Nvidia次世代「Vera Rubin」量産へ AI計算5倍、CESでCEOが詳細
米Nvidiaのジェンスン・フアンCEOは現地時間2026年1月5日、米ラスベガスで開幕したConsumer Electronics Show(CES)で、同社の次世代チップが「フル生産(量産体制)」に入っていると述べました。チャットボットなどAIアプリの処理で、従来世代より最大5倍のAI計算能力を届けられるとしています。
「Vera Rubin」プラットフォームとは何か
フアン氏が新たに示したのは「Vera Rubin(ベラ・ルービン)」と呼ぶプラットフォームです。Nvidiaの複数チップで構成され、同社は2026年後半の投入を見込んでいると説明しました。
- プラットフォームはNvidiaの6つの別個チップで構成
- 旗艦サーバーは、同社GPU(グラフィックス処理装置)72基と新CPU(中央演算処理装置)36基を搭載する想定
- 1,000個超のRubinチップをまとめる「ポッド」構成も提示
また、AIが文章などを生成する際の基本単位である「トークン(tokens)」の生成効率を10倍に高められる可能性がある、と同氏は示しました。
性能向上の鍵は「独自データ」――業界標準になるか
一方で、今回の性能結果を得るためにRubinチップでは、Nvidia独自の種類のデータを利用しているとも説明しました。Nvidiaは、より広い業界がこの方式を採用することに期待を寄せているといいます。
フアン氏は、トランジスタ数が1.6倍にとどまる中でも「巨大な性能向上」を実現できた、と趣旨を語りました。ハードウェアだけでなく、データやソフトウェアの“前提”を握ることが、AIインフラ競争の力学を変えるのかが焦点になりそうです。
競争が激しい「推論」領域、チャットボット体験をどう変えるか
NvidiaはAIモデルの学習(トレーニング)では依然として優位にある一方、学習済みモデルを大量ユーザーに届ける処理(推論)では、Advanced Micro Devices(AMD)などの競合に加え、顧客でもあるAlphabet傘下のGoogleのような自社チップ勢とも競争が強まっています。
今回の発表は、まさにその推論を強く意識した内容でした。フアン氏は、長い質問や長文の会話でも応答を素早くする狙いで、「context memory storage(コンテキスト・メモリー・ストレージ)」という新しい層のストレージ技術を挙げました。
ネットワークも刷新へ――co-packaged opticsを投入
Nvidiaは、データセンターの大規模化に欠かせないネットワーク分野でも、新世代スイッチをアピールしました。新たな接続方式として「co-packaged optics(コパッケージド・オプティクス)」を採用するとし、数千台規模のマシンを一体の計算資源として束ねる用途を念頭に置いています。こうした技術はBroadcomやCisco Systemsの製品とも競合するとされています。
導入先の名前が示すもの:CoreWeaveが先行、主要クラウドにも期待
Nvidiaは、CoreWeaveが新しいVera Rubinシステムをいち早く導入する企業の一社になると述べました。さらに、Microsoft、Oracle、Amazon、Alphabetも採用していく見通しを示しています。AIの需要が「一部の研究」から「巨大なサービス運用」へ移った今、どの事業者が、どのタイミングで、どれだけの規模を押さえるかが、性能競争と同じくらい重要になっています。
自動運転向けソフトも:判断の“足跡”を残す仕組み
半導体だけでなく、ソフトウェア面の発表もありました。Nvidiaは、自動運転車が経路選択などの意思決定を行う際に、その判断の過程を後から検証できる「紙の証跡(paper trail)」を残す支援ソフトを紹介しました。
さらに、研究として2025年に示していた「Alpamayo」というソフトウェアについて、より広く提供し、学習に使ったデータも併せて公開する方針を示しました。フアン氏は、モデルだけでなく学習データも公開することが「モデルがどう作られたかを本当に信頼できる」条件だと述べています。
Groq人材・技術の取り込みも言及、製品拡張の布石に
同社は2025年12月、スタートアップGroqから人材とチップ技術を獲得したともされています。GoogleのAIチップ設計に関わった幹部らが含まれるとされ、Nvidiaにとっては顧客でもあり競合にもなり得る勢力が増える中で、選択肢を広げる動きに見えます。
フアン氏は、アナリストとの質疑でこの取引が「中核事業には影響しない」一方、製品ラインアップを拡張する新製品につながる可能性があると述べました。
2026年のAIインフラは、チップ単体の速さだけでなく、サーバー構成、ネットワーク、データ形式、そしてソフトウェア公開の姿勢までがセットで問われる局面に入っています。Rubinが「次の基準」になるのか、それとも多極化が進むのか。投入時期が近づくにつれ、採用側の動きも含めて注目が集まりそうです。
Reference(s):
Nvidia CEO Huang says next generation of chips in full production
cgtn.com








