中国本土・山東で地熱掘削が記録更新 黄河デルタの高温井が脱炭素後押し
中国本土の山東省・黄河デルタ地域で、東部としては記録的な高温の地熱井が掘削されました。発電だけでなく、工業用蒸気、地域暖房、農業まで「熱を使い切る」設計が見えており、グリーン転換の現場感を示すニュースです。
東部で“最高温度”の地熱井が完成
山東省地質鉱産局は今週、黄河デルタ地域で地熱井の掘削が完了したと発表しました。発表によると、坑底(井戸の最深部)の温度は162度、井口(地上に出てくる部分)の水温は138度で、東部の水熱型地熱井としては最高記録だとしています。
発電・工業・暖房へ:想定される使い道
山東省地鉱工事探査院の張雲峰氏は、この地熱井の安定した熱出力は21.57メガワットと見積もられると説明しました。用途としては、大きく分けて次の選択肢が想定されています。
1)地熱発電に回す場合
- 1日あたり約2万5,200キロワット時の発電が可能
- 約1万人分の「日々の電力需要」を賄える規模と説明
2)工業用蒸気として使う場合
- 年間約9万4,000トンの蒸気供給が可能
- 石炭約1万8,800トンの代替に相当
- 二酸化炭素排出を約4万8,900トン削減できる見込み
3)“使い終わり”の温水も、さらに活用
発電や工業利用の後に残る温水(約80度)は、約200万平方メートルの住宅地に対する集中暖房に活用できるとされています。さらに低温側(約60度)の残余熱は、大規模なスマート温室や養殖プロジェクトの熱源としての利用が見込まれます。
なぜ今、地熱が注目されるのか
地熱は、安定的に利用できる低炭素の再生可能エネルギー資源とされます。今回の発表でも、地熱は埋蔵量が大きく効率が高い点が強調され、中国は直接利用(熱としての利用)の規模で世界をリードしてきたと説明されています。
張氏は「地熱エネルギーの探査を継続し、グリーン電力、工業用蒸気、暖房、農業へと応用を広げ、民生と持続可能な経済成長を支える」と述べました。
ポイント:熱を“一度で終わらせない”発想
今回の地熱井の話題は、単に“高温が出た”だけではなく、用途を段階的に切り替えながら熱を使い切る構想が数字とともに示された点が印象的です。電気、蒸気、暖房、農業と、熱の温度帯ごとに役割を割り当てることで、地熱の価値を最大化しようとする考え方が浮かび上がります。
Reference(s):
Geothermal drilling breakthrough in east China boosts green transition
cgtn.com








