米民主党議員、AppleとGoogleに「XとGrok」配信停止を要請—非同意性的画像対策めぐり
2026年1月、米国の民主党上院議員3人が、AppleとGoogleに対し、イーロン・マスク氏のSNS「X」とAIアプリ「Grok」をアプリストアから一時停止するよう求めました。焦点は、本人の同意がない性的画像(ディープフェイクを含む)や、児童性的虐待素材(CSAM)の作成・拡散を抑えきれていない、という問題提起です。
何が起きたのか:民主党上院議員が「即時停止」を要求
1月9日(現地時間)の公開書簡で、ロン・ワイデン議員(オレゴン州)、エド・マーキー議員(マサチューセッツ州)、ベン・レイ・ルハン議員(ニューメキシコ州)は、Appleのティム・クックCEOとGoogleのスンダー・ピチャイCEOに対し、XとGrokをアプリストアから外すよう求めました。
書簡では、両アプリが「不穏で、違法である可能性の高い活動」を十分に抑止できていないとし、対応が整うまでの停止を要求しています。さらに、配信を継続することは「アプリストアのコンテンツ基準を形骸化させる」とも主張しました。
問題視されたポイント:非同意の性的ディープフェイクとCSAM
報道によれば、XとGrokの画像生成機能やチャットボット機能を通じて、個人の容姿を無断で利用した性的なディープフェイクが作られ、共有されやすい状況があるとされています。人種差別的な内容の生成に使われた、という指摘もあります。
具体例として、英紙The Times of Londonは、ホロコースト生存者の子孫が、Grokへの指示(プロンプト)を通じてアウシュビッツ収容所を背景にした性的に示唆的な画像へ加工されたケースを伝えました。
用語ミニ解説
- 非同意の性的画像:本人の同意なく作成・公開される性的な画像や動画。
- ディープフェイク:AIなどで人物の顔や声を合成・改変する技術。悪用されると被害回復が難しい。
- CSAM:児童に関する性的虐待を描写した素材。多くの国・地域で重大な違法コンテンツとされます。
アプリストアの責任はどこまでか:AppleとGoogleの「安全な配信」の看板
AppleとGoogleは一般に、アプリストアのガイドラインで、児童性的虐待を描写するコンテンツや非同意の露骨な性的コンテンツを禁じています。今回の書簡は、こうしたルールと、現実の運用との整合性を強く問う構図です。
書簡では、アプリストアが「野良配布(ストア外からの直接ダウンロード)より安全」という立場を掲げてきた点にも触れ、放置すればその説明自体が揺らぐと主張しました。過去にはTumblrやTelegramなどで、ガイドライン違反を理由に停止措置が取られた例があるとも指摘されています。
X/xAI側の対応:制限強化と「同じ扱い」方針、しかし実効性が争点に
マスク氏とXは1月3日の声明で、Grokを通じて違法コンテンツを作成した利用者も、直接アップロードした利用者と同様の結果(処分)に直面すると説明しました。一方で批判側は、取り締まりが十分に機能していないと見ています。
また1月9日には、XがGrokの画像生成機能を有料加入者に限定する措置を取ったとされています。ただし、スタンドアロンのGrokアプリやウェブサイトでは、同意の確認なしに性的・侮辱的なコンテンツ生成が可能な場面が残る、という指摘が報じられています。
さらに米CNNは、Grokの機能更新で安全対策が不十分だという懸念があったにもかかわらず、マスク氏が更新を強く推進したと伝えました。xAIの安全チームのメンバー3人がX上で辞任を表明したとも報じられています。
規制の視線:欧州などで注視、米当局は「調査開始を確認せず」
一連の問題は、欧州、マレーシア、オーストラリア、インドなどで規制上の注目を集めているとされています。一方で、米連邦取引委員会(FTC)や司法省(DOJ)などは、xAIに対する調査に踏み切るかどうかを現時点で確認していない、と報じられています。
資金面では追い風:xAIが200億ドルの大型調達と報道
反発が強まる中でも、xAIは今週、NvidiaやCisco Investments、Fidelity、カタール投資庁、アブダビのMGXなどを含む投資家が参加する200億ドルの資金調達を実施したと報じられました。市場の期待と、社会的リスク管理の難しさが同時に映る局面です。
今後の焦点:ストア側の判断と「実効性ある安全設計」
- AppleとGoogleが要請にどう応じるのか(現時点で両社は回答していないと報道)
- X/Grokの対策が実際にどこまで機能するのか(検知、通報、削除、再発防止の設計)
- 生成AIの“使い方”ではなく“作れる設計”の責任を誰がどこまで負うのか
アプリストア、SNS、生成AIという「入口」と「拡散」と「生成」がつながったとき、ルールはどこで効かせるのが現実的なのか。今回の書簡は、技術の進化とガードレール整備のズレを、改めて可視化した形です。
Reference(s):
cgtn.com








