木星衛星エウロパ、生命の条件に疑問 海底が「硬すぎる」可能性
木星の衛星エウロパは「太陽系で生命が見つかるかもしれない場所」として注目されてきましたが、2026年1月現在、その前提を揺らす研究が報告されています。 地下海があっても、生命に必要な化学反応を回す“地質活動”が起きにくい可能性がある、という内容です。
何が新しく示されたのか:海底の断層・火山活動が起きにくい
研究チームは、エウロパの海底(岩石の海底面)でテクトニクス(断層活動)や火山活動がどの程度起こりうるかを、条件を置いたモデルで評価しました。結論は、エウロパの岩石の海底は機械的に強度が高く、地球のように割れたり動いたりしにくいため、断層活動が「ほとんどない〜全くない」可能性がある、というものです。
評価に使われた主な要素
- エウロパのサイズ
- 岩石コア(中心部)の組成
- 木星(強く変動する重力)による潮汐力
なぜ重要?「岩」と「海水」の反応が、生命の“燃料”になるから
地球では、断層の破砕や亀裂、火山活動が新しい岩石面を海水にさらすことで、化学反応が進みやすくなります。研究の主著者であるワシントン大学セントルイス校の惑星科学者ポール・バーン氏は、次のように説明しています。
「地球では、破砕や断層活動によって新鮮な岩が環境に露出し、水を中心とする化学反応が進む。そうした反応で、微生物が利用できるメタンのような化学物質が生成される」
逆に言えば、こうした活動が乏しいと、生命が利用できる化学エネルギーや栄養(必須元素)を生み出し、保ち続けることが難しくなる——それが今回の研究が投げかける問いです。
「水・有機物・エネルギー」は揃っているのに…残るピースは何か
エウロパは、生命に重要とされる要素を複数持つと考えられてきました。研究が前提としている基本情報は次の通りです。
- 液体の水:氷の外殻の下に地下海があると考えられている
- 有機物:外側の氷殻の表面で有機化学物質が確認されている
- エネルギー:木星の重力による潮汐加熱で供給される
エウロパは直径約3,100km(地球の約4分の1)で、氷殻は約15〜25km、海は約60〜150kmの深さがある可能性が示されています。塩を含む液体の海は、地球の海の2倍の水量を含むかもしれない、という見方もあります。
それでも今回の研究は、「水があること」と「生命が暮らせる環境が維持されること」は同義ではない、という点を際立たせます。つまり、海底で岩石と海水が十分に相互作用できるかが、もう一つの大きな鍵になりうる、ということです。
この研究が示す見取り図:エウロパの“有望さ”はどう変わる?
研究は、エウロパが生命を宿す可能性を即断するものではなく、「海底に活動がある」という前提に再検討を迫る内容だと読めます。焦点は、地下海の存在そのものよりも、地下海がどれだけ化学的に循環し、エネルギーと栄養を供給できるかへと移ります。
静かな海であっても別の経路で化学反応が進む可能性は残りますが、少なくとも今回の評価は、エウロパの海底が地球型の「岩と水の化学工場」になっているという見立てに、慎重さを求めています。
※本記事は、学術誌「Nature Communications」に掲載された研究内容として提供された情報をもとに構成しています。
Reference(s):
Jupiter's moon Europa may lack key ingredients for life after all
cgtn.com








