SpaceXが米軍の極秘無人宇宙機X-37Bを打ち上げへ 第8次ミッションの狙いとは
米民間宇宙企業スペースXは木曜の夜、米軍の機密性の高い無人宇宙機X-37Bを搭載したファルコン9ロケットを打ち上げる予定です。2010年から運用されてきたX-37Bにとって、今回が8回目のミッションとなります。
スペースXによると、打ち上げ予定時刻は午後11時50分(現地時間)で、天候などの理由で延期となった場合には、翌日同じ時刻に予備の打ち上げ時間帯が設けられています。
極秘無人宇宙機 X-37B の正体
X-37Bは小型バスほどの大きさの無人宇宙機で、2011年に退役した米スペースシャトルを小さくしたような外観をしています。全長は約9メートル、翼の幅は約4.6メートルで、電力は太陽電池パネルによって賄われます。
正式名称はX-37B軌道試験機で、米航空機大手ボーイングが米空軍向けに設計・製造しました。これまでの打ち上げサービスは、米企業ユナイテッド・ローンチ・アライアンスが担ってきました。
その任務内容の多くは公表されていませんが、過去のミッションでは米航空宇宙局NASAの試験機器を搭載し、宇宙空間での運用テストを行ったこともあります。軍事色の強いプロジェクトでありながら、科学技術の実験台としての役割も果たしてきたと言えます。
第8次ミッションの目的:次世代技術の実証
今回の第8次ミッションについて、米宇宙軍は幅広い試験と実験を行うと説明しています。焦点となるのは、レーザー通信や高度な量子慣性センサーなど、次世代の宇宙関連技術です。
レーザー通信:より高速で安全なデータ伝送へ
レーザー通信は、光を使ってデータを送受信する技術で、従来主流だった電波による通信よりも大容量かつ高効率な通信が期待されています。宇宙空間で安定して運用できれば、衛星同士や衛星と地上局の間で、より高速で安全なデータ伝送が可能になると見込まれます。
X-37B上での実証は、こうしたレーザー通信技術が実際の宇宙環境でどこまで機能するのかを確かめる重要なステップとなります。将来の宇宙通信インフラの性能向上や、新しい衛星ネットワーク構想にも影響を与えそうです。
量子慣性センサー:GPSに頼らない測位のカギ
量子慣性センサーは、物体の動きや姿勢を非常に高い精度で把握するための装置です。米宇宙軍は、今回試験されるものが、宇宙でテストされた中で最も高性能な量子慣性センサーになると説明しています。
この種のセンサーが実用化されれば、衛星測位システムに頼らずに位置や軌道を維持する新しい方法として注目されます。通信衛星や偵察衛星などに応用されれば、ジャミング(妨害電波)やシステム障害に対する強靭性を高める一助となる可能性があります。
宇宙通信アーキテクチャの強靭化という狙い
米宇宙軍は、第8次ミッションが米国の宇宙ベースの通信体制の強靭性、効率性、安全性を高めることに貢献すると強調しています。宇宙にある通信インフラは、軍事用途だけでなく、地上のインターネットや衛星通信、災害時の連絡手段など、民生分野にも深く関わっています。
レーザー通信や量子慣性センサーのような技術が成熟すれば、衛星ネットワークの構成や運用方法そのものが変わる可能性があります。一方で、ミッションの詳細が公表されない部分も多く、軍事利用と民生利用がどのようなバランスで進むのかは、今後も注視が必要です。
スペースXの役割と商業宇宙企業の存在感
今回の打ち上げでは、民間企業であるスペースXのファルコン9ロケットが軍事ミッションを支えます。X-37Bの運用開始当初はユナイテッド・ローンチ・アライアンスが打ち上げを担ってきましたが、現在はスペースXも重要な選択肢となっています。
商業宇宙企業が軍事・安全保障に関わる宇宙ミッションを担う流れは、今後さらに広がる可能性があります。コスト削減や打ち上げ頻度の向上という利点がある一方で、民間企業の責任範囲や国家戦略との関係など、考えるべき論点も増えています。
読者が押さえておきたいポイント
- スペースXが米軍の無人宇宙機X-37B第8次ミッションを打ち上げ予定
- 打ち上げは木曜午後11時50分(現地時間)、予備時間帯は翌日同時刻
- レーザー通信や量子慣性センサーなど次世代技術の実証が中心
- ミッションの目的は宇宙ベース通信体制の強靭性・効率・安全性の向上
- 商業宇宙企業が軍事ミッションで果たす役割が一段と大きくなっている
軍事色の強いプロジェクトではありますが、そこで試される技術は、将来私たちの日常生活を支える通信や測位のインフラにもつながる可能性があります。打ち上げの行方だけでなく、その先にある技術や社会への波及効果にも目を向けていきたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








