米陪審、アップルに6.34億ドル賠償命令 スマートウォッチ特許訴訟でマシモ勝訴
米国の連邦陪審が、アップルのスマートウォッチ「アップルウォッチ」が医療機器メーカーのマシモの特許を侵害したとして、6億3,400万ドルの支払いを命じました。ヘルスケア機能をめぐる大型訴訟は、テック企業と医療機器企業の関係にどんな影響を与えるのでしょうか。
アップルに6.34億ドル賠償命令 争点は血中酸素の測定技術
米カリフォルニア州の連邦陪審は金曜日、アップルが医療モニタリング技術企業マシモの特許を侵害したと認定し、同社に対して6億3,400万ドルの賠償を命じました。問題となったのは、血中酸素の読み取り技術をめぐる特許です。
陪審は、アップルウォッチのワークアウトモードや心拍数通知などの機能が、マシモの特許権を侵害しているというマシモ側の主張を支持しました。マシモの広報担当者は、この判断を確認しています。
一方、アップルの広報担当者は評決に同意できないとし、不服として控訴する方針を示しました。マシモは声明で、この評決を「当社のイノベーションと知的財産を守る継続的な取り組みにおける重要な勝利だ」と評価しています。
背景にあるアップルとマシモの激しい特許争い
今回のカリフォルニア州での訴訟は、アップルとマシモの間で続いている、複数の訴訟が絡み合った特許紛争の一部にすぎません。カリフォルニア州アーバインに本社を置くマシモは、アップルが自社の社員を引き抜き、アップルウォッチ向けに自社のパルスオキシメトリー(血中酸素飽和度を測る技術)を盗用したと主張しています。
マシモは特許侵害だけでなく、営業秘密の不正取得も訴えてきましたが、2023年にはカリフォルニア州での営業秘密訴訟で、陪審が全会一致の評決に達することができず、裁判官が審理不続行(ミストライアル)を宣言した経緯もあります。
輸入禁止と機能削除:アップルウォッチに及んだ影響
この争いは、法廷の中だけにとどまりませんでした。2023年には、米国の通商関連の裁判所(トレード・トリビューナル)が、アップルのスマートウォッチ「シリーズ9」と「ウルトラ2」について、マシモの特許を侵害していると判断し、米国への輸入を禁止しました。
この輸入禁止措置を回避するため、アップルはアップルウォッチから血中酸素の読み取り機能をいったん取り外しました。その後、米税関・国境警備局の承認を得て、8月に更新版の血中酸素測定技術を搭載したアップルウォッチを再投入しています。
しかし、状況はまだ完全には収束していません。米国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission)は金曜日、アップルが導入した更新版のウォッチが、引き続き輸入禁止の対象となるべきかどうかを判断するため、新たな審理を開くことを決めました。
関税当局や控訴審でも続く法廷闘争
マシモは、税関当局が更新版アップルウォッチの輸入を認めた判断に対し、米税関を相手取った訴訟を継続しています。一方アップルも、輸入禁止命令そのものを不服として、連邦控訴裁判所に異議を申し立てています。
アップルとマシモの争いは、特許侵害だけでなく、行政判断や通商政策をめぐる争点へと広がっており、最終的な決着までにはまだ時間がかかるとみられます。
別の裁判ではアップル側に有利な評決も
一連の訴訟のなかでは、逆にアップル側に有利な判断も出ています。デラウェア州で行われた別の裁判では、マシモのスマートウォッチがアップルの2件の意匠特許を侵害しているとのアップルの主張が一部認められ、アップルに対して250ドルの賠償評決が下されました。
賠償額はごく小さいものの、両社が互いに特許やデザインをめぐって攻防を続けていることを示す象徴的なケースと言えます。
なぜ重要か:ヘルスケア×テック時代の特許リスク
アップルウォッチをはじめとするスマートウォッチは、健康管理やフィットネスのための身近なツールとして広く利用されています。その裏側では、血中酸素や心拍数などの高度な生体データを正確に測定する技術をめぐり、医療機器メーカーとテック企業の間で激しい特許競争が起きています。
今回のような大型賠償評決や輸入禁止措置は、企業の収益やブランドだけでなく、ユーザーが利用できる機能にも直接影響します。実際、アップルが血中酸素の読み取り機能を一時的に削除したように、訴訟の結果によって製品の仕様が変わる可能性があります。
ヘルスケアとテクノロジーが融合するなかで、知的財産をどう守り、どう共有していくのか。今回のアップルとマシモの争いは、その難しさと重要性を象徴するケースとして、今後も国際ニュースとして注目されそうです。
Reference(s):
U.S. jury says Apple must pay Masimo $634m in smartwatch patent case
cgtn.com








