糖尿病の初期サインと予防 世界で広がる静かな流行
今や糖尿病は、がんに次ぐ現代病の死因第2位ともされる身近な病気です。世界で患者数が急増し、中国でも深刻な広がりが明らかになるなか、初期サインを見逃さず、早期に対策を取ることがこれまで以上に重要になっています。
世界で広がる糖尿病の「静かな流行」
世界保健機関(WHO)によると、糖尿病とともに生きる人は1990年には2億人でしたが、2022年には8億3000万人にまで増えました。特に、低・中所得国での増加スピードが、高所得国よりも速いとされています。
糖尿病は人生のあらゆる段階で起こりうるため、「予防」「病気の管理」「健康増進」を一体で考えるライフサイクルの視点が欠かせないと指摘されています。
中国で見えてきた深刻な実態
2025年6月、中国疾病予防コントロールセンター(China CDC)のデータが公表され、2023年時点で中国の糖尿病患者数は2億3300万人に達していることが明らかになりました。これは世界の糖尿病患者の4分の1を占める規模であり、約6人に1人が糖尿病という計算になります。
2005年と比べると、中国の糖尿病患者数は163%も増加しました。さらに、中国では糖尿病患者の約70〜80%が、糖尿病そのものではなく合併症によって亡くなっているとされ、多くの臓器に影響が及び、生活の質を大きく損なう深刻な課題となっています。
世界糖尿病デーが投げかけるメッセージ
毎年11月14日は世界糖尿病デーです。2025年のテーマは「糖尿病とウェルビーイング(心身の健康)」で、特に働く世代が直面する健康課題に焦点が当てられています。
長時間労働や不規則な生活になりがちな働き盛りの世代で、糖尿病リスクや合併症をどう防ぐかは、今後の重要なテーマといえます。
見逃されがちな糖尿病の初期サイン
北京友誼医院の内分泌科チーフ医師であるLi Ruqiang氏によると、糖尿病の初期症状は「典型的ではない」ことが多く、気づかれないまま進行するケースが少なくありません。
それでも、次のようなサインが手掛かりになるとされています。
- 以前よりも強い「のどの渇き」を感じる(多飲)
- 食欲が増し、よく食べるようになる(多食)
- 尿の回数や量が多くなる(多尿)
- 食事量が変わらないのに体重が減っていく
- 疲れやすく、だるさが続く
- 視界がかすむなど、見え方の変化を感じる
- 皮膚の感染症が治りにくく、治っても色素沈着が残る
- 食事時間が遅れたときに、強い空腹感や動悸、冷や汗を感じる
Li氏は、こうした症状が出ている場合には、すでに血糖コントロールに問題が起きている可能性が高いと指摘します。そのため、少しでも気になる変化があれば、血糖値の検査を受け、異常が見つかった場合は速やかに医療機関を受診することが重要だとしています。
症状がなくても進む「静かな高血糖」
一方で、血糖値が非常に高くても、自覚症状がほとんど出ない人もいます。本人は「元気だから大丈夫」と考えがちですが、長期間にわたり高血糖の状態が続くと、少しずつ血管や臓器が傷つき、やがて合併症として現れてきます。
中国では、糖尿病患者の死亡の7〜8割が合併症によるものとされていることからも、「症状が出てから」ではなく、「症状が出る前から」血糖や体調の変化に目を向ける必要があると言えます。
合併症を防ぐカギは早期発見と長期的なケア
糖尿病は、早期に見つけて適切に管理すれば、合併症のリスクを減らし、生活の質を保ちながら過ごせる可能性が高まります。そのためのポイントとして、次のような視点が強調されています。
- 人生のあらゆるステージで糖尿病を意識するライフサイクルの発想を持つ
- 気になる症状があれば放置せず、血糖検査と医療機関の受診につなげる
- 自覚症状がなくても、必要に応じて血糖をチェックし、変化を継続的に追う
- 働く世代では、仕事の負担と健康のバランスに配慮し、職場の健康診断なども積極的に活用する
こうした取り組みを通じて、一人ひとりが早い段階でリスクに気づき、合併症を防ぎながら、心身のウェルビーイングを保っていくことが求められています。
糖尿病は「よくある病気」だからこそ、自分や家族、周囲の人の小さなサインに気づき、必要な検査と相談につなげる行動が、社会全体の健康を守ることにもつながっていきます。具体的な診断や治療については、必ず医師などの専門家に相談するようにしましょう。
Reference(s):
cgtn.com







