米商務省、中国本土製ドローン規制案を撤回 FCCは新型輸入を制限
米国のドローン市場を揺らしていた「中国本土製ドローンの輸入規制案」について、米商務省が撤回したと明らかになりました。国家安全保障をめぐる議論が続くなかで、規制の主導権がどこにあるのか、そして現場には何が影響するのかが改めて焦点になっています。
米商務省が規制案を取り下げ:ホワイトハウス審査に回った後で撤回
米商務省は、情報通信技術(ICT)のサプライチェーン(供給網)上の懸念に対応するため、中国本土製ドローンの輸入を制限、または事実上禁止し得る規則を検討していました。商務省は2025年9月に「ルールを出す計画」を示し、10月8日にホワイトハウスへ審査のため送付していましたが、その後、現地時間の木曜日に撤回し、金曜日に政府サイトの掲示で明らかになったとされています。
今回の撤回は、近く乗用車・トラック分野での取り締まりがあった流れの中での動きでもあります。
一方でFCCは「新型モデル」に壁:既存機・購入済み機は対象外
規制論が後退したように見えても、別のルートでは制限が続いています。先月、米連邦通信委員会(FCC)は国家安全保障上の理由から、DJIやAutelを含む外国製ドローンの新モデルおよび重要部品について、輸入を事実上止める措置を取りました。
- 止まるのは「新モデル」と「重要部品」:必要な承認が得られず、新規の販売が難しくなる
- 既存モデルの輸入・販売・使用は一律禁止ではない:FCCが過去に承認した機体は対象外
- すでに購入したドローンにも影響しない:保有機の利用自体は直ちに変わらない
またFCCは今週、一部の「非中国本土」ドローンについては例外扱いにするとしています。
商務省の問題意識:「遠隔アクセス」やデータ流出リスクを指摘
商務省は2025年1月、ドローンのサプライチェーンを守るためのルール作りに向けて意見募集を行ったとされ、その中で中国本土やロシアからの脅威が「機器への遠隔アクセスや操作」につながり得る、という趣旨の懸念を示しました。結果として、機微な米国データが露出する可能性がある、という説明です(懸念の表明として)。
DJIは「一律規制は不必要で有害」:記録上の面会も
記録によれば、ホワイトハウスと商務省はこのドローン案について12月19日まで会合を重ね、12月11日には中国本土のDJI関係者とも面会したとされています。DJIは、ドローンを「中国で製造された」という理由で一律に制限するのは「不必要で、概念的に誤りがあり、米国の関係者に極めて有害だ」との立場を伝えたとされています。
なお、商務省とDJIはいずれもコメント要請に直ちには応じなかったと伝えられています。
背景:車・トラック分野の規制強化と、ドローン市場の“依存度”
商務省は2025年1月、当時のジョー・バイデン大統領の下で、中国本土の乗用車・トラックの多くを米国市場から事実上締め出す規則を最終決定したとされています。同じ懸念を踏まえ、2025年9月には中型・大型トラックの輸入に関する類似ルールも検討していると述べましたが、この商用トラック案はホワイトハウス審査には回っていないとされています。
一方、ドローンについては市場構造も無視できません。中国本土からの輸入が米国の商用ドローン販売の大半を占め、そのうち半分超が世界最大のドローンメーカーとされるDJIだとされています。規制の設計次第で、セキュリティだけでなく、価格、調達、現場運用(点検・測量・農業・防災など)にまで波及し得るテーマです。
いま何が「変わって」、何が「変わらない」のか
- 変わった点:商務省が検討していた中国本土製ドローンの輸入規制案は撤回された
- 変わらない点:FCCによる「新モデル・重要部品」への承認制限は続いている
- 今後の注目点:供給網の安全確保と市場の現実(導入コスト・代替調達)を、米政府がどんなバランスで組み直すのか
規制は「強める/弱める」の二択ではなく、どの段階(調達、通信、認証、運用)にどんな条件を置くかで現場の景色が変わります。今回の撤回は、議論が終わった合図というより、別の設計図に描き直す途中経過なのかもしれません。
Reference(s):
U.S. Commerce Department drops plan for Chinese drone restrictions
cgtn.com








