイ素や硫黄などの重い元素が並ぶというイメージです。
今回の超新星2021yfjでは、多くの層が外へと露出したことで、その「タマネギ構造」がどのような元素から成り立っているかを、これまでよりはっきりと確認できました。米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターで超新星を研究するアニャ・ニュージェント氏は、今回の研究には参加していませんが、「これほど多くの層がはぎ取られたことで、その層が何でできているかを確認できた」と評価しています。
爆発中の星の内部をここまで直接的にのぞき込める機会は非常にまれであり、長年の理論モデルを支える実測データとして重要な意味を持ちます。
大量の物質はどのように失われたのか
一方で、この星がなぜこれほどまでに多くの層を失ったのかについては、まだ謎が残されています。可能性として研究者たちが挙げているのは、次のようなシナリオです。
- 星が最期の段階で激しい活動を起こし、自らの層を暴力的に吹き飛ばした
- 近くを回る伴星が存在し、その重力によって外層が少しずつ引きはがされていった
どちらのシナリオが正しいのか、あるいは全く別の仕組みが隠れているのかは、今後の研究に委ねられています。ただ、このように内部までむき出しになった超新星を再び観測できる可能性は高くなく、同様の例が見つかるかどうかも含めて、慎重な観測と解析が求められます。
私たちがこのニュースから考えられること
今回の超新星2021yfjの観測は、単に一つの星の最期を描いたニュースにとどまりません。星の内部構造や爆発のしくみをより正確に理解することは、宇宙に重い元素がどのように広がっていくのか、そして銀河や惑星がどのように形成されてきたのかを考えるうえでも重要です。
スマートフォンの画面越しに読むニュースの背後で、何百万年、何億年という時間スケールで進む宇宙のドラマが、少しずつ輪郭を現しつつあります。滅多にない「爆発する星の内部のぞき見」によって、私たちの宇宙観は今後も静かにアップデートされていきそうです。
Reference(s):
cgtn.com







