NASA最新研究:低迷予測から一転、高まる太陽活動と地球への影響
太陽活動が長期低迷に向かうと見られていた予測が覆され、NASAの最新研究が「太陽は再び目を覚ましつつある」と示しました。宇宙天気の変化は、衛星から電力網まで、私たちの日常にも影響し得る重要な国際ニュースです。
NASA研究が示した「太陽の目覚め」
アメリカ航空宇宙局(NASA)の科学者チームが公表した研究によると、太陽活動はこれまで予想されていた「歴史的な低活動期」ではなく、むしろ再び活発化に向かっている可能性があるといいます。
研究の筆頭著者で、米カリフォルニア州のNASAジェット推進研究所(JPL)で宇宙プラズマを研究するジェイミー・ジャシンスキー氏は、「これまでの兆候は、太陽が長期的な低活動期に入ることを示していました。ですから、その傾向が反転したのは驚きでした。太陽はゆっくりと目を覚ましつつあります」と述べています。
この研究成果は、9月上旬に天文学の専門誌The Astrophysical Journal Lettersに掲載されました。
1980年代から2008年まで続いた低下トレンド
NASAによると、太陽活動は1980年代以降、2008年まで長期的に減少傾向が続いていました。特に2008年の太陽活動は観測史上もっとも弱かったとされ、その時点では「このまま歴史的な低活動期に入るのではないか」という見方が強まっていました。
2008年以降、静かな太陽に起きた変化
ところが、2008年を底に太陽の振る舞いは少しずつ変化を見せ始めます。研究者たちは、その後の観測データから、太陽活動がじわじわと増加に転じていることを確認しました。
この反転により、「宇宙天気」と呼ばれる宇宙空間の環境にも変化が生じる可能性があります。具体的には、
- 太陽フレア(太陽表面で起こる爆発的なエネルギー放出)
- 太陽嵐(強い太陽風が地球に到達する現象)
- コロナ質量放出(太陽の外層から大量のプラズマが放出される現象)
といったイベントが増えるおそれがあるとされています。
宇宙天気が地球の生活に与えるリスク
宇宙空間では、こうした宇宙天気の変化が衛星や宇宙飛行士の安全に直結します。NASAは、太陽活動の変化が次のような分野に影響を与え得ると警告しています。
- 人工衛星や探査機などの運用
- 宇宙飛行士の被ばくリスクやミッション計画
- 地上の電力網(強い磁気嵐による大規模停電のリスク)
- GPS(全地球測位システム)などの測位サービス
- 航空機や船舶、非常通信にも使われる無線通信
デジタル社会に依存する現代において、宇宙天気はもはや専門家だけの話題ではありません。インターネットやキャッシュレス決済の基盤となるインフラの多くが、衛星や精密な電力システムに支えられているからです。
太陽活動サイクル25と、次のサイクル26
NASAは、太陽活動にはおよそ11年周期で強弱の波があると説明しています。この周期は「太陽活動サイクル」と呼ばれ、現在地球がいるのは、第25周期、いわゆる「サイクル25」です。
サイクル25は2020年に始まりました。その前のサイクル24は、100年以上で最も弱い周期だったとされています。そのため、一時は「太陽は今後も静かな状態が続く」と予測されていましたが、今回の研究結果はその前提を見直す必要性を示しています。
米国海洋大気庁(NOAA)は、次の太陽活動サイクル26が2029年1月から2032年12月の間に始まると見積もっています。2025年12月現在、私たちはサイクル25の中盤に差し掛かる時期にあり、これから数年間は宇宙天気の動向に一層の注目が集まりそうです。
これから私たちが意識しておきたい視点
今回のNASAの研究は、「太陽活動の変化が、私たちの日常生活とどのようにつながっているか」を改めて考えさせるきっかけになります。特に意識しておきたいポイントは次の通りです。
- 宇宙天気の情報は、もはや専門家だけでなく一般の利用者にとっても重要になりつつあること
- 電力網や通信、衛星システムなど、社会インフラの強靭性をどう高めるかが各国の政策課題になっていること
- 太陽活動の変化は数十年単位で進むため、短期的な「異常」ではなく長期トレンドとして向き合う必要があること
インターネットやSNSで日々ニュースに触れている私たちにとっても、「宇宙は遠い話」ではありません。今後の太陽活動と宇宙天気の情報に、少しだけアンテナを高くしておくことが、これからのデジタル時代を安心して生きるうえでの小さな備えになるかもしれません。
Reference(s):
NASA study reveals unexpected surge in solar activity after decline
cgtn.com








