メタ、テキサスにAI向け巨大データセンター新設 投資15億ドルの狙い
メタ、テキサスにAI向け巨大データセンター新設
米メタ・プラットフォームズが、テキサス州エルパソに約15億ドルを投じて新たなデータセンターを建設すると発表しました。人工知能(AI)の計算需要に対応するためのインフラ整備の一環で、世界全体で29番目の拠点となります。
このエルパソの施設は、テキサス州では3拠点目となるメタのデータセンターで、2028年の稼働開始を目指しています。最大で出力1ギガワット規模まで拡張できる計画で、サンフランシスコ規模の都市が1日で使う電力に相当するエネルギーをまかなえるとされています。
加速するAIインフラ競争と15億ドル投資の背景
今回の投資の背景には、AI向けクラウドサービスを巡る大手テック企業同士の競争激化があります。アマゾン、アルファベット、メタ、マイクロソフトといった大手クラウド事業者は、2025年に合計で3600億ドル超を投資すると見込まれており、その多くがデータセンター向けに充てられるとされています。
生成AIや大規模言語モデルなどのAI技術は、膨大な計算資源と電力、冷却設備を必要とします。そのため、誰がどれだけ早く、効率の良いインフラを世界各地に整備できるかが、ビジネス上の優位性を左右する段階に入っています。メタのエルパソでの新拠点は、その競争の一つの象徴といえます。
エルパソを選んだ理由:電力網と人材、地域の後押し
メタは、エルパソを選んだ理由として、堅牢な電力網と熟練した労働力を挙げています。同社によると、このデータセンターは稼働開始後に約100人の雇用を生み出し、建設のピーク時には1800人以上の作業員が現場で働く見通しです。
地元の経済開発団体ボーダープレックス・アライアンスのジョン・バレラ最高経営責任者は、今回のプロジェクトについて「業界で最も速いガゼルが最初に走り出せば、他も後に続く」と表現し、メタが地域にもたらす波及効果に期待を示しています。バレラ氏によると、プロジェクトの起点は約4年前にさかのぼり、テキサス州知事の事務所からの紹介を受けたことがきっかけだったといいます。
エルパソ市は、税優遇措置などのインセンティブを提示し、メタの誘致を後押ししました。大規模データセンターは電力需要や土地利用の面で負荷も伴う一方で、長期的な雇用や関連産業の誘致など、地域経済にとっての新たなチャンスにもなります。
再生可能エネルギーと水資源へのコミットメント
今回のエルパソのデータセンターは、使用電力の100パーセントを再生可能エネルギーで賄う計画です。メタはこれまでも各地の拠点で再エネ調達を進めてきましたが、AI向けインフラの増加に伴い、電力のグリーン化は一段と重要性を増しています。
冷却方式にも特徴があります。施設では、閉じた循環式の液体冷却システムを採用し、使用する水を継続的に再利用します。さらに、データセンターが消費する水の2倍の量を、周辺の流域に還元すると約束しており、自社が掲げる2030年までの水ポジティブ(消費より多くの水を自然に戻す)目標を上回る取り組みとなります。
ルイジアナでの大型案件と合わせて見るメタの長期戦略
メタは今回のエルパソ計画で、まず自社資金として15億ドルを投入します。同社はすでにテキサス州全体で100億ドル超を投資しており、州内の従業員数は2500人以上に達しているとしています。これらの数字には、エルパソへの新規投資も含まれます。
加えて、メタは最近、ルイジアナ州でのデータセンター・キャンパス建設に向けて、資産運用会社のピムコとブルー・オウルと29億ドル規模のオフバランス取引を結んでいます。自社のバランスシートに負担を集中させず、外部資金も活用しながら巨大インフラを整備するモデルを模索していることがうかがえます。
日本の読者にとっての意味:インフラ時代のAI競争
日本からこのニュースを見ると、次のようなポイントが浮かび上がります。
- AI競争はアルゴリズムやアプリだけでなく、電力・冷却・通信を支える物理インフラの勝負になりつつあること
- 再生可能エネルギーや水の循環利用など、環境負荷をどう抑えながらデータセンターを増やすかが、各国共通の課題になっていること
- 自治体にとって、大型データセンターは雇用や税収の機会であると同時に、電力網や水資源の計画に直結する戦略案件になっていること
エルパソのプロジェクトは、AI時代のインフラ投資がどのように地域経済や環境政策と結びついていくのかを考えるうえで、今後も注目すべき事例になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








