豪州でPFASを即時検出、携帯型バイオセンサーが水質監視を変えるか
オーストラリアの研究チームが、水に含まれる「永遠の化学物質」PFASをその場で素早く判定できる携帯型バイオセンサーを開発しました。高価な検査機器や専門分析に頼りがちなPFAS監視の“間隔”を縮める可能性があります。
豪州の研究チームが発表:現場でPFASを「はい/いいえ」で判定
オーストラリアのラ・トローブ大学は現地時間2026年1月8日、毒性が懸念される化学物質PFAS(有機フッ素化合物)の汚染を、現場で迅速に検出できる携帯型バイオセンサーを開発したと発表しました。研究成果は学術誌「ACS Sensors」に掲載されたとしています。
開発したのは同大学のBiomedical and Environmental Sensor Technology(BEST)研究センター。水サンプルを専門ラボへ送らずとも、汚染の有無を現地で把握できる点が特徴です。
PFASとは?「永遠の化学物質」と呼ばれる理由
PFAS(per- and polyfluoroalkyl substances)は、1万5,000種類以上の合成化学物質の総称とされ、環境中で分解されにくいことから「永遠の化学物質(forever chemicals)」とも呼ばれます。
大学側の説明によると、PFASは消火泡、食品包装、汚れにくい素材(耐汚染性素材)などで利用されてきました。一方で、環境中に残留しやすく、がんなどの深刻な健康リスクとの関連も指摘されています。
今回のセンサーが狙うのはPFOA:規制が厳しいPFASの代表例
今回のセンサーはPFASの一種であるPFOA(ペルフルオロオクタン酸)を検出対象とし、汚染の有無をシンプルに判定する仕組みです。研究を主導したヘンリー・ベレット氏は、現場で「はい/いいえ」の結果が得られることを強調しています。
「定期監視が難しい」をどう変えるか:コストと時間の壁
PFASの検査は一般に、高価な実験室機器や専門的な分析が必要になりやすく、頻繁なモニタリングの障壁になります。ベレット氏は「多くのPFAS検査は高価なラボ機器と専門分析に依存しており、定期的な監視を難しくしている」と述べています。
また、BEST研究センターを率いるサイモン・モラエス・シルバ氏は、携帯型の検出ツールがあれば、とくに地域部・遠隔地での検査頻度を上げられ、どこで詳細なラボ分析が必要かの判断にも役立つと説明しています。
次の焦点:ハンドヘルド化と「監視の設計」
研究チームは今後、この技術を環境モニタリングや水のスクリーニングに使えるハンドヘルド機器へ統合することを目指すとしています。
現場での迅速判定が広がれば、監視の考え方も変わります。たとえば、
- まず現地でスクリーニング(汚染の有無を把握)
- 必要な地点に絞って詳細なラボ分析
- 定期監視の間隔を短くして変化を追う
といった、「測る回数」と「深掘りする場所」の組み合わせが現実的になりそうです。
PFASは種類が多く、規制や監視の実務も複雑になりがちです。今回のような“現場での即時判定”が、環境監視のスピードと解像度をどこまで引き上げるのか。今後の機器化と運用の広がりが注目されます。
Reference(s):
Australian biosensor can rapidly detect 'forever chemicals' in water
cgtn.com








