カナダ、麻しん排除ステータス喪失 1年以上続く流行で認定
カナダで麻しんの国内流行が1年以上続いた結果、公衆衛生当局は排除ステータスを失いました。先進国でもワクチン接種の隙を突いて感染症が再拡大し得ることを示す動きです。
カナダ、麻しん排除ステータスを喪失
カナダ公衆衛生庁は、同国が麻しんの排除ステータスを失ったと発表しました。パンアメリカン保健機関は、同じ麻しんウイルス株による感染が国内で1年以上継続していることを確認し、ステータス変更を通知したとされています。
今回の判断の背景には、麻しんウイルスが国内で継続的に広がっているという事実があります。排除ステータスは、一定期間、国内での持続的な感染伝播が途絶えていることを条件として認定されますが、カナダではこの条件を満たさなくなった形です。
1年以上続く大規模流行 5千人超が感染
カナダは現在、大規模で複数の行政区にまたがる麻しんの流行に直面しています。この流行は2024年10月に始まり、少なくとも1年以上続いているとされています。
カナダ政府がまとめた麻しん・風疹の監視週報によると、2025年10月25日時点で、今年報告された麻しん症例は累計5,138件に達しました。このうち2例が死亡例で、いずれも先天性麻しんを持つ早産児だったとされています。
公衆衛生庁は、最近になって感染の広がりはやや鈍化しているものの、流行は依然として続いていると説明しています。感染の中心は、ワクチン接種が十分に行われていない地域やコミュニティに集中しているとされています。
1998年に達成した排除の転換点
カナダは1998年に麻しん排除を達成しており、長年にわたり国内での持続的な感染を抑制してきました。しかし今回、1年以上にわたる国内感染の継続が確認されたことで、そのステータスが取り消されることになりました。
排除の達成から四半世紀近くが経過した今、麻しんが再び広く流行したことは、長年の公衆衛生対策の成果が必ずしも永続的ではないことを示しています。
再び排除ステータスを取り戻す条件
カナダ公衆衛生庁によると、今回の流行で広がっている麻しんウイルス株の感染伝播が少なくとも12カ月間途絶えれば、カナダは再び麻しん排除ステータスを回復できるとされています。
今後は、このウイルス株による持続的な感染をどれだけ早く、そしてどれほど長く止められるかが、公衆衛生政策の重要な指標となります。
なぜワクチン接種が鍵なのか
公衆衛生庁は、今回の長期流行が主にワクチン接種率の低いコミュニティで続いていると指摘しています。麻しんは非常に感染力が強い急性のウイルス性呼吸器疾患であり、わずかな接種率の低下でも集団感染につながりやすいとされています。
麻しんは、咳やくしゃみなどによる飛沫やエアロゾルを通じて感染します。感染後1〜2週間ほどで、高熱、せき、鼻水、赤く充血した涙目、そして特徴的な発疹といった症状が現れます。重症化すると肺炎などの合併症を引き起こすことがあり、乳児など免疫が弱い人にとっては命に関わる病気です。
日本の読者への示唆 先進国でも油断はできない
今回のカナダの事例は、過去に麻しん排除を達成した先進国であっても、ワクチン接種の隙間や地域ごとの接種率の格差が広がれば、大規模な流行が再び起こり得ることを示しています。
感染症対策は、一度の成功で終わるものではなく、長期的な視点での監視と、接種機会へのアクセス改善、正確な情報発信の積み重ねが不可欠です。カナダでの動きは、世界の国々や地域にとっても、予防接種と公衆衛生体制を見直す契機となり得る動きです。
Reference(s):
Canada loses measles elimination status after year-long outbreak
cgtn.com








