スペースXスターシップ第10回打ち上げ、テキサスの曇天で延期
米宇宙企業スペースXの超大型ロケット「スターシップ」の第10回打ち上げが、米テキサス州の曇天のため延期されました。火星への有人飛行を見据えた再使用型ロケットシステムの試験は、順調とは言えない今年の開発状況とあわせて、あらためて注目を集めています。
テキサスの曇天で「打ち上げリハーサル」に
スペースXはテキサス州のスターシップ専用施設スターべースで、全長約71メートルのスーパー・ヘビーブースターと約52メートルのスターシップ上段を組み合わせた機体を発射台に据え、打ち上げに向けた準備を進めていました。この組み合わせは、ニューヨークの自由の女神像よりも高いとされています。
機体には数百万ポンド規模の推進剤が充填され、発射カウントダウンも進行していましたが、現地時間の午後8時ごろ、スペースXはその日の打ち上げを見送り、運用全体を打ち上げリハーサルと位置づける判断をしました。打ち上げウィンドウを通じて天候の回復が見込めないと判断したためです。
今回に至るまでにも、直前での中止が続いています。
- 現地時間日曜日には、発射台での液体酸素漏れが発生し、打ち上げは中止に。イーロン・マスク氏はSNS「X」上でその状況を説明しました。
- 翌月曜日には気象条件が最大の懸念となり、発射時間が何度か後ろ倒しされた末、最終的に延期が決定されました。
- スペースXは当初、現地時間火曜日午後7時30分(協定世界時21時30分)にあらためて打ち上げを試みる計画を示していました。
巨大ロケット「スターシップ」第10回試験の重み
スターシップは、スペースXの商業打ち上げビジネスを支える次世代ロケットであり、同社が掲げる人類を火星へ送るという長期目標の中心に位置づけられています。今回の第10回試験では、巨大ロケットを繰り返し再使用するための重要な節目を複数クリアすることが狙いとされていました。
例えば、より安定した飛行プロファイルの実証や、将来の機体回収に向けたデータ取得など、再使用設計に不可欠な条件を一つずつ確認していくことが求められています。
相次ぐトラブルと「壊しながら学ぶ」開発哲学
しかし、今年2025年のスターシップ開発は順風満帆とはいえません。年初には飛行初期段階での試験失敗が2回発生し、9回目の飛行では宇宙空間での試験中に別のトラブルが起きました。さらに6月には試験スタンドで大規模な爆発が発生し、破片がメキシコ側の地域まで飛散する事故も報告されています。
スペースXは、プロトタイプ機を限界まで飛ばして壊し、その結果から改良点を見つけるテストして壊す開発手法をとっています。資金集約的でリスクの大きいアプローチですが、急速な技術進歩を目指す同社にとっては不可欠だとされています。
一方で、打ち上げのごく初期の段階で異常が起きてしまうと、本来得たいと考えていた飛行データが十分に集まらないという指摘もあります。失敗を前提にするからこそ、どの段階まで飛ばし込めるかが重要なテーマになっています。
今回の延期から見える3つのポイント
今回の延期は、一見するとまた延期かと受け止められがちですが、宇宙開発の今を映す鏡として眺めると、いくつかの論点が見えてきます。
- 再使用型ロケット開発の難しさ:数分の打ち上げに向けて、膨大な準備と安全確認が必要であること。
- 民間宇宙企業の挑戦:スペースXのような企業が大規模な試験を繰り返すことで、将来的な宇宙輸送コストの低減が期待されること。
- 失敗との付き合い方:短期的な失敗や延期を許容しながら、長期的な技術進歩を目指す姿勢が問われていること。
次の打ち上げに向けて
マスク氏は月曜日のライブ配信に短時間出演し、スターシップの設計思想や、将来的に人類を火星へ運ぶ役割について語りました。曇天による延期は想定外だったものの、打ち上げに向けた一連の手順を実際に踏むリハーサルは、次の飛行に向けた貴重な練習にもなったと言えます。
スペースXは、現地時間火曜日午後7時30分の再打ち上げを目指す計画を示しており、関係者や宇宙ファンの関心は、スターシップがどこまで安定した飛行と技術的節目の達成に近づけるのかに集まっています。度重なるトラブルのなかでも試験を重ねることで、火星ロケットシステムの再使用設計に必要なデータがどこまで蓄積できるかが焦点となりそうです。
大型ロケット開発は、一つの成功の裏に数えきれない失敗や延期が積み重なります。そのプロセスをどう評価し、どこまでリスクと向き合うのかは、宇宙企業だけでなく私たちの社会全体にとっても問いかけになりつつあります。スターシップの動向は、2025年の国際ニュースとして、今後も追いかけておきたいテーマの一つと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








