「非喫煙者の肺がん」が世界で最大2割に 国際研究レビュー
世界の肺がん患者のうち、最大で5人に1人は生涯ほとんどタバコを吸ったことのない非喫煙者である可能性があるとする国際研究のレビュー結果が公表されました。喫煙者だけでなく、多くの人に関わる国際ニュースです。
非喫煙者でも肺がんに 世界症例の最大2割
今回紹介された国際ニュースは、オーストラリアと英国の研究者がまとめ、米医学誌「Journal of the American Medical Association」に掲載されたレビュー研究です。世界の肺がんについてのデータを整理し、非喫煙者の肺がんの実態に焦点を当てています。
研究チームは、世界で肺がんと診断される人のうち、非喫煙者が占める割合はおよそ15〜20%に達すると報告しました。つまり、肺がん患者のおよそ5人に1人が非喫煙者である可能性がある、ということになります。
ここでいう非喫煙者とは、生涯でタバコを100本未満しか吸っていない人と定義されています。この定義に基づいて、各国・各地域のデータを集約した結果が示されています。
92本の国際研究をレビュー
この肺がん研究レビューは、これまでに発表された非喫煙者の肺がんに関する国際研究92本を分析したものです。レビューには、オーストラリアのピーター・マッカラムがんセンターとメルボルン大学に所属する研究者、ベンジャミン・J・ソロモン氏らが参加しました。
複数の国や地域のデータを横断的に見ることで、単独の研究だけでは見えにくい傾向や共通点をあぶり出すことができるのが、レビュー研究の特徴です。今回も、非喫煙者の肺がんに特有のパターンが浮かび上がっています。
非喫煙者に多いのは「腺がん」
レビューによると、非喫煙者に発生する肺がんの多くは「腺がん」と呼ばれるタイプでした。腺がんは、分泌物を出す腺の細胞など、いわゆる腺組織から発生するがんで、肺がんの病理型の一つです。
研究チームは、非喫煙者の肺がんが特定のタイプに偏っていることを示し、従来の「喫煙=肺がん」というイメージだけでは捉えきれない実態があることを指摘しています。
遺伝子変異が多く、治療効果にも影響
この国際研究レビューで重要なポイントの一つが、非喫煙者の肺がんでは、がんに関連する遺伝子変異の割合が高いという点です。オーストラリア科学メディアセンターのウェブサイトに掲載された要約によると、こうした遺伝子変異は治療法の効き方に影響している可能性があるとされています。
つまり、同じ「肺がん」であっても、非喫煙者と喫煙者では、がん細胞の性質や遺伝子の変化が異なる場合があり、その違いが治療の選択や効果に関わってくる可能性があるということです。今後の医療現場では、患者一人ひとりの病気の特徴をより細かく見ていく必要性が示唆されています。
非喫煙者が直面する主なリスク要因
では、なぜ非喫煙者が肺がんになるのでしょうか。レビュー研究で整理された過去の研究から、リスクが高い非喫煙者には、次のような共通する要因があるとされています。
- 受動喫煙:自分は吸わなくても、家庭や職場などで他人のタバコの煙を吸い続けている人。
- 放射性物質への暴露:仕事や住環境などを通じて、放射性物質にさらされる機会のある人。
- 大気汚染:排気ガスや工場排煙など、汚れた空気に長期間さらされている人。
- アスベスト(石綿):建材などに使われてきたアスベストに職業的・環境的に接してきた人。
- 家族歴:親やきょうだいなど、一親等の家族に肺がんの既往がある人。
喫煙をしない人にとって、受動喫煙や大気汚染、職場環境、そして家族歴といった要因は、自分では気づきにくく、コントロールしにくい場合もあります。こうした「見えにくいリスク」が、非喫煙者の肺がんの背景にあることがあらためて整理された形です。
「喫煙しないから安心」とは言い切れない時代に
今回の国際ニュースは、肺がんを「喫煙者だけの病気」と考えてしまうことへの注意喚起でもあります。世界のデータを見ても、非喫煙者の肺がんが決してまれではないことが示されました。
一方で、非喫煙者の肺がんに特徴的な遺伝子変異や病理型があることは、今後、よりきめ細かな診断や治療につながる可能性もあります。環境対策や受動喫煙対策を進めることに加え、家族歴や生活環境を医療者と共有しながら、自分のリスクを知ろうとする姿勢が、これからいっそう重要になっていきそうです。
肺がんは世界の多くの国と地域で重大な健康課題となっています。非喫煙者にも及ぶリスクをどう減らし、どのように早期に見つけ、治療していくのか。今回の研究レビューは、その議論の出発点の一つと言えそうです。
Reference(s):
cgtn.com








