ドイツ裁判所「歌詞でのChatGPT学習は著作権侵害」ミュンヘン地裁が判断
AIチャットボットのChatGPTが、音楽の歌詞を学習に使ったことはドイツの著作権法に違反する――ミュンヘンの地方裁判所が火曜日に出した判決は、生成AIと著作権をめぐる世界的な議論に新たな一石を投じました。人気ミュージシャンの楽曲を含む歌詞の利用について、ChatGPTを運営する米OpenAIに損害賠償の支払いが命じられています。
ミュンヘン地裁が認定した著作権侵害とは
ドイツ南部ミュンヘンの地方裁判所は、OpenAIが著作権で保護された楽曲の歌詞を、自社のAIモデルの学習に利用していたと認定しました。対象となったのは、ドイツのベストセラー歌手ヘルベルト・グレーネマイヤーさんのヒット曲「Maenner」「Bochum」を含む9曲のドイツ語楽曲です。
裁判所は、ChatGPTがこれらの楽曲の歌詞を再現したことが、ドイツの著作権法に違反すると判断しました。裁判長のエルケ・シュヴァーガー氏は、OpenAIに対し損害賠償の支払いを命じていますが、具体的な金額は公表されていません。
- 裁判所:ドイツ・ミュンヘンの地方裁判所
- 原告:音楽著作権管理団体GEMA
- 対象:ドイツ語楽曲9曲の歌詞
- 被告:ChatGPTを提供する米OpenAI
- 判断:歌詞の学習利用と再現は著作権侵害に当たると認定
- 結果:OpenAIに損害賠償を命令(賠償額は非公表)
GEMAが訴えた「AIのための歌詞利用」
今回の訴えを起こしたのは、ドイツの音楽著作権管理団体GEMAです。GEMAには、作曲家、作詞家、音楽出版社などが加盟しており、音楽作品の利用を管理し、権利者に使用料を分配する役割を担っています。
GEMAは、OpenAIが歌詞を含む保護されたコンテンツをAIの学習に用い、その結果としてChatGPTが歌詞を再現できる状態になっていることを問題視しました。この訴訟は、世界各地のアーティストや権利者が、AIによる大規模なデータ収集や学習に対して、法的な異議を唱える動きの一環と位置づけられます。
AIの学習と著作権、何が争点なのか
今回の判決の背景には、大規模言語モデルと呼ばれるAIの仕組みがあります。ChatGPTのような生成AIは、インターネット上などから集めた大量のテキストデータを学習し、新たな文章を作り出します。その学習データの中に、歌詞や小説などの著作権で保護された作品が含まれている場合、どこまでが合法で、どこからが侵害なのかという問題が浮かび上がります。
ミュンヘン地裁は、保護された歌詞を学習に用い、実際にその歌詞を再現できる状態にした点を重く見たといえます。学習という内部プロセスであっても、特定の作品を再現可能にしている以上、権利者の許諾なく利用することは認められない、というメッセージとして受け止めることもできます。
なぜ歌詞が問題になりやすいのか
数あるコンテンツの中でも、歌詞はとくに著作権の観点から敏感な領域です。楽曲の歌詞は、短くても個性的な表現が多く、数行を再現するだけで特定の作品だと判別されやすい特徴があります。そのため、AIが類似の表現を生成した場合でも、権利侵害かどうかが問題になりやすい分野です。
今回のケースでは、ChatGPTが実在の曲の歌詞を再現してしまったとされており、単なる雰囲気の似た文章ではなく、具体的な作品との対応関係が争点となりました。これは、AIの学習と創作の境界がどこにあるのかを考えるうえで、象徴的な事例といえます。
日本の利用者にとってのポイント
この判決はドイツの法制度に基づくものですが、2025年現在、日本を含む各国で生成AIと著作権をめぐる議論が続いています。日常的にChatGPTなどの生成AIを使う私たちにとっても、意識しておきたいポイントがあります。
- 歌詞や小説の一節など、明らかに著作権で保護された表現をそのままAIに出力させて公開・配布することにはリスクがある
- とくに商用利用やビジネスでの利用では、AIが生成した内容であっても、元の作品との関係に注意する必要がある
- クリエイティブな作業でAIを使う場合は、あくまで参考にとどめ、自分なりの表現を加えることが望ましい
- 企業や組織にとっては、AI利用の社内ルールやガイドラインを整備することが重要になりつつある
これからの生成AIに求められるもの
今回のミュンヘン地裁の判断は、AIの利便性とクリエイターの権利をどう両立させるかという、難しい問いを突きつけています。音楽や文章、画像などの創作物をAIが学習すること自体は、革新的なサービスにつながる一方で、権利者の同意や対価の支払いが欠かせないという考え方が、今後さらに強まっていく可能性があります。
AI開発企業には、学習データの扱い方や、権利者との対話のあり方について、透明性や説明責任がいっそう求められるでしょう。そして利用者側にも、便利さだけでなく、作品を生み出した人たちへのリスペクトをどう保つかが問われています。
国際ニュースとしての今回の判決は、技術と権利、そして私たちの生活のバランスを見直すきっかけにもなりそうです。あなたは、生成AIと著作権の線引きはどこにあるべきだと考えますか。
Reference(s):
Training ChatGPT on lyrics infringed copyright, German court rules
cgtn.com








