英国、Grok問題受け「同意なし親密画像」作成を今週から違法化へ
英国は今週、本人の同意なく作られる「親密な画像」(AI生成を含む)の作成を犯罪として取り締まる新たな運用を開始します。きっかけの一つになったのが、イーロン・マスク氏のXに搭載されたAIチャットボット「Grok」をめぐる性的ディープフェイク(深層偽造)への批判です。
何が変わるのか:作る側も、載せる側も責任が問われる
テクノロジー担当のリズ・ケンドール氏は2026年1月12日(現地時間)、下院で次の点を強調しました。
- 「同意なしの親密画像」を共有することだけでなく、共有すると脅すことも犯罪。
- 対象には、下着姿などの画像も含まれる。
- 個人だけでなく、そうした素材をホストするプラットフォーム(Xを含む)も責任を問われうる。
ポイントは「作成・作成依頼」の犯罪化が“今週”動き出すこと
ケンドール氏によると、昨年(2025年)成立したデータ関連の法律により、すでに同意なし親密画像の「作成」や「作成を求めること」自体が犯罪となる枠組みが整っていました。今回、その犯罪規定が今週、施行(運用開始)されると説明しています。
さらに、オンライン安全法(Online Safety Act)の枠組みの中でも、当該行為を「優先度の高い犯罪」として扱う方針を示しました。捜査・削除・監督の実務で、より強く前に出る位置づけになることを示唆しています。
「無害な画像ではない」—被害の捉え方が変わった
ケンドール氏は、本人の同意なくAIで生成された、女性や子どもの「脱衣状態」などを想起させる画像について、「無害な画像ではなく、虐待の武器だ」と表現しました。技術の新しさではなく、人の尊厳・安全を傷つける実害の側面を中心に据えた発言です。
規制当局OfcomがXを調査、「必要ならアクセス遮断」も示唆
今回の発表に先立ち、英国のオンライン安全規制当局であるOfcom(情報通信庁)は、Grokを使って女性や子どもの性的に見える画像が生成された問題をめぐり、Xに対する正式調査を開始したとされています。
Ofcomはこの案件を「最優先」と位置づけ、「適切な場合にはサービスへのアクセスを遮断する可能性」にも言及しました。プラットフォームが“置き場”にとどまらず、生成AIの普及で拡散速度と再現性が上がったことが、監督の厳格化につながっています。
政治側の反応:スターマー首相も強い言葉
報道によれば、キア・スターマー首相も、チャットボットを使ってそのような画像を作る行為を「恥ずべき」「不快だ」と強く非難しました。規制と捜査の両輪で対応を急ぐ空気が、今週の施行につながった格好です。
いま注目される論点:線引きは「合成技術」ではなく「同意」
今回の英国の整理で際立つのは、ディープフェイクかどうか以前に、本人の同意があるかを中核に据えている点です。生成AIが身近になるほど、「作れてしまう」ことと「許される」ことの間にある溝は広がります。今週の施行は、その溝を埋めるための実務が一段進む節目として注目されます。
Reference(s):
Britain to implement law to curb deepfakes linked to Musk's Grok
cgtn.com








