マイクロソフトとグーグル、欧州でAIデータセンター投資を加速
リード:マイクロソフトとグーグルが、ポルトガルとドイツでAI向けデータセンターへの大型投資を発表しました。ヨーロッパのAIインフラ競争が一段と加速しつつあります。 人工知能(AI)開発には、莫大な計算資源を提供するデータセンターが欠かせません。今週、マイクロソフトとグーグルというテック大手が相次いで欧州での新たな投資計画を公表し、AI時代の「計算能力争い」がヨーロッパでも本格化していることを印象づけました。 マイクロソフトは火曜日、来年初め(2026年初頭)から約100億ドルを投じ、ポルトガルにAIインフラ専用の大規模データセンターを建設する計画を明らかにしました。 このプロジェクトは、AI向けデータセンターを専門とする英国企業Nscaleと、ポルトガル南部シネス近郊で大規模データセンター建設を進めるStart Campusとのパートナーシップによって進められます。施設には、半導体大手エヌビディアの最新世代チップが1万2600個導入される予定で、マイクロソフトはこれを「ヨーロッパにおけるAI計算能力への投資として最大級の一つ」と位置づけています。 マイクロソフトのブラッド・スミス社長は、ポルトガルの経済紙とのインタビューで、同国がデータセンター建設と投資の重要な受け皿として台頭していると述べました。 シネスの計画地には、再生可能エネルギーを活用したデータセンターが設置されるほか、アメリカ大陸とヨーロッパを結ぶ重要な海底通信ケーブルの結節点という地理的な利点もあります。通信インフラとクリーンエネルギーの両方を確保できることが、AIデータセンターの立地として評価されている形です。 Nscaleの製品ディレクター、ダニエル・バースト氏は通信社の取材に対し、データセンター需要、とりわけ直近5カ月ほどのAI分野の需要が「かなりクレイジーな状況」になっていると述べ、「マイクロソフトのようなプレイヤーにとって、時間との競争になっている」と語りました。 同じ日にグーグルも、ドイツで過去最大となる55億ユーロ(約64億ドル)規模の投資計画を発表しました。新たなデータセンター建設や既存施設の拡張などに向け、2029年までに資金を投じる方針です。 ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、こうした取り組みの戦略的意義を強調し、「私たちはドイツの成長をけん引している」と述べるとともに、ドイツが今後も世界で最も魅力的な投資先の一つであり続けると強調しました。 グーグルの計画には、西部ヘッセン州での新データセンター建設と既存センターの拡張に加え、ベルリン、フランクフルト、ミュンヘンにあるオフィスの拡張も含まれています。これらの施設は、いずれもAI向けの計算能力を提供する拠点として活用される見通しです。 グーグルは同時に、温室効果ガス排出の削減に向けた複数のプロジェクトも示しました。風力や太陽光などの再生可能エネルギーの購入に加え、データセンターから出る余熱を周辺住民の暖房などに再利用する「熱回収プロジェクト」も計画されています。 同社によると、こうした計画全体によって、ドイツ国内で年間約9000人分の雇用を支えることになるとしています。AI向けデータセンターは電力消費や環境負荷の大きさが指摘される一方で、高度なデジタル産業と雇用を生み出す存在でもあります。その両立をどう図るかが、今後の大きなテーマになりそうです。 今回のマイクロソフトとグーグルによる大型投資は、それぞれの企業戦略であると同時に、ヨーロッパがAI時代のインフラ拠点として存在感を高めようとする流れの中に位置づけることができます。 AIがビジネスや社会の前提を変えつつある中、その裏側を支えるデータセンター投資は、今後ますます各国・各地域の競争領域になっていきます。今回の欧州での動きは、日本を含む他の地域にとっても、AIインフラとエネルギー政策をどう組み合わせていくのかを考えるきっかけになりそうです。ヨーロッパで激化するAIインフラ競争
マイクロソフト:ポルトガルに100億ドル規模のAIデータセンター
ポルトガルが「新たなハブ」となる背景
グーグル:ドイツに55億ユーロ、最大規模の投資
AI需要と環境負荷をどう両立させるか
欧州AI戦略の一端として見る
Reference(s):
cgtn.com








