Qualcommが新AIチップでデータセンター参入、株価20%急騰
スマートフォン向け半導体で知られるQualcommが、データセンター向けの新しい人工知能(AI)チップを発表しました。停滞するスマホ市場から事業を多角化しつつ、AIデータセンター分野でNvidiaに挑む動きとして、国際ニュースの中でも注目を集めています。
データセンター向けAIチップ「AI200」「AI250」が登場
Qualcommは今週月曜日、データセンター向けのAIチップ「AI200」と「AI250」を発表し、株式市場では同社株が20%急騰しました。市場の強い反応は、投資家が同社のAI戦略に大きな期待を寄せていることを示しています。
新チップは、生成AIなどの高度なAIアプリケーションを動かすために重要となるメモリ容量を強化し、主に推論(インファレンス)処理に最適化されています。商用提供の開始時期は、AI200が2026年、AI250が2027年とされています。
さらにQualcommは、これらのチップをベースにしたラック型のデータセンター向けシステムも披露しました。NvidiaやAMDが単なるチップ販売から、大型のデータセンターシステム提供へと軸足を移している流れに、同社も本格的に乗り出した形です。
グローバルで加速するAIチップ投資の文脈
今回のQualcommの発表は、世界的にAIチップへの投資が急増しているという大きな流れの中に位置づけられます。クラウド事業者や半導体メーカー、企業ユーザーは、巨大な言語モデルやチャットボット、その他の生成AIツールを支えるインフラを急ピッチで整備しています。
Qualcommによると、新しいAIチップは一般的なAIフレームワークや開発ツールに対応し、企業にとってのコスト削減効果を前面に打ち出しています。電力効率や運用コストが重要になるデータセンター向け市場で、「性能」と「コスト」のバランスを武器に存在感を高めたい考えとみられます。
Nvidia一強市場への挑戦と、そのハードル
AIデータセンター市場では、いまもNvidiaが圧倒的な存在感を持っています。ここに、AMDやQualcommといったプレーヤーが本格参入し、競争は明らかに激しくなりつつあります。
一方で、すでにNvidia製品を使っている企業が他社のチップに乗り換えるには、大きなコストと手間がかかります。さらに、Nvidiaのプロセッサーは性能面でも高く評価されており、新規参入組がシェアを奪うのは簡単ではありません。
Qualcommの新AIチップは、こうした高い参入障壁に挑むための勝負手と言えます。AIフレームワーク対応やコスト面の優位性をどこまでアピールできるかが、今後のカギになりそうです。
サウジ発スタートアップHumainが200メガワット導入へ
今回の発表に合わせて、具体的な採用事例も示されました。サウジアラビアの政府系ファンドが立ち上げたAIスタートアップ「Humain」が、2026年からQualcommの新しいAIラックを200メガワット規模で導入する計画だとされています。
Rational Equity Armor FundのポートフォリオマネジャーであるJoe Tigay氏は、「Qualcommの参入とサウジアラビアでの大型案件は、高効率なAI計算資源への世界的かつ分散した需要に、単一の企業だけでは応えきれないことを示している」と指摘します。AI計算インフラのエコシステムが、一社依存から徐々に分散へと向かいつつあるという見立てです。
スマホ依存からの脱却、PC・データセンターへ多角化
Qualcommは、スマートフォンを無線通信ネットワークにつなぐモデムチップで世界最大の供給企業とされています。しかし同社は、伸び悩むスマホ市場への依存を減らすべく、ここ数年で事業の多角化を進めてきました。
過去2年ほどの間には、個人向けパソコン市場にも本格参入し、IntelやAMDと競いながら、Windows搭載ノートPC向けのチップを提供しています。今回のデータセンター向けAIチップは、モバイル、PCに続く新たな収益の柱を目指す動きとして位置づけられます。
今回の発表から見える3つのポイント
今回のQualcommによるAIチップ発表を踏まえると、次の3点が重要な論点として浮かび上がります。
- データセンターAI戦略の本格化: スマホ向けからデータセンター向けへと事業領域を広げることで、収益構造の転換を図ろうとしている。
- エコシステムの分散: Humainのような新興企業による大規模導入が示すように、AI計算資源をめぐるプレーヤーは多様化しつつある。
- 投資家心理へのインパクト: 発表直後に株価が20%跳ね上がった事実は、市場がAI関連ビジネスにいかに敏感かを物語っている。
日本の読者・企業にとっての意味
日本語で国際ニュースを追う読者にとって、今回のQualcommの動きは、AIインフラの選択肢が今後さらに広がる可能性を示すニュースでもあります。クラウドサービスや生成AIを活用する企業にとっては、コストや性能、エコシステムの違いを意識したベンダー選択が、これまで以上に重要になっていきそうです。
2026〜2027年にかけて新チップが実際にデータセンターに展開されていく過程で、Nvidia中心のAI市場構造がどこまで変わるのか。各社の戦略とエコシステムの動きを、引き続き丁寧に追っていく必要があります。
Reference(s):
Qualcomm announces new AI chips in data center push, shares surge
cgtn.com








